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俺様は世界を創れるんだが、人間にまで弱体化した  作者: Oっ3
人間になった俺様、黎明編
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第三章 俺様対リィズァ後編

 俺様の目の前には速い奴がいる。肉体に戻って最初に見るのが貴様とは疎ましい。


「ナンダ、テメェー、俺ッちは確かに否定したぞ。なんで再生してんダヨォー」


 再び心臓を貫こうと、右手から棘を伸ばしてくる。


 ビームが動揺している奴の体に当たる。


「げヘッ」


「ボーっとしないでください」


 雅だ。黒い力を再構築しているから心臓を確認できないが、問題無い。減らず口を叩ける余裕があるのだ。成功だな。


「もう一暴れだ。できるな」

「余裕です」


 構えもいつも通りだ。逸らず落ち着いているのが分かる。これなら奴を滅ぼせるな。


「オイオイ、オイ、勝手に話を進めんじゃねー。俺ッちは確かにオマエ達を否定したぞ。否定したんだゾ」


「ああ、確かに貴様は俺様を殺した。だがな、俺様は進化した。貴様よりも『速く』強くな」


「意味ワカンネーよ。バーカ、バーカ、もう一度否定してヤりゃぁいいんだルゥォォォッ」


「参る」

「ハァァッ」


 俺様と雅は奴との間合いを石火の速さで詰める。


 計羅討凄流(けいらとうせいりゅう)古武術(こぶじゅつ)・青龍・(いっ)(ぱく)水星(すいせい)(りゅう)(そう)


 二つの真紅の力。迸る強烈な二爪の突きを奴に打つ。


「グァァッ」


 計羅討凄流(けいらとうせいりゅう)古武術(こぶじゅつ)・白虎・白虎激(びゃっこげき)爪連(そうれん)


 雅は嵐の虎、俺様は王たる獅子。獲物である奴に拳と言う拳を叩き込みまくる。


「いだいだいだいだいだいだいだいだい」


 逃げた(瞬間移動)か。上だな。


「ちょうしのんなァァァァァァァァッッ」


 右手から音速で棘を伸ばす連続攻撃。雨の様だが雨にあらず。


 計羅討凄流(けいらとうせいりゅう)古武術(こぶじゅつ)・玄武・(さん)(ぺき)木星(もくせい)(けん)槍流(そうりゅう)()


 不動の亀となって棘を全て受け流す。向こうは動揺している。もうすぐしびれを切らして悪手を打つぞ。


「もらイィッ」


 俺様の後ろに現れ殴ってくる。その位置には雅が控えている。


「がぁァッ」


 雅が太い腕をつかみ体勢を崩し床に叩きつけた。衝撃で奴の体が弾んだ今が好機。


 計羅討凄流(けいらとうせいりゅう)古武術(こぶじゅつ)・朱雀・朱雀炎(すざくえん)(えん)()


 雅と俺様は跳んで奴を蹴る。蹴った勢いでまた跳んで奴を蹴る。奴が滅ぶまで。さながら不死鳥と鷹の舞いだ。


「うっ」


 三十六発目。雅の蹴りから鋭さが失われる。跳べずに落ちてしまった。


 不死鳥を体現しているだけであって、死の淵から蘇った雀なのだ。致し方あるまい。俺様も合わせて着地するか。


「私に合わせず、リィズァを」


 不格好な着地をして、雅はだいぶ消耗している。黒い力も解けて、ただの服では無防備だ。


「問題無い」


「よくも、よくも、俺ッちをボッコボコにしてくれたな。これでも喰らえェェェェ」


 俺様と雅に鉛色の閃光が襲う。


「ハハハハハハハ、オマエ等はゆっくり俺ッちに否定されりゃいいんだよォ」


 俺様は思考で宇宙を創り、動く世界を夢見ていた。


 死んだ雅を蘇らせ、一緒に速い奴を撃滅せんと夢想したが、支配する事柄が多ければ多いほど難しく、支配できなくなる。ここから先は創るか。


「断る」


「ハッ? なんだ、オメぇ、なんで動いてんだよ。その力はなんなんだよ」


 かつて、俺様は覇道の世界で様々な流派の技を学んだ。だが、覇道の頂点に立つ為に流派を一つ編み出した。


「機会をやろう。もう一度止めてみるがいい」


「後悔しろォ」


 灼熱を超えた極熱。

 原子の持つ力と力が連鎖反応し生まれる莫大な力。


 それを人間は天からの恵みと崇めるが、一側面にすぎん。だから、俺様は編み出した流派にこう名付けた。


 覇道(はどう)森羅(しんら)一体流(いったいりゅう)暴虐(ぼうぎゃく)太陽(たいよう)奥義(おうぎ)極炎権(ごくえんけん)(りん)


 俺様は太陽だ。魂から燃え上がる炎。肉体を迸る熱。己が森羅万象を表す覇道、その極致。


「あんデだよ。止まれよ、ゆっくりしろよ!!」


「太陽を止められない。それだけの話だ」


 大見得を切ったが、熱量的には黒点にも及ばん。本物だったら速い奴ごと三人も消し炭だからな。それに一番近くにいる雅を焼き殺さぬよう調整もしている。


「否定してヤるゥゥゥゥゥッッッ」


「参る」


 俺様と速い奴の激突。


 炎熱が奴を怯ませ、俺様の拳が入る。


 覇道(はどう)(じゅう)操流(そうりゅう)孤高(ここう)(たか)奥義(おうぎ)獰襲爪穿(どうしゅうそうせん)()


