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アンドロイド 誕生
彼女の最初の記憶にあるのは白い光だった。その光の中央には細長く丸いものがあった。それは最初に見た白い光よりまぶしくはないが、周りの白と同じくらいに青白く、その青白い中にはさらに2つの黒いくぼみのような丸があった。彼女はそれを眺めながら、深い眠りに落ちた。
それからしばらくして目を覚ますと、彼女は薄暗い青の中に横たわっていた。あれからすぐに眠ってしまったから周囲がどう変化したのかその経緯は分らない。それは最初に体験した息のつまるような白ではなく、胸のすくような青だった。気が付くと、側にはまた細長く丸いものがあった。
「おはよう」それは言ったが、彼女にはその意味を受け取ることが出来ない。ただその表情に優しさと安心を感じ取った。
口を丸く開いて真似をしようとしたがうまくいかず、そのまま笑みをつくり再び目を閉じて眠った。