表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魂を側に感じたら〜異世界上場会社を目指して〜  作者: 楽 我食
4 残された者

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

64/106

64話 報告へ


口々のどよめきが大きくなると、やがてそれは1つの塊となってうねりを打つ。


ドン・ファンクを仕留めた後、池の中から引き揚げた死骸を、ゲートの中に入れて街へと戻る道中。

行きはよいよい、帰りはこわい。

目の端に入ったそれを確かめに、再びここを訪れることになるだろうと感じていた。


【不死の森】を抜けた後、ギルド長に言われたとおり、街の手前でゲートから死骸を取り出す。

そして、10メートルを優に超えたそれを鬼の手の両手で尻尾と口元を掴み、街の中へと入った。


初めは街に入る為の手続きをしていた者達。続いて既に見慣れた顔ぶれが揃う門番達。

そこから後は、嫌でも俺の事が視界に入った者達が、その都度口を開いては、言葉にならない何かを発する。


どよどよと。

そのどよめきが、何か視覚にまで訴えかけるようであった。


「またですか。」


「またかどうかは分かりませんが。

後で、解体をお願いするので、手配しておいて下さい。

ギルド長はいらっしゃいますか?」


「街を走る噂では、お一人でドン・ファンクを仕留めたとか?

これも、ギルド長の悪巧みですか、、、」


「いえ、偶然【不死の森】で遭遇して仕留めたので、その報告を。

それにしても早いお耳で。」


「今は、空間魔法の中に?」


「はい。そのとおりです。」


「ギルド長はお部屋に居ますので、どうぞ。」


呆れた声でギルドの受付のレミアが俺をギルド長の部屋へと促す。


コンコンコンッ


「入れ。」


扉越しに聞こえる声。

中に入ると、先程と全く変わらない姿で、ギルド長が座っていた。


「なんだ。ゼロか。

どうした?場所の確認か?」


「いえ。報告です。」


「何だ?

何かあったか?」


「ご依頼のドン・ファンク。

たった今仕留めて参りました。」


「えっ!?」


初めて聞いたギルド長の間抜けな声。


「えっ!?」


それも二回。


「言葉の通りです。

今は、空間魔法の中に入ってますが、すぐに解体していただきたいので、ギルド長立ち会いの上で、空間魔法から出したいと思います。

今は、お時間よろしいですか?」


「・・・。」


「ギルド長?」


「嬉しい誤算だな。

お前のことだから、その言葉に嘘偽りは無いのだろう。」


「はい。

私がドン・ファンクの姿を見誤っていないのであれば、、、」


「わかった。

この書類が片付いたらすぐ向かう。

レミアに言って、先に解体場に行っておいてくれ。」


ギルド長からそう言われたので、再びレミアに話しかけると、ギルドの裏にある冒険者ギルド専用の解体場に案内された。


急遽集められたからか。

解体作業を担当する奴等はどこか不機嫌そうな顔をしていた。

どの顔からも、他に溜まってる仕事があるのに、、、という感情が言葉にこそ出てはいないが、ひしひしと伝わってくる。

しかしながら、その表情は一瞬にして吹き飛ぶ。

俺がゲートからドン・ファンクを出したからだ。


あまりの光景に誰もが口をあんぐりとさせていた。

殆どの奴等が突っ立っている中、リーダーと思わしき奴が1人動いて、すぐに指令を出すと、その巨体の解体は始まった。


「凄いな。

だが、少し小さいか。」


聞こえた声の主は再びギルド長。


「そうでしたか、、、

それは、残念です。

しかし、取り分は約束どおりで良いですよね?」


「ああ。構わない。

ただお前に少し相談したいことがあるから、用事が終われば、また、ギルドまで来てくれ。」


「相談したいことですか?」


「なに。それ程大したことじゃない。

まぁ、ちょっとした頼み事だ。」


「わかりました。

ギルド長からの頼み事となると怖い気もしますが。」


「あまり構えるな。

本当に大した内容じゃない。」


ギルド長の言葉を気にしつつ、始まった解体に目線を移す。

先ずはその強固な皮を剥ぐところからだ。

男達がどこから手をつけるのか話し合っているのだろう。

一箇所に集まって、何やら話し込んでいる。

そのまま解体する現場を見ておきたい気持ちもあったが、やることが山積みであったため、すぐにギルドを後にした。

向かった先は、アインスの待つ屋敷。



「ご無事でお戻りに。」


「ああ。

上手くいった。」


「ということは?」


「マグガーラ達に伝えておいてくれ。

今日は、派手な夕食にしよう。」


「わかりました!

場所はどちらで?」


「まだ未定だが、出来ればここでやろうと考えている。

準備は任せで良いか?」


「勿論です。

後、マグガーラさんから部屋の案内は受けておきました。」


「あぁ、ありがとう。

また、俺にも教えてくれ。

ひとまず、俺は今から


「もう一方のドン・ファンクですね?」


アインスが微笑みながら、俺の言葉を遮る様に答えた。


「流石だな。アインス。

そのとおりだ。」


「では、お帰りをお待ちしております。」


アインスが深々と頭を下げる。

それを見た俺は、すぐに目的地へと向かった。


仕事も趣味もどんな事でも。

それは、例え胃袋であっても。


一度掴んだら、離さないのがセオリーだ。


いつも読んでいただきありがとうございます。

引き続きよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