第四章 デビュー
今回は短いですが、次のは長めです。
俺様は日課である雅との修行後、蛇や代行者の動きを探る為に情報の海を漁っていた。
普段はデバイスを使わない。使う必要性を感じない。護衛をしていた時も、事務所から開示された情報のみしか目を通していなかった。
見つかったのは、花瑠が一身上の都合でぷれそっくすを脱退したという記事くらい。後は不要な情報と信者の憶測だった。
二十時頃、代行者いや蛇が動きを見せた。
ぷれそっくすの検索を何度もくり返していたら生配信をしている事をつかんだ。
PRESOX
気の抜ける平仮名から気障な英語に変える仕掛け。蛇の趣味が前面に出ている。
新しい、新時代、好印象、クール、スタイリッシュ、素敵、キラキラ、最高。
デバイス越しでも奴のウィルスが思考に入ってくる。
冷たくて鋭い闇夜に、飽きさせぬよう甘い不協和を散りばめた音。
攻撃的に肌を出した衣装を着たえりと隈の格好をつけた踊り。
人間に化けた代行者の顔が大きく映る。鼻に付く美しさだな。叩きのめしたくなるが、壊れるのはデバイスだ。
歌だ。
別次元に転移したのかと思うくらいには引き込まれた。
曲も歌も凍るくらい冷たい。だが、抗い難く身を委ねたくなる重力がある。
眠い。
俺様好みの曲。死だ。
かつてトルネに流させていた曲とはだいぶ違うが、虚無の棺桶に入れられ狂気が緩やかに存在を潰していくのだ。
ん、ぬぅ。
何かをつかまねば。
共有、サンドラ、歌上手い、キレイ。
拡散、サンドラ、歌姫、神。
シェア、PRESOX、ニューウェーブ、中心。
なるほど、この放送を見た者に働きかけ、日本いや世界中にウィルスをまき散らすのか。
止める術は、無い。
意識が――