 暴虐の太陽を纏いながら奴を殴り蹴る。


「あぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃゃゃゃぁぁッ」


 コイツの痛がる叫びはうるさいが、悪くない。


 俺様が覇道の世界で最初に学び、思い入れのある孤高の鷹。奴に奥義を使う度、ほとんど避けやがったからな。生きている限り狩ってやる。


「俺ッちをボロ雑巾にしてナニが楽しい。ナンデ戦う。俺ッちを否定したってムダだぜェ」


 念話(テレパシー)か。


 覇道(はどう)(じゅう)操流(そうりゅう)孤高(ここう)(たか)奥義(おうぎ)陰鷹暗爪撃(いんようあんそうげき)


 覇道(はどう)森羅(しんら)一体流(いったいりゅう)暴虐(ぼうぎゃく)太陽(たいよう)奥義(おうぎ)(かっ)()紅炎(こうえん)


「がっ」


 背後に現れた奴に強烈極まる後ろ回し蹴りを喰らわせてやった。念話に気を取られて、瞬間移動に気付かぬと思ったのが間違いだったな。


「ハッハッハァ、俺ッちと距離を取ったな~。つまりオマエを否定できるぅぅ♪」


 ほぉ、陰鷹暗爪激に、太陽が起こす突発のプロミネンスを体現した奥義も重ねた。あれに耐えるとは、俺様が弱いのか、向こうが頑丈なのか分からんな。


「上はトったゼエエエエエエエエエエエエェェェェェェェェェェェェ」


 跳躍では届かぬ高い位置に陣取って、右手から音速で棘を伸ばしてくる。棘の雨。さっきは受け流していたが、向かうとしよう。


「どうせ、オメェの狙いはボスなんだろうけどヨォ、ムダだぜ。俺ッちに苦戦する様な負け犬じゃあ、同胞に否定されるのがオチってもんだ。ボスを見ずに終わる」


 覇道(はどう)(じゅう)操流(そうりゅう)孤高(ここう)(たか)奥義(おうぎ)(てん)(しょう)(ちょう)()


 孤高の鷹を極めていた人間は魔法を使わず、魂に自然の一部である鷹を感じて空を飛んでいた。故に極めた俺様は空飛ぶ鷹となって奴の棘を避けていく。


「ナンデ飛べんだよぉぉぉ、負け犬だろ、オメェ」


 俺様は奴を見下ろす位置まで飛んだ。良い眺めだ。


 覇道(はどう)(じゅう)操流(そうりゅう)孤高(ここう)(たか)奥義(おうぎ)鷹襲烈下(ようしゅうれっか)


「グァぁっ」


 鋭い灼熱の蹴りが奴に直撃する。


 獰襲爪穿(どうしゅうそうせん)()で畳みかける。

 殴り、蹴りながら宙を押し進んでいく。


「人間共はまるで話にならねぇ。バリアとまほー、ちゃん雅、エトセトラえとせとら、俺ッち達にまるで歯が立たねぇ。そこに負け犬が入って世界を守れるかぁ? あん時ゆっくりすりゃ良かったって後悔するゼ」


 無視。痛みで瞬間移動できぬからと、苦し紛れの戯言で技を鈍らせようとしているな。


 俺様は影森に量子テレポート通信を行う。


「影森」


「何? もうツッコミどころが多くて、お姉さん困るんだけど」


「この塔はどうする?」


「エっ、ああ、損傷酷いし解体じゃないかな」


 通信修了。


 俺様は奴を蹴り飛ばし天井を破壊。


 すぐ奴に追撃を入れて瞬間移動を封じる。


 このまま上へ押し進む。


「おい、ワカンネーのか。世界っつーのは、いつか滅びるモンだろ。俺ッち達が滅ぼしたっていいーじゃねーカ。それなのになんで戦う?」


 もうすぐ最上階を超えるな。最期くらい答えてやるか。


「気に入らんからだ」


 覇道(はどう)森羅(しんら)一体流(いったいりゅう)暴虐(ぼうぎゃく)太陽(たいよう)奥義(おうぎ)憤烈呀(フレア)


 太陽が放つフレア。獄炎の甚大な破壊力を体現せし拳が奴を滅す。


 塔を凌駕し、夜空を衝く巨大な火柱。


 奴の亡骸は地球の重力を脱し、月に激突。粒子となって消滅する。


 塔を飛び出し、俺様は宣言する。


「否定する者、貴様等の尖兵は俺様が殺した」


「この宇宙は俺様の宇宙だ。貴様等なんぞに否定はさせん」


「否定する者は根絶やしだ」


「覚悟しろ」


 大声に魔法をかけて五次元先にいる否定する者へ届くようにした。本当に届いているかどうか分からんが、敵に対して示すのは大事なのだ。


「うるさーい。ウチの方まで届いて耳キーンなんだけど」


 少なくとも影森のところまでは届いたな。


「それに、何あのデッカイ火柱。月にリィズァをブッ飛ばして。やり過ぎ。色んなところに説明すんの大変なんだけど」


「月にクレーターが一つ増えただけだ。問題無い」


 影森の非難は無視しよう。


 久しぶりに空を飛んだ。夜の街を見下ろしてみると、ほんの少し宇宙に似ているな。


 目がかすむ。この程度の景色にまさか、俺様が感動していると言うのか。

 頭が重く朦朧とする。力が抜けてくる。

 どうやら、また人間に逆戻りだな。


 落ちる。重力に引っ張られ。

 落ちる。意識が。


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