81話 真実
ギルド長の死体が見つかったのは、街の外れにある貴族街。
手足はグチャグチャに潰され、拷問を受けた後があったそうだ。
街はその報せを受けて大慌てとなり、特に冒険者ギルドの前には人が溢れ返って、噂が噂を呼んで新しい噂を湧き上がらせていた。
(シガルか?いやどうだろう。
レックスを殺すならまだわかる。
だが、なぜ今ギルド長を?
この件に、シガルは関係が無いのか?)
「ゼロ、、、ゼロ!!」
「ああ。
すまん。」
「さっきからずっと呼んでたのよ?
それで、、、どうするの?」
「そうだな。
ひとまず、今は何もわからないわけで。
俺たちに出来ることは何も無いしな。」
「シガルなのかしら?」
「わからない。
この件が俺たちにどの程度影響があるのかも。」
「それは、、、そうよね。」
朝から街中が騒がしく、捕まえた1人から聞いた今回の話。
一旦、広場に出た俺たちは、その様子を眺めながら話し合っていた。
しばらく沈黙が続いた後、フィーアが口を開く。
「ジェンのところに行ってみない?」
「うん?
急にどうしたんだ?」
「ゼロとジェンは話せるのよね?」
「あの場所に居ればな。」
「そうよね、、、
元々、私達のパーティーでは、彼が代表となって、シガルと何度か会っていたの。
それに、ギルド長とも会っているはず。
その彼なら、何かわかるんじゃないかと思って。」
「なるほど。」
(じっとしているよりかは幾分かマシか。)
「フィーアは良いのか?
その、、、気持ち的に。」
「ええ。
問題無いわ。」
「わかった。
じゃあ、みんなで【不死の森】へ行こう。」
「わかりました。」
アインスの了承を皮切りに。
すぐに俺たちは街を出た。
向かった先は、【不死の森】の入り口付近。
ジェンの宿り木の前。
「ジェン。
居るのか?
居るなら姿を現してくれ。」
その言葉にポゥッと現すその姿。
「居たのか。」
「ああ。」
「どこに居たんだ?」
「わからない。
あの時アイツに弾き飛ばされたと思ったら意識が無くなってな。
今、お前に呼ばれて意識が戻った。」
「そうなのか?
こっちは、あれから2日経ってるぞ?」
(誰かに呼ばれなければ消えてたのか?)
「そうなのか!?
あの後は無事だったんだよな?」
「ああ。
見てのとおりさ。
今日はお前に聞きたいことがあってな。」
「何だ?」
「端的に。
冒険者ギルドのギルド長が殺された。
俺たちはシガルが絡んでいるんじゃないかと疑っている。
何か知ってることは無いか?」
「ギルド長が、、、
そうか。」
「心当たりでも?」
「いや、どうだろうな。
有ると言えば有るかも知れない。」
「何だそれは?」
「一つ頼まれてくれないか?
その依頼の変わりに話すというのはどうだろうか?」
「依頼か、、、
内容は?」
「実はな、、、」
そう言ってジェンが懐から出したのは、ロケットペンダント。
「それ!
浮いているそれ!」
「どうした?
フィーア。」
「ジェンが大切にしていた、、、」
「ああ。
今、目の前にジェンが居るよ。」
ジェンはどこかバツの悪そうな顔で差し出している。
「これは、お前が持っていたのか?」
「ああ。
この場所で気付いた時に、落ちていた。」
(自分の思い入れがある物は、一緒に呼ばれるんだろうか。)
「これをどうすれば良い?」
「中を見てくれ。」
手渡された中を開いてみると、そこには綺麗な女性と幼い男の子の絵が入っていた。
「これは?」
「俺の家族だ。」
フィーアが横から覗いている。
「家族?」
「家族って何?
どういうこと?」
「フィーア。
ちょっと待ってくれ。
ジェン、、、
どういうことだ?」
そこでジェンは申し訳なさそうに語った。
フィーア達とパーティを組んだ時には、既に妻が居たこと。
今から5、6年前。
その妻との間に子供が産まれたこと。
その後、妻とのすれ違いが多くなる中で、フィーアに惹かれてしまったこと。
それを、そのまま背後のフィーアに伝える。
「最っ低ね。
本当に最低よ。」
「フィーアは気付かなかったのか?」
「残して来た家族が居るとは聞いてたわ。
でも、まさか、、、」
フィーアはどこに言葉を投げかけて良いかもわからず、下を向いてそう言う。
「騙してた訳か、、、
それで依頼の内容は?」
「2人は今、テルレ公国の都のミライに住んでいる。
この間、お前は俺の目の前でフォレストロトを取っていたよな?
つまり、俺が消えた後。
俺が存在することの出来ているこの木の根本から、フォレストロトが採取出来るんだろ?」
「確実ではないが、恐らく間違いないだろう。」
「全部とは言わない。
半分で良い。
それを売った金の半分をこいつらに渡してくれないか?
頼む、、、
何もしてやれなかったんだ。」
「お前はフィーアを騙してた訳だな?」
「それは、その通りだ。
本当に申し訳なく思う。
どうか、俺の願いを聞いてくれないか?」
「ふー。」
(良くもまぁこんなタイミングで。)
フィーアにそれを伝えると、フィーアは黙り込んでしまう。
「どうする?
こんな話を聞くために来た訳じゃないのにな。」
「本当にね、、、」
「フィーアが決めてくれて良いぞ?」
「いいわ。
じゃあ、この依頼受けましょう。」
「良いのか?」
「ええ。
彼がパーティを率いてくれたことは事実だし、最後に私を逃してくれたことも事実よ。
但し、これで全て終わり。
貸しも借りも全て無し。
これが終われば、あなたのことを思い出すことも無いわ。」
「だそうだ。」
「すまない。
フィーアには、本当にすまないと思っている。」
「じゃあ、先ずはこれを届けよう。
お前がどれほどの人間かも知らんが、先に金貨30枚程度は渡して来よう。
お前のフォレストロトが売れた時の差額があれば、それも渡す。
それに対するサインでも貰ってくれば納得するか?」
「ああ。
そうだな。それで良い。
あいつの字なら良く覚えてる。」
「フィーアもそれで良いか?」
「ええ。良いわ。
半額と言えど、フォレストロトを売るのだから、私たちにとって割の良い依頼になるわね。」
「じゃあ、そうするか。」
(たくましいねぇ。)
「すまない。
ありがとう、、、」
頭を下げるジェンを背にして、俺たちは再び街へと戻って行く。
いつもお時間いただきありがとうございます。
そろそろ、冒険者編のまとめに入りたいと思います。




