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幼なじみを追いかけて、異世界転移します  作者: お化け屋敷
プロローグ
8/8

アンジェリカの事情と勇者との遭遇

誤字脱字多いかも。一人称視点から三人称視点に急変更したので、ちょっとおかしな描写あるかもしれませんが、ご容赦を

物語はかなり早く進んで行きます


「アンジェリカ、休みの日まで冒険者として活動しているって、どうしてなんだ。そんなに騎士団の給料は安いのか?」


「騎士団の給料が安いわけ無いでしょ。かなりの高給よ。ただ私には…まあ良いか、王都で誰かに聞けば分かる話だものね。リュウスケには話しておくわ」


 アンジェリカは諦めた様にリュウスケに彼女の家の事情を話しはじめた。


 アンジェリカの家は、王都で役人をしている法衣貴族で、士爵という貴族でも一番下の階級だった。そして彼女の父親は、王都で役人をやって暮らしていたのだが、母が流行病で亡くなってしまった後、酒におぼれて家には膨大な借金を作り、そしてアルコール中毒で死んでしまった。

 日本なら父の借金を娘のアンジェリカが返す必要は無いが、この世界ではそうではない。アンジェリカは治療魔法が使えた為、ブロンズ騎士団に騎士として入団していたので、身売りすることは避けられたが、騎士団の給料でも借金の利息を返すのが限界であった。つまり、借金の元本が減らないのだから、何時まで立ってもアンジェリカは貧乏だったのだ。


「この前の任務が短期間で終わったから、少し賞与が出てね、元本も少し返済できたわ。これもリュウスケのおかげだわ。ありがとう」


 アンジェリカは改めてリュウスケにお礼を言う。しかしリュウスケは、アンジェリカのそんな事情も知らず、昨日夕飯を奢って貰った事に、少し申し訳ない気持ちになってしまった。


「いや、俺はアンジェリカに出会わなかったら、まだあの森でウロウロしていたかもしれない。お互い様だ。それで、そんな状況で、どうして俺の手伝いをするんだ。アンジェリカも今まで通り、冒険者として依頼をこなした方が良いだろ?」


 リュウスケはそう言ったが、アンジェリカには彼には言えない事情があった。


「(リュウスケを監視しているとか、言えるわけないわ)あのね、私の冒険者ランクはブロンズなの。だから本当ならシルバーランクの依頼を受けることは出来ないの。でもリュウスケと一緒なら、シルバーランクの依頼を受けることができるわ。お願いだから、旅の時のように、私とチームを組んでくれないかしら」


 アンジェリカは、リュウスケの監視任務を受ける代わりに、借金の元本の半額という金額を報奨金として前払いで貰ってしまってた。つまり何が何でもリュウスケについて行く必要があった。アンジェリカが自分が家の借金を返している事を話したのも、リュウスケがお人好しだから、チームを組んでくれる事を見越してであった。真面目なアンジェリカにとって、リュウスケに隠し事をするのは良心が痛んだが、借金返済のためには仕方ないと我慢していた。


「そういう事か。うん、すっきりした。アンジェリカが仲間になってくれるなら助かるぜ。またチームを組んで仕事をしよう」


 リュウスケはアンジェリカの言葉を信じて、手を差し出した。この世界でも握手は存在する。


「ありがとう。短い間だけど頑張りましょう」


 アンジェリカは「リュウスケに申し訳ない」気持ちで一杯だったが、それを隠して笑顔で彼の手を握った。


 ★☆★☆


「アンジェリカさんとチームを組んで、二人で依頼をこなすということですか。…ギルドマスター?」


 アンジェリカとチームを組んで、二人で依頼をこなすと受付嬢に伝えると、彼女はギルドマスターに確認を取った。本来冒険者はパーティで依頼を組む物なので、問題ないはずなのだが、リュウスケに渡された依頼は、アンジェリカには厳しい物も含まれていた。しかし、ギルドマスターは、問題など無いといわんばかりに頷いた。


