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天外の隣国  作者: 小春日和
安定していないこと。それこそが世界がここにこうして存在するときの定まった形なのだ。
10/38

「おーい……。お休みのところ悪いけど、そろそろ起きてくれないかな」

 ……すぐ近いところから、風汰ののんびりした声が聞こえた。

「寝かしといてやりたいのはやまやまなんだけど、このままだと日が暮れちゃうからさあ。がんばって、ちょっとだけ移動してくれよ」

 ……気づかう言葉と肩を揺する掌に、オレはぼんやりと目を開けた。


 湿気が立ち昇る山の空気。頬に触る下草の感触。

 視界が捉えているのは、すでに日の落ちた渓流の白波だった。音だけは日中と変わらず、ざらざらと水の粒子が下流に落ちていく様子を響かせている。

 ……ああ……もうこんな時間か……。


 猿に襲われて失神してから、オレは何度目かの覚醒を経験していた。

 最初に目を覚ましたときに見たのは、ほっとした風汰の顔と、貴さんの操作するミニヘリコプターの装飾ライトだ。

「このプロペラの音が猿には嫌だったみたいだな。でかい昆虫の羽の音と一緒だもんな。怯んでお前を離したところで、オレがナイフで一突きしたんだ。かすり傷っぽかったけど、とりあえず逃げてくれて助かったよ」

風汰の説明で、命拾いしたことを知った。

 そのまま痛みと疲労でまた落ちたオレは、次には誰もいない状況で目を開けた。日が傾いているのを感じて、

「……帰らないと……」

と気張ってみたけど、体にはまったく力が入らなかった。

 三度めは二人ともそばにいて、

「今日はここで野宿しよう。いま簡易テントを作ってるから」

と貴さんが言った。

「ごめん」

とだけ答えて寝たふりをした。なんだか、申し訳ないのと惨めなので、言葉が出てこなかったから。


 風汰に肩を貸してもらい、ほとんど闇に沈んだ山を、テントまで歩いた。足場の藪はあらかじめ風汰が刈っておいてくれたらしい。

「ごめん……。オレ、どれぐらい寝てた?」

確認すると、

「『ごめん』は要らんけどな」

と笑いながら拒否したあとで、

「四時間ぐらいかな。けっこう、いろいろ発見したぜ」

風汰は……一見弾んでいながら、妙に硬い声音を返した。


 ブルーシートを周辺の木々に結びつけた簡易テントの床には、二人が集めてくれたのか、落ち葉が厚く敷き詰められていた。

「乾いたらタオルを上に敷いてやるから、それまで我慢してそこに転がってて」

との指示どおり、湿気った堆積物の上に横たわると、虫の幼虫みたいな匂いと、保温された太陽の熱が、オレを包み込んだ。

 子どものころ、スーパーに並んだ虫かごに手を突っ込んで、温かいおがくずの中のカブトの幼虫の感触を楽しんだことを思い出す。あれ、妙に気持ちいいんだよな。姉貴はすごく嫌がったけど。

