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魂を側に感じたら〜異世界上場会社を目指して〜  作者: 楽 我食
6 商人

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101話 蜜の時間

ブックマーク、評価、本当にありがとうございます。

ーー時間の流れは一定では無い。


 俺がそう思うのも当然の話だろう。

 記憶が戻ってからこれまでの数ヶ月間と、同じ月数がシガルと対峙したあの日から既に経とうとしていたためだ。


 ミア達との再会を果たした俺は、アインスの奴隷の契約を早々に破棄し、テルレ公国内での様々な行事や会議に呼ばれて慌ただしく過ごしていたのだが、このままズルズルとテルレ公国側に引き込まれそうなことも懸念していた。

 何よりも今、ミアとアインスとの結婚が決まった今、俺が最も優先したいと考えていたのは、アインスの故郷を探すこと。

 つまり、アインスの両親を探し出すことであった。

 しかしながら同時に、グランの街の状況が気になっていたことも本音であり、退屈そうにしていたドゥーエとフィーアにその話をすると、是非に。と快く引き受けてくれたため、グランの街へ戻り、シガルの商会の様子や俺の屋敷の様子も併せて見てもらうよう頼んだ。

 ちなみにアインスに話した際には、俺の提案に涙を流して喜んでくれた。

 2人には金貨10枚を手渡し、最長でも3ヶ月以内には俺とアインスもグランの街へ合流すると伝えて見送った。


 アインスの故郷へ辿り着くため、ひとまずミアにシガルの記憶でその辺りの情報が無いか聞いてみたのだが、事情を全て話すと深く頷き、ぜひ自分も付いて行きたいと強く申し出たので、慌てた執事達が一日かけて旅の道具を整える。


 揃えられた物は、大きな天幕や、その中に入れるベッドに寝具、生活用水を入れた大量の樽に、薪と釜、食器にバスタブ、更には石鹸や香油まで。

 そのどれもが見るからに高級品であり、指示されたとおり、大量の品々を片っ端からゲートの中に入れると、綺麗な毛並みの馬がブルルッと2頭、絢爛な馬車へ乗り込み御者と料理人と護衛の3人が付いた快適な旅路が始まった。


 道中は馬車の中で取り留めない話を語り、昼になれば豪華な昼食、夜は美味しいお酒とフルコースの料理。

 図らずも新婚旅行のようになったこの旅を俺たちは心の底から満喫する。


 そして、セルカ王国に住むシガルの得意先、すなわちアインスをシガルに売った奴隷商人、こいつには容易に辿り着くことが出来、更に遡ってもう一つ前の奴隷商人。

 アインスが剣術やその他の生きる術を教わったと言う奴隷商人は、コンスタン帝国のムレブという名の商人であることが判明した。


 そうと分かればコンスタン帝国へ一直線と行きたいが、テルレ公国とコンスタン帝国が敵対関係にあることや、俺が帝国の騎士団を抜け出している身でもあることから、目立つ訳にもいかず、馬車や御者達をテルレ公国へ帰し、俺とアインスとミアの3人で身分を偽って情報を探ることとなった。

 

 しかしながら結局、コンスタン帝国の3つ目の街を訪れたところで時間切れ。

 街中をぐるぐる周ったが、ムレブという名前を知っている者さへ見つけることは出来なかったのだが。


ーーやはり、首都の方が情報は集まるか。

 現状では、表立って派手に探すという選択肢は無い。


 テルレ公国へミアを送り届けた後に、グランの街へと戻ることとしたが、得たものが何も無いわけでも無い。

 御者達を帰したその日の夜。

 俺たちはコンスタン帝国へと入り無事に街の高級宿屋に泊まることが出来た。

 この時、アインスとミアが宿の手配を買って出たのだが、その理由は後で知る。

 夕飯を食べて酒を飲み、気分良く部屋へ戻ろうとすると、アインスは別にもう一部屋取っていると告げて2つ隣の部屋に入って行くと、残された俺とミアが同じ部屋へ泊まることとなった。

 俺が戦争から戻る間に、アインスとミアの間でどのような取り決めがあったのかは分からない。

 しかしながら、どうやらこの日俺とミアが一夜を共にすることは、2人の間で話し合われたことによって至った結論のようだった。

 だからこそ俺も受け入れることとした。

 その目隠しを解いた先の輝く瞳を見つめ続けながら。

 何より、ミアはこの夜を待ち望んでいたようで、痛みによる苦悶の表情を浮かべながらも朝まで何度も俺を求めた。

 それからはミアとアインスが一日交代となったが、魔眼で俺とアインスの情事を既に見ていたからか、ミアとの肌もすぐにぴたりと合う。

 最初の頃の苦悶の表情が、艶やかな鳴き声へと変わった頃には、宿の予約は一部屋だけとなり、俺達は毎晩ドロドロに溶け合って3人が1つになるまで交じり合った。


 2ヶ月近く甘い生活は続き、日中は聞き込みという名の買い物に興じながら、調査という名のランチをいただく。

 夜は夜で、情報交換という名の飲み歩きで、現状が進まないことも、見方を変えれば幸せに感じる面が多々あった。

 唯一恐れたことは、当事者であるアインスの心情であったが、アインスも心から楽しんでくれているようで、特にミアとアインスは傍から見れば旧知の仲に見える程、良く喋って笑い合っていた。


ーー最悪は北を目指せば良い。

 この時間が俺達の絆をより深く繋げてくれるだろう。

 

 そんなことを思い描き、テルレ公国へと戻ったのだが、ミアとアインスに格好をつけるため、星の魔法を使って絨毯に乗りながら空を飛んで帰ると、2人ともその速さと体験に大いに喜んでくれ、結果として、1日もかからずにミライへと戻ることが出来た。

 まぁ、俺の疲労は相当のものであったが。


 こうして、俺とアインスもいよいよグランの街へと戻る。

 ミアはテルレ公国での残りの公務を終えた上で俺の方へと向かうそうだ。

 

ーー次の物語が始まる。



ここから商人編となります。

引き続きよろしくお願いします。

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