69 アーノルド殿下の実力① 【side ライガーン】
俺は、皇帝陛下から魔力植物調査のご下命をアーノルド殿下が賜ってから、対策を練るためにマヤゴン魔術騎士団長とベン騎士団長を俺の執務室に呼び出した。
各騎士団長は四人の皇子のどの部隊に配属されるかは、まだ決められていない。例年通りならば、父である宰相と各騎士団長、副団長が集められ会議が行われた上で配置が決まることが多い。
「はぁ~。どうしたものか。せめてリアナの存在に気が付いているマヤゴン魔術騎士団長とアーノルド殿下が同じ配置なら安心できるのだが」
二人の到着を待つ間にも、俺は独り言で愚痴をこぼす。
マヤゴン魔術騎士団長が無理でも、ベン第三騎士団長の率いる部隊でも構わない。
リアナが殿下の身体に入り込んでから、彼の部隊の騎士団員の何名かはアーノルド殿下と一緒に走り込みもしているから、多少の面識はあるし、気軽に声をかけられる間柄にはなっているから問題が発生した時に対応してくれそうな気はする。
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「今年も、この時期か早いものだな」
三人が顔をそろえたところで、ベン騎士団長が会話を切り出す。
何についてと議題を特に言わなくても、お互い何について話し合いをしたいのか自然と察することができる。
「そうですね。ところでベン騎士団長、アーノルド殿下の剣術訓練の進み具合を教えていただけますでしょうか? その……頭をぶつけられてからかなり体力も落ちて、技術面も心配なのですが、森に入っても問題ないくらいの自己防衛はできるようになっているのでしょうか」
俺は、以前のアーノルド殿下の技量を知っているが、リアナが入り込んでからは彼女なりに努力をしているのは認識しているが、自分で身を守れるほどの域に達しているとは到底思えなかった。
「そうだな。多少、上達してきているが……以前と同じように剣を振るうのは、まだできていないな。正直、まだ自己防衛できる域ではないから、あまりお勧めはできないが、崩御された正妃の皇子として参加が必要かと問われれば、まぁ、参加しておいた方が良いだろうなとは思うな」
やはり……そうか。第一皇子、第二皇子は本人を含め、皇太子を狙っていると思われる。特に側妃である妃殿下お二人の周辺が躍起になっているようだ。第四皇子は、まだ御年八歳になられたばかりだ。アーノルド殿下の弟君であるから、去年と同様に形だけの参加で、森の入り口で待機して実際は騎士団員が動くというやり方で参加されると思われる。
昨年のアーノルド殿下は、魔力が高いなりに風魔法も使いこなされていたので、中型魔獣と遭遇しても騎士団員と共に身を守りながら討伐するくらいの腕前はすでに持ち合わせていた。
「マヤゴン魔術騎士団長は、どうですか? アーノルド殿下の風魔法は以前と同じくらいは使いこなせるようになってきているのでしょうか?」
俺は先日の空中酔いのことを思い出しながら、マヤゴン魔術騎士団長に今の殿下の技量を問うてみた。
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