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33 孤独な少年

 ライガーンは、私にゆっくりと向かい合ってから一度居住まいを正し、アーノルド殿下について話出した。


「まぁ、頭をぶつけられて殿下の記憶が無いとのことなので、まず家族構成からお伝えいたします。アーノルド殿下には二人の異母兄がいらっしゃいます。第一皇子と第二皇子ですが、それぞれ別の側室の方がお生みになっております。それからアーノルド殿下のお母上である皇后陛下がお生みになられたのは三人のお子様。第三皇子のアーノルド殿下、そして下にも第四皇子と第一皇女がいらっしゃいます。


 生まれた順番が側妃のお子様である第一、第二皇子が先に生まれていらっしゃいますが、アーノルド殿下は第三皇子であっても皇后陛下のお子様ですから、皇太子が決まっていない今では、お互い蹴落とし合いがいつ始まってもおかしくありません。


 皇后陛下がお亡くなりになったのが三年前ですが、その頃から側妃の皇子である、第一皇子、第二皇子を皇太子にしたいと思う派閥の勢力が拡大してきております」


 私が思い描いていた、皇族らしい豊かな生活を送っているとアーノルド殿下とはずいぶんかけ離れているようね

 アーノルドが育ってきて環境が、なんとなく居心地の悪い空間に思えてきてならない。

 そこで、私は会ったことがない弟、妹について尋ねてみた。


「そうですね。第四皇子と皇女殿下は、ここではなく別の離宮で生活しておりますので、頭をぶつけてから、お会いする機会がございませんでしたね。大変、申し上げにくいのですが、亡くなられた皇后陛下はとても大切に第四皇子を育てていらっしゃいました。それで、そのお姿をアーノルド殿下が気にして勉学がおろそかにならないようにと、アーノルド殿下とは別の離宮でお過ごしになられていたのです。」


 なにそれ、と言いたいけれど、皇位継承権をめぐっていろいろな思惑があったのかしら。なぜそんなことになったのか不思議だけれど、きっとアーノルド殿下は愛に飢えていたのかもしれないわね。


 私の疑問をくみ取ったライガーンは言葉を続ける。


「あとは、アーノルド殿下がお生まれになった時の状況も、秘匿とされていたのでそれで臣下の者たちは、良い印象を持っていないのかもしれません」


「秘匿ってどういうこと? 普通に懐妊していたら、さすがに周囲はわかるよね?」


 ライガーンの説明を遮りたくはなかったけれど、さすがに状況がよく理解できなかった私は、口を挟んでしまう。


「・・・それがですね。亡くなられた皇后陛下はアーノルド殿下を身篭る前に、流産を二度経験されておりまして、その後、懐妊していたことをずっと隠されて、ある日突然、アーノルド殿下の誕生が知らされたのです。まぁ、二度の流産が誰かの陰謀によるものだと思われて、警戒されていたから無事、出産するまで秘匿とされたのでしょうが、陛下ですら皇后陛下の懐妊を知らないまま、ある日、突然皇后陛下の腕の中に赤ん坊の殿下がいらっしゃったので、大層驚いた・・・とは聞いております。」


 そうなのね。ある日、突然出産を知らされたから、本当に陛下のお子かどうか周りの臣下が疑ってしまい、育てにくくて愛情が薄くなったという可能性もあるのね。


 大きくて立派な居室、調度品があるのに、家族が愛してくれていなかったかもしれないなんて、なんて寂しい環境だったんでしょう。

 私も孤児だから、正直、仲良く手を繋いで笑いあっている家族を見ると、羨ましいと思うこともあったし、胸が締め付けられるような感情もあったけれど、孤児院の院長や同じような孤児と集まって、ささやかながら笑い合える環境にはあったもの。


 アーノルド殿下には笑い合えるようなご友人とかが、いたのなら救いなのだけれど。

 私が想像していた人物とは異なって、アーノルド殿下が孤独な少年時代を過ごしてきたことに胸がツキリと痛んだ。





読んで下さりありがとうございます(о´∀`о)

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