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第四章 狂騒

「本日零時、否定する者と内通する人物を特定したとエクスカリバーから発表がありました。内通者は少年で安藤道男。十六歳。安藤道男の身柄を確保した者には生死を問わず、五千兆円の報奨金が支払われます」



 壮年の男、蛇が日本の情報発信を掌握した。

 荒唐無稽極まりない。平時ならほとんどの人間がこの情報を一笑に付すだろう。いくら最先端技術を有する巨大な組織だとしても払える金額でないのは明らかだ。


 俺様はまだ座れるコンビニの台に座り、朝飯を食っていた。床に落ちていても包装してあるから食うのに問題無い。冷蔵庫が壊れていても、ちと温い程度だから喉を潤せる。


 空をずっと飛べるわけではないからな。エクスカリバーのビルから離れた後、すぐに地上へ降りた。

 飛んでるから見ている奴は見ているのだろう。着地したところに即席の鈍器や身近な武器を装備した奴らが襲いかかってきた。


 俺様を見つけたと分かったら、往来を行く者が(いなご)の大群となって襲ってくる。よく人間が世界中を敵に回してもと口にするが、これがその状態だ。

 この世界で金は大きな力だ。人間が持つ金への欲求が蛇のウィルスによって刺激され、殺意を駆り立てる。


「五千兆円、みーっけ」


「オイ、何喰ってんだ、オメェ」


 ほぉ、番長とか骨のある奴はいないと影森は言っていたが、俺様の前に来たぞ。黒と白、赤と青の厳めしい作業服に武器を持った奴等が。


「来い」


「ブッ殺せェェェェェェ!!」


 数にして三十の不良共が向かってくる。殺さぬよう加減をしなければならない。が、死ななければいいのだから痛めつけていいわけだ。



「PRESOXの楽曲が配信開始から十時間で三千万ダウンロードを突破しました。世界的にも快挙で、ギネス記録に登録を申請しています」


 不良共は威勢だけだ。力任せで隙も多く大したことは無かった。

 それよりも面倒なのは金に目が眩んだ連中よりも、代行者率いる三人の歌に魅了された狂信者共だ。



「PRESOXのサンドラ・執行(しぎょう)・ドゥランさんが殺害予告を受けました。発信者は安藤道男です。安藤道男は否定する者と内通しており」



「安藤だ!!」


「サンドラ様の為に」


 俺様が代行者を殺そうとしているのは間違いではない。だが、情報の海には投げかけん。警戒を強めてしまうだけだからな。無意味で非効率だ。

 狂信者共は蛇の情報を鵜吞みにし、人間に化けた代行者を守ろうと徒党を組んでいやがる。


 目の役割をしている奴が俺様の位置を告げたのだろう。行く先を待ち伏せしていた。

 建物の高所から石や重い物の投擲、()()玩具(ガン)、空気銃、(ボウ)を撃ってきて釘付けにし、近接武器を持った狂信者が押し寄せると言う戦法で俺様に挑んできた。

 全てを相手にはしなかったが、できるだけ多くの奴を痛めつけてやった。俺様に挑んだ奴が無事でいていいわけがないだろ。

 他にも鳴子や手製の爆弾罠が道中仕掛けられていたな。引っかかってやる義理はないが、この平和な世界で実際に見るのは興味深かったぞ。



「東京各地で安藤道男による被害が多数寄せられています。食料品等の物資の強奪、器物破損、建造物破壊の被害が拡大中です。現在、安藤道男は警察から車両を奪い暴走中。こんな野蛮人が否定する者から市民を守るエクスカリバーの隊員だったのか。私には信じられません」



 デバイスからは蛇が俺様のあることないことを言いふらしているのが聞こえる。たまに代行者率いる三人の歌が流れてきたら切っている。

 あまり力を使わぬようにしているが、人間は多い。相手をすれば喉が渇くし、腹も減る。金が意味を成さぬ以上、法を守る理由は無い。

 車は警察、対否の連中を相手した時に奪った。



「安藤道男は少年じゃありません。史上類を見ない怪物です。皆さん、怪物から街を守りましょう。一人一人の力は小さいかもしれませんが、恐れる事はありません」



 起動用の鍵さえあれば車は動かせる。頑丈じゃない上に悪目立ちする車を奪ったのは失敗だったな。俺様が乗っていると分かったら、躊躇せず車をぶつけてくる者が後を絶たない。おかげで三台も乗り換える羽目になったぞ。


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