第五話 義妹と化した紅愛 後編
第五話 義妹と化した紅愛 後編
竜牙「俺の家族は、お前と同じく全員死んだ。俺だけが生き残った。」
ルージュ「…」
そう、生き残ったのは俺だけだ。
でも、
もし、あの時に俺がいれば助かっていたかもしれないが…
元々普通の家で、普通の生活だった。
俺と妹、父さん、母さん。この四人で生活していた。
だが…
「おい!そっちの子供もこっちだ!」
妹と母さん。二人が怪しいやつらに銃を突きつけられている。
次は俺がああなる番らしい。
だが、それを止めたのは父さんだった。
「やめろ!それなら… 代わりに俺がなる!」
「フンッ!じゃあ両手を上げてゆっくりこっちに来い。」
言われるがままになる父さん。
「一人になるんだ。最後の言葉くらいは言わせてやるよ。」
捕まったまま、父さんが前に出てきた。
「お前は生きるんだ。たとえ、それが地獄でも… 約束だぞ?」
言い終えると、父さんは頭を打たれて倒れた。
次は母さんが出てきた。
「さっき父さんが言ったことを忘れないでね? 絶対生きるのよ?」
銃声が響き、母さんも倒れた。
最後に、妹が出てきた。
「お兄ちゃん、ごめんね。もう、ゲーム一緒に出来そうにないや。」
にっこり笑って言った。
この話だけは、よく覚えている。
「今までいろんなゲームしてきたね。ワールドファイターズ、エンジェル&フェアリーとか、いろんな大会に二人で出たよね。/(スラッシュ)とグラム。この二人で頑張ってきたよね。」
目からは涙を流している。でも、それでも笑っていた。
「世界で、/(スラッシュ)として、最強のゲームプレイヤーになってね?グラム」
妹の倒れる音がこの空間に響く。
そこから先はよく覚えていない。
ルージュ「そうだったんだ。」
竜牙「だから、本当は/(スラッシュ)なんて人は、もういないんだ。俺はもともと『グラム』だからな。」
かといって、この世界では俺は/(スラッシュ)だ。もう、どう、こうできる話ではない。その存在で生きなければならない。
竜牙「妹は強かった。一番使えないと話題のキャラで世界大会にでたら優勝だったもんな。」
妹は化け物みたいに強かった。俺が勝ったことはない。今ではわからないが、きっとギリギリ負けるだろう。それぐらい強かった。
竜牙「で、お互いのことがわかったところで、この前のアレ、ここで使わせてもらうぜ。」
ルージュ「え!?」
いろいろ考えたが、結局これしか思いつかなかった。
竜牙「このまま放置しておくと、俺の正体を世界にばら撒く可能性があるからな。かといって、ライトを捕まえたってことで警察に出しても、そこで言われてアウトの可能性もある。そこで!」
ルージュ「…そこで?」
竜牙「お前は、義妹として俺の家族になってもらう!」
ルージュ「はぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああ!?」




