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魂を側に感じたら〜異世界上場会社を目指して〜  作者: 楽 我食
5 奴隷商人シガル

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77話 黒虹

倒れた木々の近くに転がるいくつもの死体。

まだ、死んで数日であろうと思われるものから白骨化したものまで。

その数は10を超えていた。

(魔物が持って行ったこととかも考えると、この倍以上か。)

せめてもと思い、転がる死体に鬼火を掛けて燃やす。

数人はその場にまだ留まっていたのか。

いくつかの虹の魂が、思い思いの方向へとそれぞれ旅立って行く。


(悪いな。)


ドン・ファンクへと向かう道に済ませておけば、助かった命もあるかも知れない。

だが、あくまでこいつを仕留めたのは、前にシガルが仕向けた殺し屋達を返り討ちにした際、勢い余って魂をも切り捨てたことを再検証するためだった。

それは、次の目的地に向けて。


再び暗闇の中で歩みを進める中、フィーアが1人でぶつぶつと呟き続けていた。


「何なの?大体、鬼の力ですって?」


自分を落ち着けるためなのか。

はたまた、俺に不満を届けるためなのか。

フィーアのひとり言は止まらない。


(楽しそうだな。)


フィーアが直面しているであろうストレスの大きさを考えると、自然とそう感じた。

カリカリする。

そんな言葉がこれほど似合う姿は他にあるのだろうか。

だが、適度なストレスは、人生を豊かにするというのは前世からの学びであり、俺のモットーだ。


「すまないな。

フィーア。」


口では謝りつつも、心の中では微笑む自分が居たが、周囲の景色の変化と共に緩んだ心を今一度引き締める。


「そろそろ目的地が近い。

気をつけてくれ。」


3人と1匹。そして1つの魂が進んだ先。

先ほどまでの乱立した木々は消えて、視界が開ける。


「次は何なの?」


「しっ。」


唇に人差し指をそっとたてて、僅かに息を吐いた。

その後鼻からゆっくりと空気を吸い込むと、身体中の細胞を起こす。


ドン・ファンクを狩った帰り道。

俺はなぜか瞳孔を端に動かして、視界を横にスライドさせた。

偶然見つけたというよりかは、どこかでその姿を探している自分が居たからなのかも知れない。

跡形も無く消えた"アイツ"が、それ程簡単にこの世界を去るとは思えなかったし、ましてや、その後俺は気を失ったため、最後まで全てを見届けることも出来なかった。

そして、相手も俺のことを探していたのではないだろうか。

街中で知り合い同士の目線がふと合うように。

俺の目は、その姿を遠目に捉え、相手もまた然りであった。

無論、見つけることが出来た理由はそれだけでは無い。

テルレ公国で再び死への狭間を彷徨って以来、魂の気配をより強く感じるようになっていたことも原因の1つだと考えられる。


視線の先に映るのは、一本桜のように聳える黒よりも黒い木。

真っ暗闇の森の中で、本来見えるはずの無い視界の先に、その木の姿をハッキリと認識した。


「これがアイツが死んだ何よりの証拠じゃないか?」


俺の言葉に反応するように、虹の玉が動いて、ジェンが姿を現す。


「なんと!?」


「ジェン。

今度はちゃんと守ってやれよ。」


スッと踏み出した足が、相手のテリトリーに踏み込んで三歩目を刻んだ時。

フッと現れた光と共に、空気の振動が、耳の鼓膜にまで届く。


「待ってましたよ。

ゼロ、、、

お久しぶりですね。」


挨拶と同時に飛んで来た何かを鬼の手で防ぐ。


キンッ!


「えっ!?えっ!?」


「ジェン。

後ろの2人は任せた。」


「ゼロ!

これが最後戦です。

文字通り、魂のぶつかり合いを!」


以前と変わらない姿の男。

いや、魔族。

テルレ公国で俺を。

ミア達を苦しめた存在。

そいつが今。

再び、俺達の方へと迫る。


ドンッ!


突如、そいつは横に吹き飛んだ。

なぜなら、真っ直ぐ俺へと向かう魔族の男にジェンが横から体当たりをしたからだ。


「誰ですか?

あなた?」


「俺のことを忘れたのか?」


「もしかして、私に殺された冒険者の誰かですか?」


「ああ。

そうさ、、、」


「それは、残念でしたね。

その顔は見た記憶があるような気がします。

どうか安らかに。」


「舐めやがって!」


そう叫んだ次の瞬間には、今度はジェンが吹き飛んで、森の中に姿を消す。


「さようなら。」


(結局、魂になっても力の差は歴然か。)


「さぁ!ゼロ!

仕切り直しましょう!」


ジェンが魔族の男に体当たりをした時。

既に俺の準備は終わっていた。

腰の真っ白な鬼月の柄へと手を伸ばし、眠る魂を束ねるイメージを高めていく。

まるでゼンの様に。

俺こそが鬼の頭領であるという心持ちで、鬼月の中に眠る魂達へ1つとなるように語りかける。

1人、2人、、、

10人、20人、、、

その数が、即座に40人にまで及ぶと、鬼月が力を帯びていく。


「では、いきますよ?」


場面は戻って、魔族の男は再び俺の目の前。

その姿が眼前に迫る。


「じゃあな。」


鞘から抜き出した刀身は、真っ赤に染まっており、その上では梵字の様な文字が踊る。

そして、その動きはそのまま一の太刀となって、相手の胴をすり抜けた。

返して、振り上げた二の太刀が、袈裟斬りに肩からズバッと切り裂く。


「何てこと、、、」


「もうお前も眠れ。」


「何と強くて美しい。

ゼロ、、、」


「お前に出会えたことに感謝するよ。」


「お前にもう一度会うことだけが私の未練でした、、、

しかし、それは今変わった!」


既に魔族の男は、先ほど切り捨てた男と同様に、泡のように消えてかけている。


(まさしく、最期の一言か?)

「何だ?それは。」


「あなたの行く末を見届けたいと。」


消えかけた魂が近づいて来る。

そして、俺の意識は真っ暗闇へと落ちて行く。


いつも読んでいただきありがとうございます。引き続きよろしくお願いします。

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