 テントの外では炎の影が揺れている。

 貴さんが、

「星野くんが身をていして釣り上げてくれたヤマメがあってよかったよ。でなかったら即身仏になるところだった」

と軽口を叩いた。その隣で風汰が、盛大にくしゃみをしながら、

「もっと本格的な竿があったら、今度は鯛でも釣ってやるよ」

と応酬している。

「ここにはいないんじゃないかな?」

真面目に答える貴さんの言い方が可笑しくて、オレも思わず笑い声を上げた。

 そっか。タオルが濡れたのは、釣りに熱中した風汰が川に落ちたからか。らしいや。


 ヤマメ四匹と、それから、

「すげーだろ。これ手づかみで捕ったんだぜ」

と風汰が自慢するイワナが一匹、焚き火の端で炙られている。

「さすがに米を持ってくる発想はなかったから、主食はこれで」

と貴さんがリュックから取り出したのは乾パンだった。

「これでも充分発想しないものだけど」

オレは、やっとふだんのリズムを取り戻して、貴さんに、からかい混じりの礼を返した。


 キャンプ用の携帯食器に並ぶ乾パンと焼き魚。量はまったく足りないけど、とりあえず食事の時間が持てたことで、オレだけじゃなく、風汰も貴さんも安堵したようだった。

「明日は何捕る? さっき歩き回ったらキノコとか生えてたけど、あれって毒もあるんだろ?」

風汰がせっかちに明日の飯の相談を吹っかける。

「罠に何かが掛かってるといいんだけどね。タヌキとかウサギとか。解体はしょうがないから僕がやるとして、絞めるのは頼むね」

貴さんが物騒な提案を風汰にやり返した。風汰は、

「うえー……。オレ、自宅で犬飼ってんだぜー」

と顔をしかめる。

 ……オレは、なんだか不思議な気持ちで、二人のやりとりを聞いていた。

 二人とも、明日もここで暮らす気なんだろうか? 家に帰る気はないんだろうか?


「なあ……なんで……」

手際よく用意されたテントと夕食が、急に気味の悪いものに思えてくる。

「なんで、オレが倒れたとき、救急車なり近くの民家に助けなりを呼ばなかったの?」


 ……そうだよ。

 貴さんのリュックがここにあるってことは、この二人は上の県道まで戻ったってことじゃないか。ならスマホで救助を呼ぶことはできたはずだ。もし電波が圏外だったとしても、すぐそばには古民家、三〇分も戻れば駅がある。


 貴さんは焚き火を見たまま無言になった。

 風汰は頭を掻きながら、

「教えてもいいけど……でもなあ……」

と言葉を濁している。


 オレは、皿を脇によけると、立ち上がって周りを見回した。

 すでに真っ暗な夜の山中。渓流のせせらぎに混じって、得体のしれない獣の声が混じる。

 急に脇腹の痛みと疲労感が増した気がして、オレは、またしゃがみ込んだ。

 なんだよ……。何が起こってんだよ……。


 とりあえず食べることだけは済ませろと急かす二人の言いつけを聞いて、オレは皿を空にした。食欲はあったが、食べきるのには苦痛を伴った。不安のせいと、それから内臓のどこかを痛めたのかもしれない。

 風汰が乾かしたタオルをテント内に敷いた。そこに転がるように指示されたので、素直に従う。

 入れ替わりでテントに入ってきた貴さんは、ランタン型の懐中電灯に灯を入れて、それを枕元に置いた。


「英士くんが寝てる間にね」

貴さんの説明は、そんなふうに始まった。


 オレが猿に襲われたあと、貴さんと風汰は、当然だけど、病院に運ぶ術を考えたんだそうだ。

 まず、体力に問題のない風汰が県道まで駆け上がった。貴さんのスマホは圏外だったし、救急車を呼ぶより、手近の民家に駆け込んで車を出してもらうほうが早いと踏んだからだ。

 ところが風汰は県道を見つけられなかった。風汰が草を刈って作った道は、途中で深い藪に合流してしまった。しかも、その合流地点には貴さんのリュックが転がっていたらしい。


「……どういう……」

意味がわからずに聞き返すオレに、貴さんは、

「僕の予想だけど」

と前置きした上で、状況説明を続けてくれた。


 混乱した風汰は、そのまま藪の中を数十メートル、民家のあっただろう方向に進んだ。ところが、民家どころか、見覚えのある地形が一向に出てこない。

 あまり離れるのはまずいと思ったやつは、いったん貴さんの元まで戻って、相談したそうだ。

「そこでこれを出動させたんだ」

貴さんは、わざわざ一回テントから出て、リュックから該当のアイテムを取り出してきた。


 貴さんが持ってきたのはラジコンヘリの大きいほうだった。二〇センチほどある機体には、黒い、四角形をした小さな機械が、結束バンドで取りつけられている。

「これは超小型カメラっていう機器でね。CCDっていう高性能の……んー……まあレンズだと思ってくれればいいや(※一)。それが装着されてるんだよ。だからこんなに小さくても写真も動画も鮮明に映るんだ」

