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5 聖女デビュー初日①

「さぁ、リアナの見習い期間も終了したから、今日からEランクの聖女としてこの腕輪をつけて仕事を始めてもらうわよ!」


(やっほい! ついに聖女デビューよ!)

 私は心の中でこぶしを振り上げて、声なき雄たけびをあげる。


 私の半年に及ぶ、見習い期間は昨日で終了し、今日からEランクの聖女として回復魔法を必要として訪れる患者さんを直接治療しても良いことになった。


 シャーリー聖女から、治療するとポイントが自動的にたまっていく魔道具の翡翠色の腕輪を受け取ると、早速左手にはめてみる。すると私を受け入れたかのように、軽く光ったと思ったら手首に沿うように腕輪自身が形を変えて違和感がない。まるで自分の身体の一部になったみたいだ。


「なんていうか…腕輪って聞いていたから、日常生活や治療の邪魔になりそうだなぁって思っていたんですけど、まるで身体と一体化しているような感じなんですね。全く違和感がなくて驚きました」


 私はこんなにも自分の身体にフィットするなんて! 着け心地最高!!


 それに、賛同するようにシャーリー聖女も腕を組みながら、


「そうでしょう。そうでしょう! 私も初めて装着した日を思い出したわ。びっくりするくらい身体に馴染むのよね~。魔道具ってすごいわよね」


 と、腕輪の機能だけではなく装着感を絶賛する。


 私はまだ馴染みのない魔道具である腕輪をさすりながら、こんな高額魔道具の支払いはどうなっているのか疑問に思って、尋ねてみた。


 大丈夫かしら? 知らない間にローン払いが始まっていない? 詐欺じゃいよね、コレ?

 もしローンなら、せっかく稼いだお給金もなかなか貯まらないだろうなと不安になる。


「うふふふ。リアナ聖女。安心して下さい。これらの魔道具は全て公爵家から支給されているので、あなたに支払う必要はないのよ」


「おー、それは大変有難いですね。てっきり何年かかけてお給金から引かれていくものだと思っておりました」


「確かに、領主様によってはそういうことをなさっている方もいらっしゃるようですが、ここは三大公爵の一つ、しかも筆頭公爵家が治めているんですもの。そんな聖女に負担を強いるようなことをなさる御人ではございませんわ」


 私は、まだお目にかかったこともないけれど、平民が通いやすい医院をと考えて下さる方なのだから、きっと素晴らしく配慮のできる方なのだろう。

 いつかお会いする機会があったら、しっかりとお礼を述べよう。そして、医院で領民に貢献しまくるわ!


 そんなことを考えているうちに、トッシーナ聖女、タチア聖女もいつの間か医院に来て、仕事前の準備をしていたようで、


「今日から頑張ってね! 見習い卒業おめでとう!」

「あなたの回復魔法なんてまだまだなんだから、手に負えないと思ったらすぐに私たちを呼ぶのよ」


 と激励の言葉をかけてくれる。


「ありがとうございます。まだ頭痛とか腹痛の痛みを和らげることしかできませんが、上達できるように頑張りたいと思いますので、ご指導宜しくお願い致します」


「あ~、私にもこんな初々しい時代があったわよね~」


 シャーリー聖女も昔の自分と私を重ねながら、新しいEランク聖女の誕生を喜んでくれた。


 午前中は、いつもよりも静かな職場で、初日を無事に乗り越えられると思っていたのだけれど・・・。 

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