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魂を側に感じたら〜異世界上場会社を目指して〜  作者: 楽 我食
3 テルレ公国

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52話 密会

「少しよろしいでしょうか?」


部屋に戻る途中で声が聞こえる。

振り返ると、そこにはミアの姿。


「夕食ご馳走様でした。」


「いえ。

それよりゼロ様、2人きりでお話をさせていただきたいのですが。」


「私も付いて行きます。」


「この国に関する話も含まれますので、ゼロ様だけでお願いいたします。

私はゼロ様のことは信頼しておりますが、アインス様については深く知っている訳ではございませんので。」


「それは、こちらのセリフでもありますが?」


「まぁ、アインス。ここは公宮だし、ここなら大丈夫だよ。先に部屋で休んでおいてくれ。」


「でも!」


「まぁまぁ。」


そう言ってアインスを宥めると先に部屋へと帰す。


「ありがとうございます。」


通されたのは近くの小さな応接室。

真ん中にはテーブルを挟んで小さなソファが2つと、端の棚に並んだ様々な瓶。


「それで、どのようなご用件でしょうか?」


「立ち話もなんですから。どうぞ座って話しましょう。」


「わかりました。」


返事を返すと、ミアはそのまま部屋の端へ。


「どうぞ。」


そう言って出されたのは、グラスに入った飲み物。

一口飲むと、炭酸の泡と一緒に果実の風味が通っていく。

すっきりとした甘みがアルコールで火照った身体に染み渡る。

(ノンアルコールだよな?珍しいし、美味いな。)


「改めて。

この度の件。心より御礼申し上げます。」


「いえ。」


「早速ですが、2人きりになってまでお伝えしたいことなのですが、純血派の者はどうやら奴隷商シガルより金銭的な援助を受けていたそうです。」


「それは、魔眼の力で?」


「そうです。ゼロ様の捕らえた純血派の者達から。」


「そうでしたか。」

(シガルはそういう風に繋がっていたのか。)


「そして、その援助が本格的に進んだのは、恐らくあの魔族が現れてから。

ご存知かも知れませんが、この国の国境付近で活躍していたランクA冒険者が、ゼロ様のいらっしゃったグランの街に移り住んだのですが、、、

あの魔族がその方々を殺し、それが純血派並びにシガルの自信に繋がっていったのではと。」

(そういえば、グランに来る前の馬車でそんな噂を聞いたな。)


「まぁ、そのランクA冒険者をグランに呼んだのも、シガルの様ですが。」


「そうでしたか。」

(色々と分かってきた訳か。)


「グランの街にお帰りになるとのことですから、恐らくシガルが何らかの動きは見せるでしょう。

くれぐれもお気をつけください。」


「わかりました。」


「後、もう一点よろしいですか?」


「はい。」


「ゼロ様のお話になるのですが、あの日の出来事は我がダルク家と騎士団長ゴースにのみ、あの光景を共有させていただいております。

また、最後の部分は誰にもお見せしておりません。」


「鬼の頭首のゼンが現れた部分ですか?」


「そうです。」


「それはなぜですか?」


「あれは恐らく完全な魂の解放ですよね?」


「いや、あまり詳しくなくて。」


「それは、西の大陸の北の果て。

かつて、シャーマンと呼ばれる一族が住んでいると言われた地。

あの時のゼロ様が行われたことは、その地に伝承されて来たとされる能力に酷似しており、それは、200年以上前に一族郎党と共に滅びたと言われております。」


「表に出さない方が良いと?」


「はい。それが表に出るということは、能力と死者の復活を意味します。

色々な意味で狙われることは間違いないかと。」


「継承した力を使うことも、ある意味魂の解放じゃないのか?」


「そのとおりです。しかしながら、それはあくまで一部を解放している訳であり、どれだけ能力を使いこなしているとしても、完全に解放を行っているということではありません。

ですのでこの件は、くれぐれも他言されない方が良いかと。」


(そうか、、、鬼月も一部の解放ということになるか。)


「あっ!

そういえば、お渡ししたいものが。」


「何でしょうか?」


「これなんですが。」


「時計、、、ですか?」


「はい。恐らく純血派?

もしくは、シガルと関係のある貴族のポケットから見つけました。

本人は、テルレ公国の貴族と名乗っておりましたが。」


「あー。それについては、初めてお会いした時に見させていただきました。」


「なるほど、、、凄い能力ですね。」


そう言うと、複雑な顔をするミア。


「どうされましたか?」


「ゼロ様は、これが怖いですか?」


そう言うと目隠しの上から、目を指差す。


「いえ。別に。」


「なぜですか?」


「なぜと言われましても。」


前世では、街中の監視カメラや至る人が持つカメラの映像が共有されるし、突如、インターネットで個別の映像が世界中に広まるなんて事もあったので、ミアの能力に対する驚きはそれ程無かった。

(まぁ、凄い能力なのは間違いないがな。)


もちろん、普通のこの世界の人間であれば、その能力を聞くと戦慄することは間違いないだろう。

俺が特殊だと言っても仕方がない。


「あなたが悪用するような方ではないからではないでしょうか?」


「ふふふ。」


「もしかして、前世とかまで見えてます?」


「はははははっ!」


俺の言葉にミアは大笑いした。


「前世。そんなこと言う人初めてです。面白いですね。こんなに笑ったのは初めてかも。」


「すみません。」


「私が見れるのはせいぜい2,3ヶ月前程度です。

これも内緒にしててくださいね。国家機密です。」


「わかりました。」


「では、確認ですが、これは私にお渡しいただくということで?」


「はい。それで結構です。」


「父上にもお伝えしてよろしいですか?」


(ん???)

「ええ。もちろんです。」


「承知いたしました、、、

それでは、本日はこのくらいで。

あまり長いとアインスさんにまた怒られますから。」


そう言うとミアは立ち上がり扉を開いた。


「ははっ。そうですね。

ありがとうございました。」


そう言って立ち上がると、扉の方へと向かう。


「ドリンクはお口に合いましたか?」


扉を出た時に聞こえた言葉。


「とても美味し


ッ。


「これで4度目です。次はゼロ様からして下さいね。

ごきげんよう。」


真っ赤に頬を染め上げて、ミアは扉を閉めた。


(かわい過ぎるな。)


心臓がドキドキしていた。


いつも読んでいただきありがとうございます。

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