「では、お二人で依頼を受けるという事で処理にします。それでどの依頼から受けられるのでしょうか?」


「最初はこの三つだな」


「『四つ手熊退治』に、『快命草の採集』、『ジャイアントマンティスの退治』ですか。魔の森、それも南の方に向かわれるのですね」


「ああ、それで『快命草の採集』の機材を貸して欲しいのだが」


「…分かりました。ギルドの備品をお貸しします」


 受付嬢はアンジェリカに視線を移して、貸しだしても大丈夫かと確認し、彼女が頷いた事で、貸し出しを許可した。リュウスケはシルバーランクといっても昨日冒険者になったばかりである。そんなリュウスケに貴重な採取機材を貸し出しても問題ないか、受付嬢には判断できなかった。しかしアンジェリカは騎士であり、王都の冒険者ギルドでも長らく活動している。受付嬢はアンジェリカを信頼して機材を貸し出すことにした。


「アンジェリカのおかげだな」


「そんな事は無いですよ」


 受付嬢とアンジェリカのやり取りに気づいたリュウスケは、アンジェリカにお礼を言った。彼は俺は直ぐ言うタイプのヤンキーだ。決してツンデレでは無い。


 採取機材を借りた後、冒険者ギルドの二階にある本で、快命草の採集方法を調べて、アンジェリカが旅の準備をしてから、王都を出発することに決めた。朝一番でギルドに来たので、そろそろお昼だが、リュウスケは無一文だったので、アンジェリカとの旅の途中で貰った黒パンと麦酒でお昼を済ませてしまった。


 それを見たアンジェリカは、「(リュウスケはこのままじゃ飢え死にしちゃう)」と慌てることになった。


「冒険者として王都から離れると、団長に話してきます。あと、冒険者の時の装備を取ってきますので、門の所で待っていてください」


「おう、門の所で待っているぞ」


 アンジェリカは騎士団の建物に走って行った。一方、リュウスケは門の方に向かってゆっくり歩いていく。


 門に向かって歩いて行ったリュウスケは、門の辺りが騒がしいことに気付いた。門の向こう側に、金色の騎士に囲まれた馬車が止まっていた。騎士団の雰囲気がブロンズ騎士団とは異なり、鎧も金色の派手な装飾が付いており、それに美男美女揃いというかなり目立つ騎士達だった。「多分あれがゴールド騎士団だな」と、リュウスケは王都の人に隠れるようにして、彼らを見物することにした。門番の兵士は、ゴールド騎士団を最敬礼で向かい入れていた。


「あれは?」


「噂では勇者御一行らしいです」


「なるほど、今度は我が国に挨拶に来たのか」


 至る所でそんな話し声がする。勇者の召喚は秘密だといわれていたが、どうやら王都の人間は知っていたらしい。まあ他の国でも勇者は召喚されているのだ、噂は伝わっていく物だ。そして、ゴールド騎士団に護衛されている馬車に乗っているのが、勇者御一行だとリュウスケは気付いた。


「勇者か…俺には関係無い…ん?」


 リュウスケは、勇者など関係無いと無視しようとしたが、その勇者達が乗る馬車に何か懐かしい香りを感じた。だがそれは僅かな、本当に僅かな香りだった。犬でも無いリュウスケが何故その香りを感じてしまったのか、この時リュウスケが行動していれば、今後の結果は変わったのだろうが、彼は「勇者とは係わりたくない」と、無視してしまった。何故なら、勇者を見ていたリュウスケの前に、アンジェリカが現れたからだ。


「待たせちゃったね」


 アンジェリカと入れ違いに、勇者御一行は王宮に向かって行った。リュウスケは、一瞬視線を馬車に向けたが、そこで彼の行動は終わってしまった。


 門に来たアンジェリカは、騎士団の鎧では無く、皮で作られた鎧を着ていた。生真面目なアンジェリカは、冒険者として活動している間は、騎士団の鎧は使わないと決めていた。しかし、剣だけは騎士の時と同じ物を持って来ていた。これは、剣は消耗品なので、団長から使って良いと言われたからだった。


