72話 組み合わせ
起きて身支度を整えると、すぐにギルドへ向かった。
アインスには先にセーラのポーション屋で準備を進めてもらうように伝える。
「レミアさん。
おはようございます。」
「ゼロさん。
おはようございます。
指名依頼については、フィーアさんから昨日の内に了承をいただきました。」
「そうでしたか。」
「報酬はいくらでも良いとのことですが、今回の依頼はある程度の期間があるものでしょうか?」
「そうですね。
1週間はお手伝いいただきたいと思ってます。」
「わかりました。
昨日考えてたのですが、今回の指名依頼の報酬は1日あたり銀貨5枚でいかがでしょう?
ギルドとフィーアさんの取り分は折半で。」
「わかりました。
それで結構です。」
(ランクBの冒険者を指名で依頼するんだから、安いくらいか。)
「相変わらず早いですね。
後、もう一つの依頼なんですが、、、」
〜Quest
依頼名:清掃
難易度:★
資格:誰でも
依頼者:ゼロ(Bランク冒険者)
場所:ゼロの屋敷
期間:未定
報酬:未定
ギルドポイント:未定
〜
(依頼書を作ってくれていたのか。)
「今朝、こちらを貼り出したのですが、、、」
「ですが?」
「あまりにも人が殺到しまして、一旦取り下げさせていただきました。」
「殺到、、、ですか。」
「はい。
私共も甘く見ておりました。
やはり、最速でランクBまで登られた方ですからね。
少しでも繋がりを持ちたいという方が大勢いらっしゃいます。」
「なるほど。
どうしましょうか?」
「これもフィーアさんに頼んではいかがですか?
指名依頼の中に内容を混ぜてしまって。」
「なるほど。
そうさせていただきます。」
「では、こちらは取り下げておきますね。」
「わかりました。」
(早速、フィーアのところに向かうか。)
レミアにお礼を伝えて広場に出ると、宿屋ドン・ファンクに向かう途中で、フィーアに出会した。
「おはようございます。
今からちょうどお声を掛けに行こうかと。」
「あら、そうだったの?
私もちょうど今からギルドに向かおうとしてたのよ。」
「今日からよろしくお願いしますね。
後で、ギルドからも説明があると思いますが、報酬は1日銀貨2.5枚です。」
「ありがとう。
報酬の件も承知したわ。
こちらこそ、よろしく。
期間はどれくらいかしら?」
「1週間程度を考えています。」
「わかったわ。
改めて、昨日は本当にありがとう。
心から感謝するわ。」
「とんでもないです。」
「いえ。私に出来ることなら何でも言って。
後、そんなに丁寧に話さなくて結構よ。
むしろ、今日からは私が雇われてる立場なんだから、普通に話してちょうだい。
依頼している側が、そんな調子だと他の冒険者に舐められるわよ?
これからBランクとしてやっていくなら、そういうところにも気をつけた方が良いわ。」
(なるほど。)
「わかりました。
じゃあ、冒険者フィーア。
今日からよろしく頼む。
早速ポーション作りに向かいたいが、良いか?」
「ええ。
よろしく。」
そうして2人でセーラの店に向かうと、本格的にポーション作りが始まった。
最初、ある程度ポーションを作ってから、それを煮詰めるかたちでドン・ファンクの魔石を使おうとしたのだが、フィーアにそれは止められた。
先ずは、ドン・ファンクの魔石と組み合う薬草を探した方が道筋は早いという。
そこで、様々な薬草を煮詰めたものをいくつも用意する。
その辺りはセーラの知識を借りて、いくつものパターンを用意した。
それぞれに、一欠片づつドン・ファンクの魔石を入れて、更に煮詰めていく。
結果としては、どの組み合わせもそれなりに効果が出ることが分かった。
ドン・ファンク級の魔物の魔石であれば、そこに含まれる膨大な魔力によって、薬草との組み合わせの良し悪しはあまり関係が無いのかも知れない。
「これなら、あれが合うんじゃないかしら?」
結果を踏まえてフィーアが話し出す。
「あれとは?」
「カプラ草よ。」
「カプラ草。
確か夜にだけ姿を現すんだったか?」
「ええ。
透明でね。昼間は見えないの。
夜に光が当たると色が着く不思議な草よ。」
「それが何故?」
「あの草は、魔石の効果を高めるの。
今の結果を踏まえると、既に完成されているハイポーションに魔石とカプラ草を入れると、一気に効果が高まるんじゃないかしら?」
ちょうど辺りは夕暮れ時が近付いていた。
「場所は【不死の森】だよな?」
「ええ。そのとおり。」
「確か、希少価値はかなり高かったよな?」
「そうね。
見つけることの出来る確率はかなり低いわ。
まぁ、そもそも夜の【不死の森】が凄く危険ということもあるけど。」
「じゃあ、、、早速今から行くか。」
フィーアには休んでもらって、アインスと2人で行ってこようか。」
「いえ、私を連れて行って。
私は以前にカプラ草を一度見つけたことがあるわ。
それに、、、」
「それに?」
「あれ以来怖くてあの場所に近付けないの。
でも、ゼロとなら行けそうな気がするわ。」
「ダメです。」
アインスが切り出す。
「唯でさへ危険な【不死の森】で、ゼロ様の負担が増えます。」
「なら、あなたが残れば良いじゃない。」
「何を言ってるんですか!
私はゼロ様に付いていきます!!」
「まぁ、アインス。俺なら大丈夫だよ。
フィーアも連れて行こう。
ちょっと【不死の森】に野暮用もあるしな。」
「何ですか?それは?」
「クククッ
大したことじゃないよ。」
「笑い事ではありません。
本当に大丈夫なのですか?
私にとってゼロ様は全てなのです。
それに、もう二度とあの様な思いはしたくありませんし。」
「いや、すまん。
そういった表情は新鮮でな。
俺に気を許してくれるようになった証拠だな。」
「すみません。
感情的になってしまって。」
「謝らなくて良い。
俺にとってもアインスは大切な存在だ。」
そう言うと、途端にアインスは顔を真っ赤にして下を向く。
セーラが小さく
「若いわね。」
と呟いた。
「わかりました。
では、ギンも連れて全員で行きましょう。」
「ヴァウ!」
アインスの肩に乗ってギンが吠える。
心なしかギンがたくましくなった気がしていた。
(そういえばこいつもドン・ファンクの肉を食べていたな。)
「ありがとう。
じゃあ、行こうか。」
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