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魂を側に感じたら〜異世界上場会社を目指して〜  作者: 楽 我食
4 残された者

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70話 完了へ

「いてててっ。」


ベッドで目覚めた俺の頭を走る痛み。

完全に二日酔いだった。

珍しくアインスも横でまだ眠っている。

(昨日は、遅かったからな。)


その透き通った肌を撫で、毛布を肩までかけると、風呂場に向かった。


「あぁ。やっぱり良いな。」


朝日の差し込む風呂場を改めて眺めていると、より実感が湧き上がる。

昨日の冷めたお湯を温めるために、縁に座りながら木に魔力を注ぐと、2〜3分程度だろうか。

それほど負担も無く湯船の水は十分に暖まった。


「はぁ〜。

生き返る。」


これほどの幸福が他にあるだろうか。

ゆっくりと浸かった湯船の中で漏れるため息と声。

指先がジンジンと温度を上げ、冷えた身体がぽかぽかと暖まり出す。

じわり。

額ににわかに水滴が浮かび出すと、徐々に身体から汗と共にアルコールが抜けていく感覚が俺を包む。

そして、それと同時に口の中が一気に乾いていく。


「あぁ〜。」


今出て飲む水はどれ程の美味しさであろうか。

その状況から更に10分湯船に浸かる。


「出るか。」


冬なのに、全身の毛穴が開く程に汗をかき、冷たい水を浴びて一気に締めると、そのままキッチンへ向かい果実水を一口。

身体に良くないだろうとは思いつつも、この心地良さは病みつきになりそうだった。

汗が落ち着いてくるのを待って、鍋に残った昨日の煮詰まったスープを水で薄めると、薪に火を着けて温める。


湯気が立ち、コポコポとした音が聞こえると、カップに入れて一口。


「あぁ。」


薄まったスープの塩加減が程良くて、胃がじんじんと温かみを帯びる。

(アインスも食べるかな?)


寝室に向かうと、ベッドに座る眠気まなこのアインスの姿が。

「アインス。おはよう。」


「ん〜。

おはようございます。」


「スープを温めたが飲むか?」


「ありがとうございます。

いただきます。」


「ここに置いとくぞ。

風呂も暖まってるかならな。」


「すみません。

後でいただきます。」


「もう少し眠ったらどうだ?

昨日は、色々と疲れただろ?」


「そうですね、、、

でも、幸せな疲れです。」


お腹をさすりながら嬉しそうに微笑むアインスの妖艶な顔には、思わずドキッとさせられた。

昨日のアインスは確かに凄かった。

俺の知らない新しい一面を見た気がしていた。


「そ、そうか。」


「はい。

スープありがとうございます。

いただきますね。」


そう言うとアインスは、フーッと息を吹きながら口に含み、小さく

「美味しい。」

と呟いた。


「俺は今から宿屋のドン・ファンクに行って色々と返してくるよ。

昨日の御礼もしたいしな。」


「私も行きます。」


「いや、風呂に入ってもう一度眠ると良い。

他にもいくつか行くところがあるし、ギンの面倒も見ておいて欲しいしな。

今日はゆっくり休めば良い。」


「すみません。

では、お言葉に甘えさせていただきます。」


アインスが風呂に入って行ったのを確認すると、屋敷を出て、門をしっかりと施錠する。

まず向かった先は、職人ギルド。

久しぶりに来たそこは、相変わらずの光景で、岩の様な連中を見て思わず笑った。


「おう!ゼロ!

昨日は楽しかったなー!!」


朝から投げつけられる馬鹿でかい声が、まだ酒の残る身体に響く。


「ありがとう!」

「ご馳走様でした!!」

「ゼロさんも昨日来れば良かったのに!!」

「結局、娼館が最高の組み合わせですよ!」


マグガーラの一声によって、俺に気づいた奴等が次々と挨拶をしてくる。


「いえいえ。

こちらこそ、ありがとうございました。」


「それで、何の用だ?」


「屋敷の改修の残りのお金をお持ちしました。」


「おう。そうか。

毎度あり。

受付の奴に渡しておいてくれ。」


「分かりました。」


「また何かあったら呼んでくれ。

値段は下げれんが、優先順位は上げてやる!!」


「ありがとうございます!」


受付に行くとあのメモ用紙の様な契約書を見せられた。

(懐かしいな。)


〜契約書

内容:建物の修繕、清掃

金額:金貨60枚(内、40枚支払済)


(やっぱり汚い字だな。)

残りの金貨20枚を支払い、契約書の下に双方のサインを書いて、職人ギルドとの契約が完了した。

(これで1つ片付いた訳だ。)


その後も声をかけ続けられながら、職人ギルドを後にした俺は、宿屋ドン・ファンクに着く。

俺を出迎えたのは、再び大きな声。


「いらっしゃい!!」


「おはようございます。

昨日はありがとうございました。

借りていた物をお持ちしました。」


「ああ。

ありがとう!」


「お元気ですね。」


「客商売だからね。

元気が全てさ!

そう言えば、あの子もしっかり食べたみたいだよ。」


「本当ですか?

気を使ってもらってすみません。」


「かまわないよ。

何か心に変化があれば良いけどね。」


「早速、行ってきます!」


「優しく接してあげな。」


そんな言葉を背に受けて、階段を登ってフィーアのもとへ向かう。

心なしか階段の軋む音もリズムを刻む音の様に聞こえた。


コンコンコンッ


「おはようございます。」


ガチャツ


(開く?)


俺の声に応じる様に開いた扉の前には、これまでに見たことの無いほど、深刻な表情のフィーアが立っていた。


(なんだ?)


そのままフィーアは、俺の袖を掴むと、付いてきてと言わんばかりに首を振り、階段を降りて宿屋の外へと俺を連れ出して行く。


(どこに向かうんだ?)


いつも読んでいただきありがとうございます。

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