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4 フォーレス医院②

 フォーレス医院に来て1週間。


 私もだいぶフォーレス医院の一員として働けるようになってきたわね。見習いだけど。

 一緒に働くうちに、聖女のことが少しずつわかるようになってきた。


 まず、びっくりしたのが聖女にも階級があるとのこと。

 一番上の聖女はSSランク、次いでSランク、Aと続き、一番下の階級はEランクということ。


 めっちゃ頑張らないと昇給できないじゃない! 私への挑戦状として、上りつめるしかないわね!

 途中、いっぱい休憩すると思うけど、SSランクまでやってやるわよ! やる気だけはあるわよ!

 最初だけかもしれないけど。


 医院や貴族のお抱え聖女であっても、治療した度合い患者数でポイントが貯まると昇給していく仕組みになっていた。


 Aランクよりも上の上級聖女になってくると王宮で執り行われる昇級試験に合格しないといけないらしい。


 目標があることはいいことだけど、戦場など患者の数が多い時はポイントなんて計算するのも大変そうだなと思っていたら、聖女に配布されている魔道具の一つに回復魔法など魔力を使うと自動的にポイントとレベルを換算してくれる腕輪があるから、それをみんな装着しているとのことだった。

 自分で記録しなくてもポイントを換算してくれるなんて、なんて素敵な魔道具なんでしょう! 


「そういえば、呪いを持っている人は聖女に解呪してもらいにくることもあると聞いたのですが、私がこちらに来てから呪い持ちの患者さんてお見えになりましたか?」


 私は自分の呪いを自分で解けるかどうか知りたかったので、呪いについて聞いてみた。


「呪いを持っている患者はシャーリー聖女しか解呪できないわ。彼女はCランクでしょう? 私のようなDランクでは解呪はできないもの。そもそも呪い持ちなんて1年に一人くらいしか来院しないんじゃないかしら。そんなに呪いばかりの世の中だったら、大変じゃないの。呪いをかける術者なんてこの国にはほとんどいないんだから」


 ん? そうなの? 術者ってあまりこの国にいないのに、私は誰かにかけられたってこと?

 ある意味、貴重よね。いったいどこで呪いなんて拾ってきてしまったのかしら。

 特に困った症状も出ていないから、気にもならないのだけれどね。


 それでも、呪い自体が希少で逆に私の状況が特別な状況に置かれているのだと再認識させられる。


「ちなみに、呪いを持っている方って、シャーリー聖女はどうやってわかるんでしょうか?」


「それはね、Cランクになると呪いの患者さんの身体の周りに黒いモヤモヤっとしたものがうっすら見えるらしいのよ。私も早くCランクに上がって、この目で患者を診られるようになればいいのだけど…。リアナはまだ見習いだからまだまだその呪いの患者さんを診ることはないでしょうね」


 そうなのか…。私自身、Cランクに上がるまで呪いは解呪できないってことね。先は長そうだわ。


 そこで、私はふとあることに気が付いた。


 私の呪いはシャーリー聖女に見えているのかしら。

 もし呪いの黒いモヤモヤが私の身体から視えているのなら、シャーリー聖女なら助言とか解呪方法を先に説明してくれそうなものなのに。


 きっとシャーリー聖女には視えにくいくらい、とっても空気のようなうっすらとした黒いもやなのかもしれないわね。それぐらいの軽い呪いなら、私がCランクになるまで、そのままにしておいてもいいかもしれない。


 だって、私自身が呪いで困っている!とか苦しい!!なんて感じたことはないのだから。


「ちなみに、Cランクに上がれば、だいたいの呪いは解呪できるのですか?」


「そんなこともないわよ。弱い呪いしか解呪できないから、強力な呪い持ちは解呪できないらしいわよ。まぁ、そんな解呪できないほど強力な呪いなんて受けていたら、身体への負担が大きいから普通の人なら長く生きながらえるなんてことはできないと話に聞いたことがあるわ。真偽のほどはわからないけどね」


 ひぇぇぇ。それは怖いかもしれない。呪い殺されるという言葉がぴったりじゃないの。

 でも、私はこうして呪いを感じずに、のほほんと生活しているのだから、軽い呪いに間違いはないわね。

 この時の私は、自分への呪いの解釈をとても甘くみていた。

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