第X話 力
第X話 力
くっそ。残ったのはビット一本と、残り少ないHPとMPだけだ。
それに対して相手は、神速と呼べるほどの速さを持つ脳筋だ。
どうしろと…
ふと、トノサマが姿を見せた。
トノサマ「どうしたの~?つまらないよ?」
/(スラッシュ)「さっさととどめを刺せばいいじゃないか。」
腕を組んだトノサマが言う。
トノサマ「それじゃあつまらないって言ってるでしょ?」
ぽいっ、とトノサマがアイテムを投げた。
トノサマ「アー、マチガエテアイテムヲオトシテシマッター。ダレカニツカワレタラタイヘンダー。」
棒読みのトノサマが落としたアイテムは、本だった。
それもただの本ではない。スキルを得ることが出来る特殊な本だった。
/(スラッシュ)「な、なんだこれは…。」
トノサマ「…それをあげるから、全力で。」
もはや、この本を渡すことが本命だったようにしか思えない。
この本にエンチャントされていたスキルは…
スキル:魔人化
強化ステータス:[HP:上限UP] [MP:上限UP]
追加能力:[飛行] [自動回復VII] [自動防御VI] [瞬間移動] [HP吸収V] [MP吸収V]
上記のものは、魔人化発動時のものである。なお、「自動」ど記載のないものは任意の発動である。
/(スラッシュ)「…」
口を開けたまま、驚いていた。どこでこんなものを…。
トノサマ「これ探すの大変だったんだからね?感謝してよ?」
/(スラッシュ)「こんなものを使っていいのか…?」
トノサマ「いいよ。ほら、早く早く!」
『アイテム一覧』から『本:エンチャント済み』を選択して、『使う』
ログ:/は『スキル:魔人化』を習得しました。
驚いた。こんなものを手に入れてしまうなんて…
トノサマ「…ワクワク…!」
…。 ま、いいや。早速使おう。
スキル:魔人化
トノサマ「お、おおッ!」
うーん、なんか体に違和感というか…体内に何か流れている感じが…。魔力的な?でも、元からMPあるからなぁ…。
トノサマ「や、やっぱり似合ってる!思った通りだ!」
なんか喜んでらっしゃる。羽とか生えてるし…。
試しに、腕を全力で振ってみた。
よっと!
ドゴォオオン
トノサマ「…」
さっきまで喜んでいたはずのトノサマが、急に静かになった。
無理もない。なぜなら…
腕から黒い腕が出てきたからである。
闇の力というか、魔力というか、魔人の力というか…。魔人化とはこういうことなのだろう。
ログ:tonosamaが[ライトデュエル]で降参しました。