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魂を側に感じたら〜異世界上場会社を目指して〜  作者: 楽 我食
2 冒険者

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29話 トレスへの依頼

「さっさと出て行け!!」


「我々への依頼を断るとは、後悔する事になりますぞ、、、」


そう言うと、1人の男が扉を勢い良く閉めて足早に立ち去って行く。


俺の顔を見て変わりそうな表情を堪えたのを見逃さなかった。


(誰だ?、、、シガル関係か?)


貴族の様な立派な服を着た男は、止めていた馬車に乗り込みその場を去って行く。




俺の目の前にあるこの建物は、街の外れにひっそりと建っていた。

お世辞にも綺麗とは言えず、それほど大きくも無い。


そう。

俺が今居る場所こそが、マグガーラから教えてもらったトレスの工房だった。



コンッコンッコンッ


扉を開くと同時に、金槌が飛んでくる。


ヒュッ


空気を切り裂いて顔に近付いて来たため、少しだけ首を傾けて避ける。


「危ないな。」


「さっきの奴じゃないのか。誰だお前?」


「お前がトレスか?」


「だったら何だ。俺の工房だ。俺以外に誰がここに住んでるって言うんだ。」


「そうか。マグガーラさんから紹介を受けた。

冒険者のゼロだ。」


「ほう、、、義兄さんからか。

珍しいな、、、

要件は何だ?」


「フォレストロトを加工して欲しい。」


そう言ってゼンのフォレストロトを取り出すと、トレスの表情が変わる。


「本物か?」


「今日、国から届いた。NO.151だ。」


「特性は?」


「身につけた者のパワーが数段上がるそうだ。」


実際のところ、受け取ったフォレストロトを今も手に持っているが、特に実感は無かったので、教えてもらった特性に疑問を感じていたのだが、、、



「わかった。その依頼、、、このトレスが受けるぜ。

何か希望はあるか?」


「早いな。

俺ともう1人が身につけたいと考えている。

出来るか?」


「フォレストロトの加工なんて中々出来る事じゃないからな。

まぁ、任せとけ。

少し時間は貰うが良いな?」


「それは大丈夫だ。いくら払えば良い?」


「金貨10枚と言いたいが、金貨1枚で良い。」


「、、、それは何か理由が?」


「お前の名前を聞いて思い出した。フォレストロトを一気に3つも見つけた奴だ。

お前の事だろう?後2つはどうした?」


「そうだ。

後、2つは金銭で貰った。それ程大きくも無いし効果も期待出来なかったからな。」


「なるほどな。確かにフォレストロトと言っても、その効果は様々でピンキリだ。

その鉱物の頑丈さだけでも十分に価値はあると思うが、、、

お前にはフォレストロトの特長が分かると?」


「まぁ、そんな所だ。」


「わかった、、、金貨1枚で良いと言ったのは、今後を期待しての事だ。

もし、次に見つけた時も、俺のところに加工の依頼をしてくれ。

それが条件だ。」


「良いだろう。今回の出来栄えを見て考えるよ。」


そう言って、フォレストロトと金貨1枚を渡す。

契約書を交えようと考えて、準備していたが、トレスの気質を考えると辞めておいた。


「任せるよ。」


「任された。まぁ、期待しておいてくれ。」





町外れのトレスの工房から帰る途中、ふと目に入った雑貨屋に、髪用の石鹸とオイルが売っていた。


(珍しいな。)


手に持って見ていると、店員が話しかけて来る。

少し前に、遠く南の方から来た商人に売ってもらったそうだ。


この街や国では、一般人はせいぜい汲んだ水に布を濡らして身体を拭くか、偶に水の魔法で一気に全身を洗うかだ。

(南の方には、そういう文化の国があるって事か。)