 オレは寝転がったまま機体をいじってみた。……たしかに、超小型カメラなるものの前面には、ちゃちながら、レンズらしいガラスがはまっている。

「星野くんがリュックを発見した場所まで行って、これを上昇させてみたんだ。飛距離はせいぜい一〇メートルぐらいのおもちゃなんだけど、視点が高くなれば発見も増えるだろ。そしたら」


 しばらく上空をうろつかせたあとにヘリを回収した貴さんと風汰は、カメラに付属している小型の液晶画面で、録画した風景を確認した。

 ……でもそこには、期待した舗装路や民家は映っておらず、ひたすらに藪と樹木の連続する光景しかなかったようだ。


「液晶の精度が悪いんで、こんな暗い場所では見にくいんだけど、英士くんも見てみる?」

貴さんにそう言われて、オレは半身を起こした。

「見せてください」

答えると、貴さんは、ちょっとだけ困ったような顔をして、ヘリからカメラを抜き取りだした。


 ……貴さんがオレに積極的に映像を見せたがらないのは、きっと、その中に、いま貴さんが説明した以上の奇妙さが映っているからなんだろう……。


 貴さんの手から小型カメラを受け取ったオレは、すでに起動している液晶画面に集中した。荒い動画がヘリの視点で流れていく。

 木立の中だ。広い葉を持つすべすべとした幹の木。その隣にはとがった楕円形の葉形の木。ときどきレンズが向けられる地面には、ごついつるを持った蛇のような植物がうねっている。

 貴さんが、

「……これはくずだよ。葛餅って和菓子、知ってる? その原料にする植物なんだ」

と蔓を指さしながら言った。

「繁殖力の高い草で、しかも蔓が太いもんだから、鎌なんかじゃ切れなくてね。僕の父は自治会の役員をやってるんだけど、夏の草刈りの時期は、電動の草刈機でも大敵なこの植物を毛嫌いしてるんだ」


 …………。

 ……………………。


 ……繁殖力の高い葛がはびこるこの山に入るのに、オレたちは鎌一本で難なく成し遂げた……。

 ……そもそも、県道からけもの道を探し歩いていたときには、こんな蔓、見たことなかった……。

 それに……。

「貴さん……貴さんさ、学校でスマホのストリートビューを見せてくれたじゃん……。あのときに映ってたこの山って、たしか杉の林だったよね……?」

姉貴が重症の花粉症を患っているオレは、ビューの映像を見て、

「帰る前にしっかり花粉を落としていかないと」

って思ったんだ。

 でも、いま、このカメラの映像の中に杉はない。雑多な樹木が乱立する、まるで原生林みたいな雰囲気を醸している。


「僕の予想ではね」

貴さんは、また同じ言葉をくり返した。

「ここは、僕たちが来たときの土地とは、ちょっと違ってる気がするんだ。県道もない。杉の植林もない。なんだかまるで、開発される前の時代に飛んじゃったみたいに感じるんだよ」


 タイムスリップ?

 実際にはありえないけど、空想上では馴染みのありまくるその現象。

 たしか、ノーベル賞を受賞したヒッグス粒子も、応用次第でタイムワープに利用できるんじゃなかったっけ?(※二)

 ……でも。

 オレたちはその原因になりそうな現象には何も見舞われていない……。落雷の過電圧や竜巻の真空みたいな、空間にまで影響を与える災害に被災したのならまだしも、ただ山道を歩いていただけだ……。


