第十五話 sin
第十五話 sin
/(スラッシュ)「なぁ。情報ネットに上げてないよな」
トノサマ「え?そんなことしないよ。突然どうしたの?確かに、ニュースになってるけど…」
/(スラッシュ)「いや、友達が言ってたんだ。でも、どう考えても情報が洩れすぎてる。」
トノサマ「…そっか」
それは置いておいて、フォームアップ習得本の回収に行くことにした。
/(スラッシュ)「ほんとにこんなとこにあるのか?」
そこは、とてもダンジョンがあるとは思えないところであった。
トノサマ「こういうところで見つけたんだよ。しかも、マップを見る限り、この近くにダンジョンが無い。何もない広い場所なんて、どう考えてもおかしいでしょ?」
/(スラッシュ)「それはそうだけど…」
坂道の草原を進んでいくと、小さな家が見えた。
/(スラッシュ)「こんなところに家なんてあったか?」
トノサマ「ないね。マップにもない。」
当たりか
入ってみると、本、本、本…。本ばっかじゃねぇか
とりあえず、調べてみることにした。
トノサマ「あ」
/(スラッシュ)「どうした?あったか?」
トノサマ「いや、違うけど…」
トノサマが持っていた本を見てみた。
/(スラッシュ)「『この世界に眠りし力たち』?これって」
トノサマ「きっと、フォームアップのことだろうね」
ノーヒントの俺たちからしたら、こんな情報はありがたい。
すぐに持ち帰って、この本の内容を…
護衛1「グアッ!」
/(スラッシュ)「どうした!」
窓から外をのぞくと、数人のパーティーがこちらに向かってきている。
俺とトノサマ、護衛を数人連れてきたのだが、全員やられたようだ。
ここは町から外れているので、プレイヤーにもダメージが入る。
/(スラッシュ)「この本を持って隠れていろ。俺があいつらを倒してくる。」
トノサマ「…うん、わかった。」
トノサマが隠れたのを確認すると、俺は外へ出た。
/(スラッシュ)「誰だお前らは」
???「はじめまして、/(スラッシュ)様。ここに重要な本があるとお聞きしたものですから、参りました」
この感じ… どこかで…。この姿もどこかで見たような…。
/(スラッシュ)「参っただけなのに、何で他のプレイヤーを攻撃するんだ?」
???「フッ…。まさか、あの時の子供が/(スラッシュ)だったとはなぁ…」
あの時の子供?こいつ、俺のことを知ってるな…。
???「お前の家族の死に方は最高だったぜ?」
/(スラッシュ)「!」
この言葉で何かが切れてしまった。
そして、こいつの正体もなんとなくわかった。
あいつらだ。
ここから先は、一つの感情しかなかった。
???「さぁ、お前はどんな死に方をしてくれるんだぁ?/(スラッシュ)さんよぉ!?」
/(スラッシュ)「…す…」
???「あぁ!?なんだってぇ!?」
/(スラッシュ)「殺すッ!」
マントにあったクラウディアがあいつに飛んで行った。
/(スラッシュ)「こいッ!クラウディア!」
あいつの右腕をかすめて、俺の方に戻ってきた。
俺がクラウディアを握ると俺の気持ちに応えるかのように、刃が大きくなった。
/(スラッシュ)「一撃で… 貴様をッ!」
???「殺せるものなら殺してみろ。だが、殺したら、俺たちと同じだな」
あいつは笑いながら言った。
でも、俺はその言葉を聞かずに切った。
迷いはあった。このまま切ってもいいのかと。切ったら、あいつの思い通りだ。
だから…
???「…なるほど。足を、か」
両足をぶった切った。
あいつはこれで動けない。
これで情報を吐かせられる。
???「…流石だ。戦う力はあるようだな。我ら『シン』と…」
/(スラッシュ)「シン?それがお前らの名前か!?」
???「そうさ。覚えておくがいい。いずれ、また会うだろう」
そう言い残して、ヤツはログアウトした。