63 ライガーンの不得手な魔法②
「ねぇ、ライガーンでも治せない症状とかってあったりするの?」
私は素朴な疑問をぶつけてみた。
酔いを取り除くこと以外にも苦手なことがあるのかもしれない。
簡単そうな質問をしたのだけれど、少しばかりライガーンは顔を歪める。
「……殿下。その話をここでするのは大変危険です」
「えっと……」
「それにつきましては、殿下の執務室にてお話させていただきますね」
「うん。わかった」
何か聞いてはいけないことだったのだろうか。
浅はかな私は、なぜあの場でライガーンが苦手とすることを言うのをためらったのか、すぐには理解できなかった。
■■■
私がようやっと、自分で歩いても酔わない程度になってから一度自室に戻る。
訓練着を脱いで着替えた頃に、ライガーンに執務室まで足を運んでもらった。
「先ほどは、失礼致しました」
「ううん。ぼくの考えが足りていないから、場所を移したってことでしょ?」
私は、落ち着いて考えてみたらライガーンの弱点というか不得手なことを、誰が聞いているかもわからない場所で問うべきではなかったと反省した。
「いいえ。殿下がご自分で何が良くなかったのか、お気づきになられたようで嬉しく思います。あの場では、どこで誰が聞いているのかわかりませんし、気を抜くと取り返しのつかないことにもなりかねませんからね」
「そうだよね……」
私は、眉を下げて、自分の至らなさを反省する。
そんな、私を見かねたライガーンが先ほどの質問について説明を始める。
「実は、ですね……。解毒というのは得意ではありません」
私は、一瞬、フォーレス医院で習ったことを思い出す。
確か……何の毒か特定できないと解毒薬が作れないのと同じで、回復魔法も何の毒か特定できてからでないと正しく作用しないという話をシャーリー聖女がしてくれたことを思い出した。
「何の毒か特定できてからでないと、解毒の回復魔法がかけられないってこと?」
私はベルフォン王国の知識と、このラーン帝国の知識が同じかどうか確認するために、自分が知っている内容を話してみる。
「左様です。ですので、殿下もどうか毒を盛られたりすることがないようにご自分でも十二分にお気をつけ下さい。私が傍にいる時は毒見がされているかを確認しておりますが、私が不在の時に人から差し出された物を安易に口にするような事は避けていただきたく存じます」
ライガーンの言う通りだ。
リアナとしての私は、アーノルド殿下の身体にいるのであって、毒を口にするということはアーノルド殿下の身を危険にさらす行為に他ならない。
「そうだね。精一杯、気を付けて生活するようにするよ」
「宜しくお願い致します」
毒に関しての注意事項はよくわかった。
ここで、私はもう一つ気になっていた事をライガーンに尋ねてみることにする。
あくまで、さりげなく……。
怪しまれないように聞かないといけないわね。
私は、疑問に思いながらも聞いていなかった質問をもう一つ、ライガーンに問うてみることにした。
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