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---「ふー、おなかいっぱいだあー!」
「食ってすぐ寝たら太るぞ」
「へへーん! 私、太りにくい体質だからだいじょーぶ!」
「…あっそ」
夕飯を食べ終えると、俺となつは部屋に戻ってきた。ちなみになつは俺の部屋で寝泊まりすることになっている。まあ部屋は両親と俺の部屋しかないし、毎年のことだから、もう慣れている。
なつは部屋に戻るや否や、俺のベットにダイブしてゴロゴロし始めた。
「寝るなら歯ぁ、磨いてからにしろよ」
「うん、わかってるよ。ちょっと休憩してるだけだから」
「…ああそう」
ゴロゴロするなつに俺は一言声をかけると、なつはゴロゴロしながらも返事を返してきた。こうなったらなつはしばらくは動かないだろうから、俺はとっとと風呂に入りに行くことにした。
---「ふー」
湯船に浸かると俺はおもわず安堵のため息がこぼれた。今日はかなり疲れたからな。とくにあの荷物運びはな。そのせいもあって湯船が疲れきった身体を癒してくれた。
「あー、そういえば聡に連絡入れるの忘れてたな」
湯船に浸かりながらふと聡になつが来たら連絡してくれと頼まれていたことを思い出した。まっ、別にいっか。聡から連絡きたときに言うか。聡のやつは怒るだろうが、大して気にすることでもない。慣れてるし。
---「なつー、歯ぁ、磨いたか?」
風呂から上がりバスタオルで頭を拭きながら部屋に戻っていた。部屋に戻るや否や俺はなつに声をかけた。あいつ、ほんとうに歯ぁ磨いたのかな? なんで俺が母親みたいなことを考えなければいけないのだろうか?
「…スー…」
「…やっぱ寝てるし」
しかしなつは俺のベットでぐっすり眠りについていた。まあ予想通りではあるが。
「…しょうがねーな」
ベットを占領されてしまった俺は仕方なく押し入れから自分用の布団を取り出した。起こすのも気がひけるし、別に俺はベット派でも布団派でもないから、どっちで寝ても変わらない。
それに1番疲れているのはなつの方だろう。昨日一学期が終わったばかりだというのに、今日の朝から飛行機に乗ってここまで来たのだ。しかも重たい荷物を持って。だから、相当疲れているはずだ。
「ほらなつ、風邪ひくぞ」
自分の布団を敷いた後、仕方なく俺はなつに掛け布団をかけてあげた。いきなり風邪ひかれても困るしな。
「そんじゃ、おやすみ」
掛け布団をかけてあげた後、俺は部屋の電気を消し、なつに一言言って、眠りにつくのだった。俺も疲れていたからか、すぐに深い眠りについた。