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魂を側に感じたら〜異世界上場会社を目指して〜  作者: 楽 我食
6 商人

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105/106

105話 0から

 翌日、俺たちはグランの街を出て、テルレ公国へと少し向かった先に立っていた。場所はグランの街と【不死の森】が遠くの方に見えるくらいの位置。


「ここで良いだろ。」


「こんなところがか?」


 ドゥーエがそう言うのも無理は無い。辺りは全く何も無くただの平原。【不死の森】から続く川が近くに流れている程度。

 だが、この場所には意味がある。

 先の戦争でテルレ公国は、【不死の森】へと立ち入る権限を有した。そして、そのための拠点がいずれこの辺りに作られる。

 つまり、この一帯は国境の概念が薄くなっている。


ーーやがて多くの者がこの付近を訪れるはずだ。

 

「という訳で。」


ゴゴゴゴゴッ。


 俺は、一気に土の魔法で地面を動かして、一帯の地面を平らな更地に変える。その広さは100メートル四方ほど。


「次はこれか。」


 ゲートからグランの街にあった俺の屋敷を出して、そのど真ん中に設置すると、更地の両端に深い水路を一本づつ通し、水路の中には石を敷き詰めた。

 細部の作り込みも、ボスの星の魔法やファミリー達の魔法やスキルがあれば全ては意のまま。


 片方の水路を川の上流と繋げて水を通し、そこから幾本かの側溝を作ってもう片方の水路にまで繋げる。そうしてもう片方の水路へと渡った水は川の下流へ繋げて流れていくようにしておく。

 日照りに備えて、上流と片方の水路との間には溜池も作っておいた。


 最後に屋敷の下水を側溝に繋げ、側溝には木の板で完全に蓋をすると、あっという間に引っ越しは完了した。


ーー木の板は、塗料で色くらい塗るか。


「す、凄いわね。」


 フィーアの驚いた顔も面白かったが、従業員達は、まさしく唖然とした顔をしていた。

 通常であれば、一か月近くかかるような工事がものの数分で終わったからだ。


 ひとまずこれで、誰の目も気にせず生活を続けることは出来る。グランの街では噂が広まり過ぎてしまった。

 俺や従業員達が安心して暮らせる環境かと問われると、難しいというのが本音。

 何の商売を始めていくかは、おいおい考えようと思う。

 そもそもテルレ公国に引っ越せば、何の悩みも無く全て上手くいくのだろうが、俺にとってこの【不死の森】は、既に特別な思い入れのある場所となっていたため、ここから遠く離れるという選択肢は基本的に無かった。


「よし。

じゃあ、始めるぞ。」


 最初に指示を出したのは、ドゥーエとフィーア。それに新しく雇用をした獣人族のバーム。

 3人には、【不死の森】での魔物の狩猟を命じた。


「何か優先した方が良い対象はあるのか?」


「何でも良い。

まずはバームがどのくらい動けるのか見てやってくれ。

後、ギンを【不死の森】に返してるだろ?

森に入ったら、呼んで欲しい。

狩の助けになるはずだから。」


 ギンは戦が終わった後に、【不死の森】に住む親のムーンのもとへと帰していた。


ーーたまには親子水入らず。


 そんな思いが俺をそうさせた。だが、ギンの鼻が利くことは間違いない。そろそろ戻って来てもらうタイミングだろう。

 

「じゃあ、行ってくるわね。」


「ちょっと待ってくれ。」


「何だ?」


 早速歩き出そうとした3人を呼び止めると、ゲートから一枚の絨毯を出す。


「これは?」


「星の魔法で【不死の森】まで送り届ける。

この絨毯に乗って行けたら楽だろ?」


「クククッ。最高だな。」


「ほんと規格外ね。」


「良いアイデアだろ?

18時の鐘が聞こえたら引き上げる。

それまでには帰る準備をしておいてくれ。」


「わかったわ。」


 3人が乗った絨毯に星の魔法をかけると、スーッと絨毯は進んで行く。

 向こうにつけば、木か何かに引っかかって止まるだろうという目算だ。


「さて、、、」


 振り返って今度は、アインスに3人へ剣や家事、その他数字や文字の読み書きなどの指導を任せることとした。


「私達も【不死の森】へ行くんですか?」


 従業員の一人。エマの母親のアリエが不安気に声をあげる。

ーー娘のいる母親の気持ちとしては当然だよな。


「いや、それは無い。

安心してくれ。

ただ、最低限何かあった際に、剣を振る。武器を使うということを知っておいてくれ。」


 経験が全く無い。0と1には明確な差がある。

 そして、アインスの役割はフィーアとドゥーエと交替でさせることとした。


「ゼロ様は?」


「俺は今からグランの街へ行って来る。」


「グランの街へ?」


「ああ。用事があるからな。

もしかしたら今日は戻らないかも知れない。」


「セーラさんですか?」


ーーポーション屋のセーラ。


 俺と親交があったことは、街のほとんどの者が知っている。

 彼女も俺の関係で被害を受けている可能性は十分あり得る。


「そうだな。

それもある。

とりあえず、ゲートから数日分の食料は出しておく。

帰るつもりはあるが、街の方もあまり出たり入ったりすると怪しまれるからな。」


「そうですね、、、

かしこまりました。

どうかお気をつけて。」


 アインスはすぐに泣きそうな顔をする。


「大丈夫だ。

すぐ戻るさ。」


 銀色の髪を優しく撫でて、俺はグランの街へと向かった。

先週、先々週、更新出来ずでした。

引き続きよろしくお願いします。

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