27 二人の聖女
フォーレス医院に戻った、ぼくとシャーリー聖女は土砂災害に巻き込まれた経緯を医院で働いていた二人の聖女に説明をする。
シャーリー聖女もリアナの姿をしたぼくも、聖女の服を着ていない。
昨晩、シャーリー聖女が宿屋の近くで手に入れてくれた質素な服で医院を訪れたから、二人の聖女は驚いていたようだった。
ぼくは、リアナの身体にいるけれど、彼女の記憶があるわけではない。今、目の前にいる聖女二人と自己紹介するわけにはいかないから、シャーリー聖女が二人の名前を呼ぶのを聞いて、名前を把握する。
黒髪の女性がトッシーナ聖女、金髪の聖女がタチア聖女だな。
どれくらいリアナの身体の中にいるのか、解決方法が見つかるまでここで暮らしていくことを考えると、彼女たちとも仲良くしておくべきだな。リアナがいつ戻ってきても良いように、できるだけ彼女の評判を落とさない行動を心がけよう。
「ねぇ、トッシーナ聖女、タチア聖女。悪いのだけど、リアナは酷い怪我を負っていたのよ。1週間ほど休ませてあげたいのだけどいいかしら?」
シャーリー聖女は、医院にいたトッシーナ聖女とタチア聖女に、ぼくが休めるように、正確に言うとリアナが休めるように提案をしてくれる。
「そうね。そのほうがいいと思うわ。昨日、シャーリー聖女もリアナ聖女も戻ってこなかったから、ずいぶん心配していたの」
「しかも、今朝も二人とも医院に来ないから、きっと何かあったんだわ!ってトッシーナ聖女と話をしていたのよ。無事に戻ってきてくれて嬉しいわ。もちろん、シャーリー聖女もお疲れでしょうし、ゆっくり身体を休めてください」
「タチア聖女と二人で十分ですから! 医院のことは私たちに任せてください!!」
先輩聖女の気持ちに感謝し、ぼくは1週間の休みをもらった。
家の場所もわからなかったけれど、どうやら聖女のみんなは同じ宿舎で生活をしていると聞き安心する。
リアナは宿舎の部屋の鍵も、手持ちのお金もあの土砂の中に埋まってしまったのだろう。
シャーリー聖女が合い鍵を使って、リアナの部屋の前まで送り届けてくれた。
(良かった……。どの部屋かわからずにウロチョロ歩きまわって不審者になるのは防げたな……)
「リアナ、いい? 傷口は塞がっているけれど、まだ無理はしないでね。しっかり休めてからまた一緒に仕事しましょうね」
そう、リアナに声をかけるとシャーリー聖女は去って行った。
ありがたい。ひとまず、リアナの部屋で彼女の物を使わせてもらおう。
見習い期間が終わったばかりの駆け出し聖女なら、そんなに蓄えもないはずだ。
節約しながら、リアナがどういう人物か調査しよう。
その前に、もう一度しっかり身体を洗っておこう。
昨晩はシャーリー聖女もいたし、鏡に映るリアナの姿に驚いて、落ち着いてゆっくり身体を洗えなかった。
何となく、まだリアナの髪に土砂がついているような気がするから、入念に汚れを落としてあげよう。
ぼくは、リアナの部屋に入室するとすぐさま浴室に向かった。
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