 …………。

 …………。

 …………。

 ……考えてもしょうがない……。どうせ答えなんか出ないんだし……。


 オレは原因の究明を放棄して、ぼんやりと見ていたランタンの灯から、貴さんの顔へと視線を移した。

 いまやらなきゃならないことは、『どうしてこうなったか』を突き止めることじゃない。『どうやって帰るか』を見つけることだ。

 オレは貴さんに、

「もしここが現代ではなく過去の時代なら、何時代に当たると思います?」

と聞いた。

 貴さんの言うタイムスリップ説は突飛な考えだけど、いま集まっている情報を集約すると、一番しっくり来る説でもある。だったらスリップした時代を把握しておくほうがいい。


 貴さんは、

「難しいね」

と苦笑した。

「だって、県道の建設や植林は、たぶん、そんなに古い時代に行われたものじゃないだろ。ごくごく近年……もしかしたらここ三〇年ぐらいのことかもしれない。ってことは、いまのここは明治や昭和の可能性もあるし、逆に飛鳥時代まで遡る可能性もあるんだよ」


 ……たしかに。

 目印になるものが、たとえば有名な人物だったり建物だったりすれば、ある程度の予想はつく。目の前に織田信長が現れて、

「曲者め」

なんて刀を向ければ、歓迎する状況かどうかはともかく、戦国時代の末期だとわかる。

 でもここには山しかない。自然はきっとそんなに大きく変動はしない。

 何か……山以外の何かが、オレたちの行動範囲に残されていないだろうか……。


「あ」

と思わず声が出た。

「あった……」

オレのつぶやきに、貴さんが、

「だろ?」

とわけ知り顔で笑いかける。


 日光東照宮。江戸時代、三代将軍徳川家光が建てたとされる寺院。

 ここからなら二キロ……いや、駅からちょっと離れているらしいから、三キロぐらいはあるか。でも徒歩圏内だ。

 東照宮がもしあったなら、ここは少なくとも江戸時代以降の年代になる。戦乱の世だった戦国以前の時代に比べれば、ずっと安全に暮らせる風土があるはずだ。


「貴さん、方向を調べられるものって、持ってる?」

地図上では、東照宮はここから北西に位置していた。道は……また藪を切り拓かなきゃならないけど、方角さえわかればそれほど混乱はないはずだ。

「コンパスがあるよ」

相変わらず用意のいい貴さんは、そう言ったあと、

「この時期は、太陽の沈む方向と国道一一九号線がほぼ平行になるから、それで微調整するのもありかもね」

と頼もしい知恵も披露してくれた。


「一番ひ弱な貴史が、一番サバイバルに長けてるんだもんな」

 明日の具体的な流れを話し合おうと、また焚き火を囲んだオレたち。その中で、風汰が、自分の寝床をテントの中ではなく火の脇に作りながら、そう貴さんをリスペクトした。

「正直、貴史のあの荷物がなかったら、オレたちアウトじゃなかったか? たぶん猿に殺されてたぞ」

そんなふうにほぼ断定する隣で、

「まあ……そもそも僕の鎌がなかったら、ここまで来てなかったりもするんだけどね」

と珍しく謙遜した貴さん。

 オレがいない間に、この二人はそれなりに信頼関係を結んだみたいだ。よかった。


「明日は朝食は抜きで、できるだけ早く出かけよう。東照宮が見つかるとは限らないし、見つかっても即この状況が改善されるわけじゃない。山の中で連泊するのは覚悟しておいて」

貴さんの仕切りで明日の予定が次々と決まっていく。

「荷物はぜんぶ持っての移動になるよ。藪を刈りながらの行軍とはいえ、この場所に戻れる保証はないからね。僕たちは、東照宮って目的地を迷いながら探すんじゃなくて、キャンプのベース地を確保しながら行くぐらいのつもりでいよう。そのほうが心理的な負担が減る」

端的な言葉で効率のいい方法を提示する貴さんに、オレも風汰も反論なんかする余地がない。


 オレ、貴さんのこと、いままで勘違いしていたのかもしれない。

 オレから見ての貴さんは、病弱な人、だった。まともに走れもしないし、性格的にも決断力に欠けているように思えたんだ。

 でも考えてみたら、貴さんは、骨肉腫になる前はふつうの男子高校生だった。だから、その年ごろの男どもと同じことができても不思議じゃないわけだ。

 貴さんの大荷物。オレはこれについてもいろいろ邪推したけど、貴さんは、単に山に行くという行程を重く見ていただけかもしれない。軽装備で遭難する事故が後を絶たない現場だもんな。


