第九話 鬼神化
第九話 鬼神化
圧倒的なスピードを見せるトノサマに対して、何もできず、無駄にダメージを受ける/(スラッシュ)だった。
トノサマ「ホレホレー!どうした~?」
たった一つのスキルでここまでダメージを与えるヤツは初めてだ。
行動を起こそうとしても、許してはくれない。まるで心を読まれているかのようだ。
/(スラッシュ)「そこだッ!」
見事命中。格闘ゲームとかでもそうだが、連撃を喰らって何もできないときこそ、相手を冷静に観察し、一撃を当てることが重要である。
背後からの攻撃を、拳で止めたわけだが、それも一瞬。まばたきすると、そこにトノサマはいない。自分のLPは半分まで減っている。この調子では間違いなく負けるだろう。
トノサマ「まったく、すごいね。スラッシュは」
さっきの一撃のことだろう。俺の目の前で急に姿を見せた彼女だったが、すこし驚いているようであった。
トノサマ「この連撃を止めれたのは誰もいなかったのに…。でも、これも想定内。次は無いよ。」
すると、大きな声で言った。
トノサマ「スキル:鬼神化!」
言葉と同時に、黒い煙の中に彼女は消えていった。煙の中で、赤い雷のようなものも見えるが、煙と共にはらわれた。
そこにいたのは、鬼のような角に、赤い光の玉のような目をしたトノサマだった。
赤い目からは、徐々に光が弱くなっていき、波のように出ている。
よく見ると、ナックルも形が変わっている。球体のようなものから、ドリルのようなものが二三本。
護衛1「で、でたッ~!トノの鬼神化!これと疾風のコンボは誰も止められないッ~!」
だそうです。
護衛2「あの状態で追いかけられるのがいいんだよな~」
あなたはMでしたか。
護衛3「だな~。あれが無いと生きてられないよ~。」
お前もかッ!
トノサマ「うるさい!うるさい!黙っててっ!」
必死に叫ぶ。ま、追いかけられるのがいいみたいだから、俺もいっちょやられてみようかな。
/(スラッシュ)「では、続けよう。」
トノサマは構えの体制に入ったと思った途端、先ほどとは違い、ほぼ瞬間移動と言っていいほどの速度で消えた。
次の一瞬、彼女は目の前まで来ていた。とっさの判断で右に避けたのが正解だった。
何とか避けることはできたが、相手の位置も残像も見えない。
風の音も地に足をつける音も…。上!?
そう思って見上げると、落下しつつも、攻撃を当てる体制が取れている彼女の姿があった。
/(スラッシュ)「スキル:ソードビット」
八本の刃が彼女に向かって飛んでいく。
トノサマ「ソイヤッ!」
空中で殴ったのは空気。だが、なぜかビットが割れていく。そして最後の一本だけが残った。
彼女が着地した瞬時に消え去った。