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魂を側に感じたら〜異世界上場会社を目指して〜  作者: 楽 我食
2 冒険者

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18話 復讐

ギルドに戻ると何やら騒ぎが起きていた。


(こっちも来たか。)


受付のレミアがすぐに近づいてくる。


「ゼロ様。お帰りなさい。少し困った事になっておりまして。」


「ああ。わかってます。フォレストロト関係ですよね?」


「そうなんです、、、って良くわかりましたね。すぐにギルド長の執務室へどうぞ。」


案内される間、周りの冒険者達の視線が俺に集中しているのを感じる。

そして、執務室に入ると、ギルド長とその前のソファに3人の男達が座っていた。


「ゼロか?そこに座れ。」


「はい。どうされましたか?」


一瞬男達が驚いた顔をしたのを見逃さなかった。


「俺が生きている事が不思議か?」


「ギルド長!こいつです!間違いありません。」


「少し黙ってくれ。」


そこでの話によると、今日俺が出かけたすぐ後にこの男達が現れたらしい。

そして、ゼンの宿り木から見つけたフォレストロトを、自分達が【不死の森】で見つけた後に、俺が奪い去ったと言ってきたそうだ。


嘘の申告は厳罰となるにも関わらず、Cランクの冒険者が3人で言ってきたため、ギルド長としても無碍に出来なかったそうだ。

また今回は、アインス以外の目撃者が他に居らず、アインスも既に俺が雇用主となっているため、確たる証拠が無いのが現状であった。


(ご丁寧に3人とも包帯を巻きやがって。)


