表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魂を側に感じたら〜異世界上場会社を目指して〜  作者: 楽 我食
3 テルレ公国

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

54/106

54話 満ちていくもの

テルレ公国の中心都市ミライを出て数日。

俺たちは再びセルカ王国のグランへと戻って来た。


「何だか凄く久しぶりな感じがするな。」


「そうですね。ひと月くらいなんですけどね。」


見慣れた筈の風景が目新しく感じる。

新鮮な思いを胸にまず立ち寄った先は冒険者ギルド。

シガルからの指名依頼の完了報告を行うためだ。


「お久しぶりです。」


受付のレミアは変わらない姿で俺達を出迎える。

ギルドの受付には、レミアを含めて他にも何人か居るのだが、俺の応対という役割が決まっているのか。

いつもレミアが話しかけてくる。


「お久しぶりです。早速ですがこれを。」


ラダンの受領のサインが書かれたクエストの紙とギルドカードをいつもの様に受付台に置く。


「完了報告ですね。お預かりしま、、、

えぇぇぇぇ!!!???

何ですかこれ??

ギルドポイントが、、、」


「色々ありまして。」


「色々だけでは、こんなギルドポイントになりませんよ、、、」


「シガル様の依頼先のテルレ公国で、指名依頼をいただきまして。」


「そうなんですね。

それにしても、こんなの聞いたことありませんが。」


「いや、まぁそうですよね。」


「このポイントは、今この国のCランク冒険者の中ではぶっちぎりですよ?」


「本当ですか?

ってことは今年のランキングでBランクへの昇格の可能性もありますよね?」


「間違いないと思います。

あくまでこの国のランキングの10位以内が対象ですから。

まぁ、詳しくはギルド長にしかわかりませんが、、、

そういえば、今回の依頼はこれで良いのですが、ギルド長がまた時間がある時にでも寄って欲しいとおっしゃってました。」


「そうなんですね。今からでも大丈夫ですが?」


「いや、今日は何か呼ばれてるそうでして。」


「わかりました。じゃあまた来ます。」


「よろしくお願いいたします。

それでは、こちらの完了報告をシガル様に行いまして、確認が取れましたら報酬の支払いとなりますので。」


「はい。よろしくお願いいたします。」


「それにしても良かったですね。

シガル様から指名依頼が来る程までに関係が改善されたとは。」


「そうですね。以前より進んだ関係になりましたよ。」


レミアとはそんな会話を交わして、ギルドを後にした。

それにしても、今回改めて感じたことなのだが、冒険者として更に上へと上がるためには、より強くなることも必要だが、どれだけ貴族や有力者達に取り入るかという重要性を強く実感した。

(一撃100,000ポイントだからなぁ。)



次に訪れたのは、職人ギルド長のマグガーラのところ。


「おう!ゼロ!久しぶりだな!!」


「お久しぶりです。」


「死んだかと思ったぜ。」


「ははは。」

(実際死にかけましたけどね。)


「今日は、改修の再開の件か?」


「はい。その通りです。

色々と途中で延期にして申し訳ございません。」


「いや、良いってことよ。

今から人を集めるから、明日以降にまた行くよ。」


「はい。ありがとうございます。」


そこまで済むと、昼下がりへと入っていたので、アインスと話し、今日はこれくらいしようかということで、馴染みのレストランへと向かった。

少し早いがまぁ良いだろうということで、ビールを頼む。


「く〜。これだけは、美味いな。」


「はい。本当に。」


アインスと久々のゆったりとした時間。

つまみをいくつか頼んで、次々と杯数を重ねていく。

オークの串のタレ焼きなど、久し振りのジャンキーな食べ物が堪らない。


「あ〜。美味い。」

そして、それを流し込むビール。

喉を引き締める強い炭酸。

何杯飲んでも、美味いものは美味い。


「そろそろ行きませんか?」


「どーした?アインス。」


「いえ。今日は家でゆっくり飲みたいな。とも思いまして。」


「あぁ。そうするか?」


「はい。だって今日はいつも邪魔をしてくるあの方がいらっしゃらないので、、、」


(、、、そういうことね。)


そうと分かれば、俺だってそう。

急激に回転速度を速めたギアに合わせるようにシフトレバーを入れる。


「お会計!」


お釣りを受け取る時間も待ち遠しかった。

銀貨を渡すと、すぐにアインスの手を引いて店を出る。


「行こうか。」


「ゼロ様。」


暗く染まり始めた街を満月に照らされながら手を繋いで行く。

なぜかは分からないが、2人とも走っていた。

決壊したダムの様に溢れ出した勢いは止まらない。

ふわふわとした夢見心地のまま、一刻も早くという焦燥感が心の中に伴っている。


玄関から目的の部屋へと一直線。


何度も何度も耳元で呼ばれる名前。

波が引いたり、打ち寄せたり。

事切れる度に、ワインを飲んだり、風呂場で汗を水で流したり。


時間が経てばまた交ざり合う。

久しぶりに感じるお互いの体温。

満ちた潮のよう。

この日の夜空に浮かぶまん丸な月のように、心が満ちていくのを感じた。


この居場所があるから、俺は次の一歩を迷いなく踏み出せるのだと改めて実感するのであった。


いつも読んでいただきありがとうございます。

ブックマークありがとうございます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