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119 龍の国

「ロン殿。なぜ、今このタイミングで姿を現したのですか? 何か意味があるのですか?」


 ライガーンは、なぜ今更、アーノルド殿下の前に姿を現したのか気になっているようだった。


「ただアーノルド殿下に私の正体を知らせに来ただけだ」


 ロンは、ぼくの方に顔を向けながら、と言ってもフードで目は見えないのだがあちらからはぼくの目も見えているのかもしれない。


「ねぇ、ロン殿は……複雑に絡みあっているって先ほど言ったけれど、ロン殿自身も何か困っているの?」


 ぼくは、助けを求めにここに来た可能性も含めて、確認してみる。


「ははははは。これは頼もしい。アーノルド殿下は良き王になる素質は十分ありますね。……ただ、今の時点で何かをお願いをすることはございませんが……いつか助けが必要になったらお願いするかもしれませんね」


(今は、助けは要らないということか。でも、助けて欲しい状況に陥る可能性もあるということなのかな)


 ぼくは、わからないなりにロンの言葉の意味を解釈してみる。


「そうですね。今、お伝えするべきこととしては……そうならないことを願ってはいますが、また再びリアナ聖女の身体と入れ替わってしまう可能性はありますので、常にそのことは頭の片隅に置いておいてもらったほうがいいかもしれません」


「え? まだ入れ替わってしまう可能性があるの?」


 ぼくは、正直驚いた。やっと元の身体に戻ってきたのにまたリアナ聖女と身体が入れ替わる可能性は残っているらしい。


「そうですね。問題は複雑で難解なんですよ。私は望んではいませんが、また身体が入れ替わることがあるかもしれません。それと……ライガーン殿は、グライカ帝国の北側の龍の国はご存知ですよね?」


 ぼくは、また新たな言葉を聞いて驚くが、ラーン帝国と何の関わりがあるのか全く分からなかった。


「えぇ。長年、グライカ帝国が何度も侵略を試みている国ですよね? 確か十年ほど前にグライカ帝国の侵略に困っているから、ラーン帝国の属国にして守ってくれないかと言ってきたことがあります。我が国の北側にありますが、飛び地になってしまうためこの国としては利益がなく、グライカ帝国との抗争が激化しそうだったのでお断りしたという経緯があります」


 ぼくは、龍の国という存在は知っていたけれど、ラーン帝国の属国にして欲しいという打診があったのは知らなかった。皇帝陛下の父が申し出を跳ねのけたのかもしれない。

 なぜ突然、そんな離れた国の名前が出てきたのかぼくも……恐らくライガーンも理解できない。



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