「ゼロ。何か言いたい事はあるか?」


「僕は一定の条件が揃えば、フォレストロトがどこにあるのかがわかります。」


「何!?本当か!?その条件は何だ!?」


「それは言えません。」


「なんだと?ギルド長の命令だとしてもか!?」


「はい。誰であってもです。」


俺の魂が見えるというスキルは、アインスに伝えた際に、決して他の者に話してはならないと言われていた。

それが知れ渡れば、どの様な影響が出るかがわからないためだ。


「ふんっ。まぁ良い。どのみちその様な戯れ言は聞き流すしかあるまい。他に言いたい事は無いか?」


「それならギルド長。ちょっと荷物を取ってきても良いですか?」


「あぁ?こんな時になんだ?」


「いえ、こんな時だからこそです。」


そう言って俺は表に待たせていたアインスから、布に包まれたフォレストロトを受け取る。

大きさは50センチメートル程と、ゼンの時と比べるとかなり小ぶりだが、確かにフォレストロトだ。


「これが俺の話の証拠です。ちゃんと木も持って帰って来て、門番に預けてます。」


「なぁ!?」


ギルド長が間抜けな声を上げた。

男達も動揺している事は明らかだった。


「う、うそだ。これは偽物だ!!」


男の1人が叫ぶ。


「お前らは黙っててくれ、、、この件はギルドで慎重に検討する。とりあえず今日のところは保留だ。」


「じゃあ、僕はこれで。どうせその鑑定結果も2週間くらいかかるでしょうし。」


そう言って立ち上がると、去り際にボソッと呟く。


「国が殺すか。俺が殺すか。」


「ひっ!?」


震える男達を尻目に執務室を後にした。


✳︎


報酬の受け取り口で銀貨2枚を受け取ると、表に待たせていたアインスと合流する。

既に昼過ぎになっていたため、遅めの昼食をとりにレストランへ向かった。

店に着くと、珍しくビールを頼んで、一気に飲み干したアインスがグラスをドンッとテーブルに置く。


「っはぁ〜。ゼロ様!全部話してもらいますからね!」


「わかってるよ。」

そう言うと、俺はこの2日間を遡った。


「最初は、アインスと別れたところか。」


2日前、俺とアインスが夕食を楽しんで、店を出て帰る時に、自分の後をつける気配に気がついた。

途中で買い物をしながら宿に戻り、明かりを消すとその気配は去っていったが、シガルの関係を疑い、念のため3時間程待ってから【不死の森】へと向かった。


向かった先は、昼間騒いでいたおっさんのもと。


「おー!来たか!!」


「おっさん。時間が無い。アインスをシガルから奪い取る。」


「アインス?昼間の奴隷か?あいつは確か誰の魂を継承したのかが分かるんだったか?」


「まぁ、そんな感じだ。何で知ってる?」


「儂もグランの街の奴隷商人の1人だったからだ。あの女なら金貨40枚はくだらないだろう。」


「それをシガルから奪い取る。」


「むふふふ。

面白そうだ。詳しく聞かせろ。」


俺はおっさんに今ある情報を伝えた。

アインスが2週間後に隣国の貴族に売られる事、既にアインスからは、俺が雇用主となる承認をもらっている事、その話は恐らくシガル側にも聞かれている事。


「多分、シガルの部下が俺達を見張っていたんだろう。何か良い手はあるか?」


「よく聞け小僧。普通、奴隷商人は契約日をギリギリまで秘密にしておくもんだ。お前の言葉に焦って、契約日を早めてきたら奴隷を奪い取る可能性がグッとあがる。」


「どう言う事だ?」


おっさんの説明によると、奴隷を売買する際には、今の契約の終了日を変更し、次の契約の開始日を設定する必要があるが、それには手順が決まっているそうだ。


まず、終了日を変更した契約書を街の神殿に持っていき、日付の入った特殊な公印を押してもらう。

契約書に主人と奴隷がサインをした後、契約のスキルによって、その契約に効力をもたらす。


次に、新しい契約書を作成して、契約の終了日の翌日の朝9時の鐘と同時に、神殿で新しい契約書に公印を貰って、新しい主人と奴隷がサインをする。


最後に、契約のスキルの発動で全てが完了する。


この新しい契約をシガルよりも先にやってしまえば良いという事らしい。


「当然この街の神殿や契約屋はシガルの息がかかっている。だから、、、」


「違う街に行く。」


「その通りだ!しかし、一番近い神殿がある隣町までは、最短でも馬で8時間かかる。」


「俺なら2時間もかからないな。」


「面白い。」


その後もおっさんと喋って決まった計画がこうだ。


1、シガルとアインスの契約の終了日を把握する。


2、契約終了日に隣町の神殿で契約書に公印を貰う。

ポイントは、15時の鐘が鳴り終えたちょうどに神殿に入り公印の依頼をを行うこと。

15時までの神殿は、まだ閉まってはいないのだが、必ず拒否される。

頼み込むことで翌営業日扱いとして、翌日の日付の公印を押して貰えるらしい。

(これは、おっさんが偶然見つけた裏技で、恐らく誰も知らないそうだ。)


3、契約書にお互いがサインをし、契約のスキルを発動させれば、翌日の最短の契約として、その契約書が適用されるという。


「そういえば、契約はどうすれば良い?」


おっさんが得意気に語る。


「ここで儂の登場だ。儂は非常に稀なあの契約のスキルが使える。

どうだ?お前に魂の継承をしてやろう。」


「条件は?」


「いずれシガルから全てを奪ってくれ。」


「良いだろう。」



そう答えると、おっさんは虹色の魂に姿を変えて、俺の中へ入っていった。


おっさんの名前はトッド。ありきたりな人生だったが、いつもの場所でゼンとジンは楽しそうにおっさんの生涯を見ていた。


分かった事は、シガルとの取引で騙されたトッドは、保有する全ての奴隷を奪われた結果、あまりのショックにそのまま死んでしまったようだ。

ちなみに、奴隷を一時的に貸し付けるという手法を考え出したのが、トッドだった。


魂の継承が終わって、宿に戻った後、1時間程眠るとアインスが既に部屋を訪れていた。


ギルドでレミアからアインスの話を聞いた時には、思わず笑いを堪えるため下を向いた。


アインスを一旦返した後、最高速度で隣町の神殿まで行き、契約書に翌日の日付が押された公印を貰った。

(前世でもした事の無い土下座をしたのは内緒だがな。)


「後は、アインスのサインを貰って今に至るという事さ。」


そう言いながら顔を上げると、酔いがまわったアインスはテーブルの前で、右に左に揺れていた。


「お疲れさん。今日は帰ろうか。」


「、、、はい。」


ふらふらと歩くアインスの手を握りながら、宿へと続く道を歩く。


ふと、アインスが指差した先を見ると、降り注ぐ秋の満月が余りに綺麗に俺達を照らしていた。


読んでいただいた方、ありがとうございます。

引き続きよろしくお願い致します。

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