28/38
0
有名なドイツの哲学者、ショーペンハウエルは数々の名言を残している。
――われわれのすべての災禍は、我々がひとりきりではいられないことに由来する。
迷い込んだ異世界が現実世界とリンクしていることに気づいたオレたちは、そこに大きな希望を短絡してしまった。この世界で生きること、から、この世界から逃れること、に、だんだんと目を向けるようになってしまった。
元の世界とつながっているこの世界が、元の世界と同じ禍を内包していることも考えずに。
これは、オレと先輩が実際に痛感した、すぐそばの異界『天外の隣国』での物語。