「あれが勇者御一行らしいな。みんな噂してたぜ。勇者の事は、秘密じゃ無かったのかよ」


「一応、平民には秘密にしているんだけど、あれだけ目立っちゃうと意味ないわよね」


 アンジェリカは、ゴールド騎士団に守られた馬車を見てため息をついた。リュウスケも彼女のその気持ちが理解できた。


 そしてリュウスケは、「(勇者一考は俺とは関係無い。俺は魔王などとは係わりたくない。早く日本に帰ることだけ考えるのだ)」と、自分の頭から勇者の事を消し去った。


 ★☆★☆


 王都を出て一日、リュウスケとアンジェリカは、『快命草の採集』、『ジャイアントマンティスの退治』を終えて、最後の『四つ手熊退治』を行っていた。魔の森の南から近隣の村を襲っていた巨大な六本足の熊と二人は偶然遭遇して戦う事になってしまった。


「オラオラ、四本も手が有るくせに、攻撃が温いぞ」


 リュウスケが愛刀を振るう度に、四つ手熊の手が切り落とされいった。もう四つ手熊では無く、手無し熊となってしまった。


「ウガッ、ウガッ」


 手を失った四つ手熊は、それでも戦うつもりで、リュウスケに噛みつこうと頭を下げた。しかし、リュウスケはそれを待っていたの。


「ほれ、コレでおしまいだぜ」


 グシャッ


 頭を下げた四つ手熊の頭を愛刀でかち割って、『四つ手熊退治』は終わった。四つ手熊との戦いでは、アンジェリカの出番は無かった。


「どうして、リュウスケは咆吼を受けても大丈夫なのよ…。あの咆吼って、恐慌の状態異常魔法と同じ効果があるのよ」


 アンジェリカは、熊と出会った時の咆吼で腰を抜かしてしまった。四つ手熊の咆吼には、精神に働きかける状態異常の効果があることは、リュウスケもアンジェリカも知っていた。しかし、魔の森で『快命草の採集』を終えて、一旦村に帰ろうと思った所で、二人は四つ手熊と突然出くわしてしまった。採取を終えた事で気が緩み、周囲を警戒していなかった二人が悪いのだが、突然の出会いと咆吼の洗礼で、アンジェリカは腰を抜かしてしまった。おかげでリュウスケは一人で、アンジェリカを護りながら、四つ手熊と戦う事になってしまった。


「ヒグマよりちょっと大きいだけで、歯ごたえが無かったな」


 魔物と言っても所詮熊である。群れで襲ってくるならまだしも、一体ではリュウスケの敵では無かった。


「四つ手熊って、普通はシルバーランクの冒険者が、五人ぐらいで戦う相手よ。それだけ強い魔物なの。リュウスケの言うヒグマって、どんな化け物なのよ」


 恐慌状態を抜けたアンジェリカは、四つ手熊の解体をしていた。魔石と胆嚢が高く売れるらしい。リュウスケは熊の手を切り取って、麻袋に突っ込んでいた。この世界でも熊の手は高級食材で、王都で売れば金貨二枚になる。


「さて、依頼も完了したし、王都に戻るか」


「またリュウスケに運ばれるのね」


「それが一番早いんだよ」


 アンジェリカとチームを組んで依頼をこなすことになったが、問題はやはり移動速度だった。アンジェリカの移動速度に合わせていたら、時間がかかってしまう。だから騎士団の任務の時と同じく、リュウスケは、アンジェリカを背負子に背負って走っていた。


「どうして私だけこんな目に遭うのよ~」


 アンジェリカの悲鳴を後に、リュウスケは走った。日本へ帰るために彼は努力するヤンキーだった。


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