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第25話

「ぎゃあ!」

いきなり背後から抱きしめられて、階段から落ちそうになる。

「何すんだよ! 離せ!」

「え〜。だってチトセってば、全然再会を喜んでくれないのだもの。僕はこんなに嬉しいのに」

ますますぎゅっと力を込めてくる。

けど苦しくはない。どうやら手加減も覚えたらしい。

でも、いきなりなトコは変わってねぇな!

「離せってば! 階段でふざけちゃいけませんって、小さい頃教わらなかったの!」

「……ちぇ」

はぁ、やっと離してくれたよ。油断も隙もあったもんじゃないね。

再び階段を上り始めたあたしの背中に、陛下が問いかけてくる。

「ねぇ、チトセはまだ僕のことを弟だと思ってる?」

「相当手のかかる、ね」

あたしは階段を上りながら答えた。

あの時は弟だなんて認めてないつもりだったけど、後から考えたら結構弟扱いしてたかもだし。

「僕はもうチトセと姉上を一緒にしてないよ」

あたしの後ろをついてくる陛下に、あたしは振り返らずに答える。

「あっそう。だから何?」

それが普通なんだってば。

「うん、だからこれから僕とチトセの新しい関係を築いていきたいと思うんだ」

「へぇ? 何? 君主と家臣? ペットとご主人様? それとも友人関係?」

大穴で罪と罰、あるいは愛と誠とかってね。

「違うよ。あのね……」

ボソリと耳元に囁かれた言葉に、思わず足が止まった。

振り返って、あたしの数段下にいて視線が同じ陛下を睨みつける。

「はぁ? あんた熱でもあるんじゃないの? もしくはとち狂った?」

「まさか。僕はいたって健康だし、正気で本気。チトセがいう所のマジ、かな?」

「……マジで?」

「だからマジで」

うわぁ……なんつーか、恥ずかし過ぎる発言なんですけど。

顔が熱くなるよ。

何! この展開! ココまで王道どころか獣道もいいトコ走ってきといて、何でココでいきなり王道な展開になるかな!

ちょっとどうなってんだよ! マジで!

固まってるあたしの横をすり抜けて、陛下が上に上る。

あたしに手を差し伸べながら、陛下は不敵に笑って言った。

「僕は諦めが悪いから、覚悟してね、チトセ」

あたしは大きなため息をついて、その手を取る。

フリをして思いっきり叩いた。

ベチッっといい音が地上と地下をつなぐ階段に響く。

「ふん。あたしがそんな簡単に落ちると思ったら大間違いだからな」

「それでこそチトセだね。落とし甲斐があるよ」

はぁあ、今思えば、あの小さい陛下はまだ可愛げがあったな。

精神は外見に比例するって言ってたけど、大分ふてぶてしくなっちゃってまぁ。

手をさすってる陛下の横をすり抜けて、あたしは階段を上る。

地上への出口は、もうすぐそこだ。


始めは唐突に告げられた、魔王サマがあたしの弟だって。

でももう彼はあたしの弟じゃないつもりらしい。

じゃあ、これからはどんな関係に?

少なくとも、そう簡単には、陛下の言う通りの関係になんかなってやんないけどね。

え? あの時陛下に何て言われたかって?

アレをあたしの口から言わせる気なワケ? 無理無理。つーか、絶対ヤだ。

だって口にするのは恥ずかしいし、言ったらホントにそうなりそうで怖いしね。

だからそれは、皆様のご想像にお任せしますわ。これからの展開もね。

まぁ、退屈だけはしそうにないってことは、予想できるけどさ。

そんなワケで、また機会があったら会いましょ。未来のコトなんて、まだ分かんないけどね。

皆様、Good−bye! 再見! さようなら! ついでにば〜いば〜いき〜ん♪

また会う日まで!


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