その辺りを店員に聞いたが、詳しくはわからないそうだ。


そのまま店員と話していると、ふと、アインスのあの綺麗な銀髪が枝分かれしていた事を思い出したため、2つとも店にあるだけ購入した。


「毎度あり〜。」


(少し高いが、アインスも喜ぶだろ。)





屋敷に戻ってマグガーラに礼を言うと、寝室へと向かう。


フォレストロトの報酬が思っていたよりも遥かに高かったため、当面の金銭に目処が立った事から、少しホッとしていた。


(フォレストロトの加工も思ったより安く済んだし、、、

アインスはまだ帰っていないか。)



そんな事を考えてベッドに横になると、疲れていたのかウトウトし始めた。


やがて、脳が作り出した妄想と、過去の記憶が混じり合って、独自の物語を紡ぎ始める。

それに対する感情を抱き始めた頃、街中に鳴り響いた鐘の音で正気に戻る。


「はっ!?」

(寝てた。)

「ん?何時の鐘だ?」

(暗いな。)


寝ぼけているのか、独り言と感情が入り混じる。


「ゼロ!どこだ!?

18時の鐘が鳴ったから今日は帰るぞ!」


(マグガーラ、、、もう18時なのか!?)


「はい。ありがとうございました!」


寝室から姿も見えてなかったが、大きく返事をする。


(まさか5時間も寝てしまうとは、、、)


思いっきり伸びをした後、職人達を送り出して、屋敷の門を閉めるために庭に出ると、ようやく違和感に気がついた。



(アインスが居ない?)


帰りかけているマグガーラを掴まえて尋ねると、少なくともマグガーラ達は見ていないという。



(仕掛けてきたか?正面から堂々と来れば良いんだけどな。)



「鬼月。アインスはどこだ?」


刀が震えると、俺の脳内にアインスの居る場所の映像が流れ込んで来る。


アインスと離れる際に、鬼月を発動させ、小さな刀を内緒で一本忍ばせておいたからだ。


(不味いな。)


鬼月が見せた映像は、あまり良い状況とは言えなかった。


忍ばせた刀を手繰り寄せる様な感覚で、街中を走り出す。

数秒で最高速度に達すると、その後は、景色の全てがスローモーションに見えた。



ものの数分で着いた先は、貴族街の外れ。

古ぼけた建物から人の気配がする。



(何だこれは?誰かの屋敷、、、なのか?)



気付かれない様に、二階の窓から建物に入ると、中では十数人の男がアインスを取り囲んでいた。

見たところ身なりの良い男も居る。




「こいつの周りを飛んでいる刀が厄介だな。」


「時間の問題だ。」


「腕を一本落としたら、死にたくなるぐらい犯し続けてやるよ。」


ヒャハハハハッ


円の中心でアインスが剣を振る。


「あぶねー、あぶねー。」


「オラッ!」


既にアインスに斬られたのであろう4、5人が建物の端で休んでいた。


(やるな。アインス。)


下卑た笑い声が耳障りだったが、アインスの姿を見て誇らしい気持ちになる。



「さてと。」


刀を前に出して呟く。


「咲き乱れろ。鬼月。」


腹が立っていた事もあったが、鬼月にありったけの力を込める。

その瞬間。


階下を走ったのは、汚い男達の阿鼻叫喚であった。



「ゴポッ。」


「何だ!?」


「「ぎゃーっ!?」」



1人の男の身体の内側から、無数の刀の花が開くと、飛び散った鮮血と伴に狂い咲く。


まるで桜前線の如く、一本が咲いたのを合図に、次々と花が開き出す。


その光景を見て、走って逃げ出そうとする者も居たが、扉に辿り着く前に、立ったままその命の灯火を花びらに変えた。



ものの十数秒で、その場で呼吸をする者は、アインスと俺を含めた3人だけになっていた。




「誰の女に手を出したと思ってるんだ?」


いつも読んでいただいている方ありがとうございます。

ブックマークありがとうございます。

読んでいただいた方、貴重な時間をありがとうございます。

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