 明日の朝、明るくなったら出立、という取り決めを守るために、オレたちは、まだ八時前だというのに寝支度を始めた。

「風汰、ここで寝るの?」

どう見ても寝心地の最悪そうな風汰の寝床を指さすと、やつは、

「あの猿がまた出ないとも言えないからね。見張ってる」

と答えた。

 ……ああ、そうか。

 猿は夜行性ではなく昼行性の生き物だけど、あいつはそんな生態を無視していそうな存在だった。それに、猿は記憶力がいいって言う。自分を刺した風汰のことを覚えていて、寝入りばなを襲ってこないとも限らない。

 オレは、オレも用心のために外で寝ることを風汰に提案した。

「二人で交代で起きてれば、お互いの負担も減るだろ? だからオレの寝る場所も少し空けてくれよ」

と。

 でも風汰は、

「今日は寝とけ」

と笑って断った。

「明日の山歩きは楽じゃないと思うからさ。お前が完全に復調してくれないと、貴史の足のこともあるし、ますます行動が鈍るだろ。だから今夜はオレが起きてる」

と。


 ……自分がひどくお荷物になった気がして、オレは、

「ごめん……」

と小声で謝った。

 こんな状況下で的確な判断のできる貴さん。身体能力が高くて対戦的にも気の回る風汰。この二人に比べて、オレって何の役に立つんだろう……。


 でも……。

 本当に申し訳は立たないけど、たしかに、この収まりきっていないダメージを明日まで残すのは、ぜったいに避けなきゃならないことだ。


 再度、

「ごめん……」

と謝ってテントに向かったオレに、

「そういうの、要らん!」

風汰が怒鳴りながら返事を返した。

 ますますやりきれない気持ちになりながらも、オレは、あえて軽い仕草で風汰に手を振って、

「お休みー」

と言った。


 ……オレ、なんであの猿に立ち向かっちゃったりしたんだろうな……。

 貴さんと背中合わせに転がりながら、オレは、自分のバカさ加減をいまさらながら自嘲した。

 だって……ほっといたら、あいつはあれを食うと思ったから……。

 巣箱の中で、壁に張りついて震えていた、あれ。

 肌色の皮膚と長い黒髪。小さすぎて顔まではわからなかったけど、細い手足は子どもみたいだった。

「貴さん……」

オレは、もう寝ただろう貴さんに向かって、聞こえないのを承知でつぶやいた。

「オレ、小人、見たかも」


 貴さんが起き上がった気配がした。

 それから……深い溜息が聞こえた。


 そして、貴さんは言った。

「……ここは、やっぱり、ただの過去の日本じゃなくて、まったく別の世界みたいだね」

と。


 オレは意味がわからず、貴さんのほうに体を向けながら、

「小人がいたから?」

と聞いた。

 貴さんは、ランタンが作り出す光と翳を無表情の顔に張りつかせながら、黙って首を縦に振った。


※一 CCDは、正確に言えばカメラレンズではなく、レンズから取り込んだ光や映像を解析して映像に結び直す装置です。従来カメラで言えば『フィルム』に当たる部分なのですが、昨今ではフィルム式のカメラを利用する機会自体がないので、このような説明にさせていただきました。

※二 ヒッグス粒子でタイムワープの技術を作ることは、実質的には不可能とされています。タイムワープの原理は『物質に質量をもたらすヒッグス粒子を取り除いて完全な空白空間を作り、そこをタイムマシンに通らせる』という発想から。けれどヒッグス粒子を取り除くということがそもそもでき得ないことであり、さらにそこに質量を持つ物質タイムマシンを送り込むという理屈が破綻しているからです。

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