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20 回復魔法の使い手

 私は痛む腕と足を引きずりながら、一度居室に戻る。

 ライガーンは手当てするために医務室に薬を取り行ってくれている。


「あ~、痛い! あれ絶対わざとだよね。早く剣の腕を上達させないと、殿下の身体がボロボロになっちゃうじゃない!」


 私は独り言を言いながら、服を脱ぎ、自分で痛み止めの回復魔法をかけることにする。

私の目には、自分のリアナの身体が見えているので左手首には、リアナとして聖女見習いを終えてから装着したままの聖女魔道具がついたままだ。指でなぞると魔道具に触れる感覚はあるから聖女として自分を治すのは朝飯前だと考えていた。


「この一か月、怪我もしなかったし、回復魔法を使う機会が無かったから、よい練習になるわね!」


 そう言いながら、いつものように自分に回復魔法をかけてみる。

一瞬、左手首の魔道具が光ったかなとも思ったけれど・・・。私は回復魔法が使えなくなっていた。


「なんてこと! アーノルド殿下の魔法特性に回復魔法がないから発動しないってこと?!」


 部屋の中で、痛いのに何もできない自分に苛立ちが募る。

 どうしましょう。殿下の身体、あざが消えないじゃない。回復魔法が使えると思って、パンハー殿下の売り言葉に買い言葉で、喧嘩を買ってしまったのだから。


 あっちゃ~。私は手の平で顔を覆う。完全に私の判断ミスだわ。

 そう後悔していると、部屋の扉がノックされる。


「はっ! いけない。ライガーンが戻ってきたのね」

 私は、慌てて開いていたシャツのボタンを留める。ライガーンにリアナの姿が見えないとしても、はだけた衣類は妙齢の女性には抵抗があるからだ。


「殿下。入っても宜しいでしょうか?」


 初対面の時は、勝手に入ってきたのに、今日は私の返事がするまで開けないように配慮してくれている。ボロボロに打ち込まれたから、泣いて臥せっているとでも、思っているのだろうか。


「はい。どうぞ!」


 私は、ボタンを留め終わるとライガーンの入室を許可した。


「傷は痛みますよね? 少々お待ち下さい」


 ライガーンはソファに座っている殿下の前に跪き、薬や包帯を取り出す。


「無茶をしてごめんなさい」

「本当ですよ。剣術を再開させたばかりなのに、打ち込みなんて簡単に請け負わないでください! 怪我するに決まっているじゃないですか!」


 ライガーンの言葉に少し苛立ちは見えるけれど、そんなに怒っていないようで安心する。


「シャツの袖をめくっても構いませんか?」

「はい・・・」


 私は返す言葉も無いので、言われるがまま両腕を前に突き出す。


「二人だけの時は、そんなにかしこまらなくてもいいんですよ」


 そう言いながら、ゆっくり袖をめくっていく。そんな優しく触れるライガーンの指を見ていたら、フワッと緑色の光が差して、一瞬であざを消してくれる。


「!!! ライガーンって回復魔法使えるの???」


 私は、自分にできなかった魔法を目の前で、しかもシャーリー聖女よりもすばやく治してくれたので驚いて叫んでしまう。


「ご存じなかったのですか? おかしいですね~」


 ライガーンは笑いながらも、次々傷を治していく。いつもの「記憶喪失で・・・」と嘘をいうのも忘れて、あまりの手際の良さと完璧な処置に目を丸くしながらも、釘受けになってしまう。


 彼、ベルフォン王国にいるとしたらAランク? いや、もっと上のランク、SとかSSランクの持ち主なんじゃないの?! 聖女じゃないけど、こんな師のような人が近くにいたなんて!! なんてことなの!!


 私が驚いて、彼の魔法を観察と堪能している間に、身体全体にも回復魔法をかけてくれてすべて完治させてくれる。

 こんなに完璧な回復魔法の使い手なら、包帯も薬も必要なかったじゃないの! 

そう思いながら、深く追及はしないでおく。


「さぁ、もう痛いところはありませんか? これで処置は御仕舞です」

 そういうと、完璧に跡形もなく治っているはずの私の左手首に包帯を巻きだした。


「これは、病み上がりのアーノルド殿下にパンハー殿下が無理をさせて傷を負わしたと、周囲にわからせるための飾りです」


 そう言って、彼には見えないはずの聖女の魔道具の部分に包帯を巻いてくれる。


「今日の出来事は、私が殿下に家族に関する情報をお伝えしていなかったのが原因です。配慮が足らず申し訳ありませんでした」

 そう謝罪をすると、ライガーンは居室を後にした。


家族構成に全く興味がなくて、確認していなかった私にも非があったのだ。

だって、家族ならば勝手に話しかけてきたり、一日の出来事について話をするもんじゃないの? 違うの?

アーノルド殿下は皇族だから、私がイメージしている家庭とは違ったのかもしれないと、その時に私はやっと理解したのだった。

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