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俺様は世界を創れるんだが、人間にまで弱体化した  作者: Oっ3
人間になった俺様、黎明編
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第三章 ブリーフィング~対リィズァ

 司令室で俺様、雅、花瑠、オリヴィアは立体化した映像(ホログラフ)を見ている。


 ここエクスカリバー東京支部の周辺の街。日が沈んでも人間達は活動するのが常だ。帰宅、買い物、遊興、何かしらしている。その全てが停止しているのだ。


 最初は皆、影森がふざけて静止画を見せているのかと思っていたし、口にもしていた。

 映像をよく見るとカタツムリくらいの速さで進む車や、(まぶた)が瞬きしようと動くところや、落体が宙を緩慢に漂っている。


 速い奴が放つ鉛色の閃光。それを浴びた時に起こる停滞が街単位で起きている。

 発生源はこの街にある大きなタワー。不規則に明滅する虚部の集合でできた寒色の茨が塔を浸食していた。


 正直、遠くに見えるな程度の認識だったが、人間が暮らすのに使う通信、否定する者が次元を超えて侵入しないよう大規模な攪乱の為に建てたらしい。俺様を狙うようにショッピングモールや公園で現れた時を考えると、既に防御はいつでも破れる状態にあったわけだ。


 速い奴単体で大規模な停滞ができるとは思えん。小賢しい代行者が配下の否定する者を使って、鉛色の閃光の安定出力と増幅、拡散しやすいよう不可視光線の波に変換したのだろう。


「と言う訳でね。このままだと三日以内には、世界が静止する日になっちゃうんだ」


 雅、花瑠、オリヴィアは事態に危機感を抱いていた。説明していた影森の方は笑みを浮かべるくらい余裕だな。


「作戦としてはリィズァ波が届いていない地下からタワーに侵入」


 鉛色の閃光を不可視光線に変換した波を、影森が言いたくない名前を含めて命名した。


「否定する者を撃破。発生源であるリィズァを倒すのがベストなんだけど、増幅する器官の破壊が現実的かねぇ。カメラにエクセスが映っていたし、激戦必至だけど」


「奴をおびき寄せる方法はある」


 俺様の発言に全員興味を示したか。


「奴の狙いは俺様だ。俺様が通りを進んでいるのを知れば、奴の性格なら殺してやろうと単騎で向かってくる。停滞を中断できる」


 他の雑魚は三人に任せて。これで一対一に持ち込めるな。


「危険過ぎます。安藤一人でリィズァと戦う気ですか? それに、停滞させられる空間を歩くには、マグナ・ルズのリミッターを解除する必要があるんですよ」


 雅が手を挙げて懸念を示した。


「従来のマグナ・ルズだったらね。でも昨日、アップデートが入ってね。まず全員共通で、止まれ攻撃に多少の耐性ができたよ。次に身体(スーパー)強化型(フィジカル)限定だけど、リィズァ波の中でも活動できるよ」


 話している影森と俺様を除いて、三人がそれぞれ驚いている。


「リミッター解除も強くなったよ。負荷を減少させつつ、出力を上昇し、効果時間も延長する欲張り仕様。スゴイね。安藤君のおかげだよ。安藤君さまさまだね」


「えっ」

「マジですか!!」


 影森め、煽りよって。実際にやったのは、ここの錬金術師だ。俺様は助言したに過ぎない。


 昨日、奴と戦った後、俺様は黒い力がどんな物なのか興味を持ったのでラボに入った。


 黒い力もといマグナ・ルズは魔法の派生である錬金術を基にできている。ただ構成する面の数や積分、ダークマターの扱い方に問題があったから直させた。


「じゃあ、安藤君には地上を進んでもらうよ。リィズァ波を浴び続けたせいで、一般人にどんな悪影響が出るか分かんないし。発生源になるリィズァを餌で釣った方がいいよね。雅ちゃんと花瑠ちゃん、オリーは待機して、向こうの出方次第かな」


 影森が方針をまとめた。


「反対です。わざわざ戦力を分散させる必要は無いと思います。最初の方針通り、戦力を集中した方が良いと思います」


 雅が水を差す。まぁ、もっともな事だ。こちらの戦力は少なく、否定する者は多い上に奴もいる。


「リィズァって四対一でもヤバかったでしょ。プラス、エクセス率いるディッズルの部隊を相手にする方が危険かなって。だから、分散させたいんだよね。安藤君を囮にして釣れたら、リミッター解除できる雅ちゃんだけ合流して。花瑠ちゃんとオリーはタワーかな」


 俺様が先行して停滞する世界を進む。この部分は基本的に変わらない。十分の内に奴を釣れなかった場合は、三人で地下からタワーを目指す。


 十分以上経ち、奴が俺様の方に向かった場合は雅だけ離脱して合流する算段だ。


「花瑠ちゃんは今日バリアだよね。みんなを守ってね」


「わかりました」


「オリーはディッズル達に対する攻撃の要だから、よろしく」


 策がまとまったな。


「意外だよ。安藤君に死ねばいいのにって思ってる雅ちゃんが、安藤君の単独出撃を止めるとは思わなかったよ」


「無謀だと感じたから止めただけです。いちおう同じ、仲間ですから」


「な~んかあった臭いねぇ。安藤君となんかあったでしょ?」


 影森が妙な勘ぐりを始めた。


「そんなこと、ありませんよ」


 隠そうとしているが、雅から動揺が漏れている。これでは影森の追求は撒けんぞ。


「千笑里さん。これは隠していますね。みっちー、何があったんですか? 教えてください」


 もう一人の何でも色恋に結び付ける奴が動き出した。

 興味本位に色めき立った下種共の追求。嫌気がさしたオリヴィアの呟きも聞こえてくる。


「作戦が決まったんだからもういいでしょ。時間の無駄。関係無い。これから死ぬかもしれないってのに。呑気。ぁああ、もう嫌だ、嫌だ。終われ、終われ」


 割と正論だな。呟きだから無視されているが。


「黙れ!!」


 気に入らんから、俺様は一喝して場を制した。


「俺様と雅は和解した。情報としてはそれで十分だろ」


 司令室を出た。少し離れると、花瑠と影森が雅を追求するのが聞こえたから、何でも色恋に結び付ける奴は心底面倒だ。


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