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魂を側に感じたら〜異世界上場会社を目指して〜  作者: 楽 我食
2 冒険者

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24話 グラーム・ロンダ

グラーム家からの呼び出しの為、今日は改修作業を中断し、1日門を閉めることにした。


昨日ギルドから戻った際に、職人ギルド長のマグガーラにその旨を伝えておいたため、職人達も来ていない。


9時の鐘と同時に迎えの豪華な馬車が門の前へと到着する。


「おはようございます。ゼロ様。どうぞこちらへ。」


案内された馬車は、あちこちにグラーム家の紋章が施されており、後ろの座る所に屋根が無いため、乗っている者がグラーム家に招待されている事が周囲に明らかであった。


(街中の奴に知らせるのは、どういう意図だ?)


警戒しつつも、アインスと共に乗り込むと、馬車が動き出す。


真っ黒な馬のたてがみが美しく揺れ、一歩進む毎に気品を振りまいていた。


緩やかな速度で広場に到着すると、広場から真っ直ぐに伸びた道路を、今度は、歩くよりもゆっくりとした速度で馬車が進んで行く。


道の両端に立ち並ぶ店や家から、食事をしながら、洗濯物を干しながら、野次馬の様に俺たちを覗き込んでいた。


30分程かけて道路を進むと、終点にある領主の館の門の前へと着いた。

目の前に聳える高い壁や門は、グランの街の入り口に似ており、まるで、街の中にもう一つの街があるかのような連想をさせられた。


普段は厳重に管理されているであろう門やその門番も、この馬車だからなのか、何を言われる事も無く通る事が出来た。

そして、そのまま門をくぐると、そこには、広い庭と大きな屋敷。

まさしく、想像通りの光景が広がっていた。


(広いな。それに管理が行き届いている。)



アインスと2人でキョロキョロしながら眺めている事10分。

ようやく屋敷の玄関口へと到着する。


そこには、来客が多いのか。

様々な馬車が停められており、そこで降ろされると、そのまま屋敷の中の控え室へと案内される。


控え室の中には、馬車同様に様々な者が大勢座っており、商人と思わしき者や、甲冑を着ている者。水晶を持った占い師の様な者など、バラエティーに富んでいた。



座りながら待っていると、15分程の間隔で1人づつ呼ばれ、その者達はここには戻って来ない様子だった。

控え室に通されてから、2時間余り。

ようやく俺の名前が呼ばれると、部屋を出たところで、目隠しをさせられて、屋敷を歩かされること15分。


ようやく立ち止まった所で、目隠しを取られると、部屋の両側に立つ数多の護衛達と、その先に座る1人の男。



グラーム・ロンダ



突然の暗闇からの解放と、その男の後ろの窓から入る太陽の光が、強烈な後光の演出を担っていた。


(中々、手強そうだな。)


ようやく慣れてきた目で相手を捉えると、見た目は40代程。一見温和な雰囲気であるが、その鋭い眼光はこの街の領主相当の威圧を持っていた。




「良く来た。ゼロ、、、だったか。要件はわかるか?」


「フォレストロトの事かと。」


「うむ。他には?」


「シガル様の事かと。」


「よし。ただの馬鹿じゃないらしい。お前は今後どうしたいと考えている?」


「冒険者として名前をあげた後は、商売をしたいと思ってます。」


「それはどういう内容だ?」


「はい。まだ具体的には考えてませんが、街の人達の生活を変えられればと思います。」


「なるほど。わかった。

隣の女をシガルに返すつもりは無いか?」


「ありません。」


「そうか。あいつとは古い付き合いだ。

俺としてもあいつを無下にはできない。

もう一度聞く。返す気はないか?」


「ありません。」


「そうか。この街から出て行く覚悟はあるか?」


「それなら、【不死の森】にこもって、フォレストロトでも探しましょうかね。」


領主グラーム・ロンダの顔が一瞬引き締まった。



「それの事だが、お前はわかるそうだな?」


「何がですか?」


「惚けるな。二度はない。」


「失礼いたしました。条件が揃えばわかります。」


「それの条件は何だ?」


「言えません。」


「フォレストロトは我が国最大の外交手段だ。拷問されて言うか、今言うかの違いだぞ?」


「言えません。」


「阿呆め。なら死ぬか。」


その言葉が耳に入った時、無意識にそっと鬼月の柄に手を添えた。



瞬間。

部屋中に殺気が立ち込めて辺りを覆い尽くす。




「動くな。」


気が付けばロンダの横の護衛の男が銃をこちらに向けて構えていた。


(銃!?珍しい。

それにしてもこいつ、、、)


護衛の中でも明らかにその男は別格だった。



「この指のトリガーは脅しじゃない。お前が眉一本でも動かした瞬間に引く。」




(鬼の手で防げるか!?)


すぐさま頭のレコードが5倍のピッチで回り出す。


アインスは!?

鬼の手でいけるか?、前に出して、鬼月を。


血管が倍以上に膨らみ、心臓の音と自分の思考が、アラームの様に耳の奥で鳴り続けていた。



瞬間的に積み上げられた最適解まで辿り着いた先に待つ、自分の右手に意識が向いた瞬間。




「ドゥーエ!!下がれ!!」


「はっ!!」



その一言で、元の部屋へと戻って来たような感覚に覆われる。



「ふーっ。」




思わず息を吐いて隣を見ると、アインスはまだ固まっていた。



「アインス、、、アインス。大丈夫か?」


俺の言葉に反応は無く、良く見ると、どうやら立ったまま気を失っているようであった。



「すまないな。部下が勝手に。」


「とんでもございません。こちらこそ失礼致しました。」


そう言って頭を下げると、アインスをゆっくり床に寝かせた。

その時に見た領主の顔は、正に計算通りといった笑みを含んだ顔であった。




「わかった。

今回は、フォレストロトを3つも見つけたお前の功績を讃えて、シガルは俺の方で抑えよう。

また、フォレストロトを見つける事の出来る条件は、今は聞かないでおいてやる。

但し、次に何かあれば、俺は間違いなく俺の街に貢献している方を選ぶ。

せいぜい精進することだ。」



「、、、承知しました。」



「それにしても、中々やるな。噂以上だ。

ドゥーエもそう思わんか?」


「大した事ありません。」



片目に眼帯をしたドゥーエと呼ばれたその男が無表情のまま答えた。


その言葉に再び笑みを浮かべる。



「今日はこれで終わりだ。フォレストロトの報酬は執事に話して、適当に受け取り方を聞いておけ。

以上だ。下がれ。」



「はい。ありがとうございました。」


頭を下げながら、思わず下唇を噛んだ。


(舐めやがって。)



帰り際に執事に聞いたところ、フォレストロトの報酬は、国から直接運ばれて、後日家まで届けられるとの事であった。



帰りの馬車は用意されていなかった為、未だ眠り続けるアインスを背中に背負って、歩いて自分の家へと向かった。



いつも読んでいただいてる方ありがとうございます。

初めて読んでいただいた方、お時間をありがとうございます。

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