出来損ないの怪人〜MONOLOGUE〜
お待たせしましたぁああ!!
※誰も待ってない。
草木も眠り、星が爛々と輝く夜。今夜は林檎のように赤く色付いた満月のようだ。
「綺麗だな……。」
誰に言うでもなく、心と頭で思いながら口を動かす。
寂しいなどとは感じたことはないが、誰かとゆっくり話してみたら楽しいだろうとは考えなくもない。今までは聞き手側に回るか、誰かから怖がられることしかなかった。そんな俺も一度だけでも誰でもいい。ただ、普通のニンゲンのように他愛のない話で盛り上がって、仲良くなって、笑い合える普通の生活をしてみたい。そんなことが出来ないのは何故なのだろうか。何故、俺だけは誰からも愛されず、恐れられてばかりいるのだろうか。
どれだけ考えても答えなど決まっているから、もうここらで考えるのをやめる。どうも、周りに何もいないと考え過ぎてしまうようだ。恐らく、今の俺は情けない顔をしているだろう。俺を創り出したあの人は、何を思って俺にこんな感情を押し付けたのだろうか。日々が苦しくて仕方ない。
考えて考えて考えて──
暗く静かな道を歩いていく。傍から見れば、件の出来損ないの怪人が森の方へと歩を進めている程度にしか思わないだろう。しばらくは、森の方へはネズミ一匹も近寄らないかもしれない。
「誰かでもいい、誰かにこの思いを伝えれたら…」
どれほど楽かはよく分かっているつもりだ。
ザックザクザク……
自分の足が短い草も長い草も関係なく踏みしめながら、どんどん森の奥へと歩を進めていく。理由なんて自分でもわからない。ただ、この森の奥に何か──俺のすべてを変えてくれるものがある気がして、そんなのあるわけがないと頭では解っていても求め、歩いてしまう。
いったい、この奥には何があるのだろうか。
奥へ進んでいくと、少し大きめの広場のようなところに出た。赤の混じったオレンジの光が切り揃えられた草にかかり、橙と緑のコントラストが絨毯のように鮮やかに広がっている。
もう少し進んだ先には色とりどりの小さな花が咲いていた。
どれも見たことがない種類だ。
「この森にこんなにも綺麗なところがあったなんて…」
何ものにも邪魔されない風がサラサラと俺の肌を撫でた。
今回、長スギィ!!
あと、投稿遅すぎ…!
次はとある人との出逢い…。