「私に貴方は必要ありませんので」
不倫したのに離婚しようとしない、ヒロインを体よく利用しようとする夫との話です。
「すまないルヴィア、俺はミリーを愛しているんだ。」
「ごめんなさい、フェルミア伯爵夫人。」
「…。」
ルヴィアは自分の夫、アルグレ・フェルミア伯爵がミリー・ハートン子爵令嬢の肩を抱き寄せながら謝罪する姿を冷たい目で見ていた。
ルヴィアとアルグレは約半年前に政略結婚をした。ルヴィアはセネガル伯爵家の令嬢であったがフェルミア伯爵家に嫁入りした。
「なぁルヴィア、どうしたら良いと思う?」
「この書類はどうすればいいんだ?」
「えっと…あの子爵は何の話題なら興味を持ってくれるかな?」
アルグレは何処か頼りなく、何かあればすぐにルヴィアに頼ってきた。領地の運営についてや書類の処理と整理といった業務だけでなく、社交場での話題や交流方法についても1人で決められた事が無かった。
「有難うルヴィア、やっぱり君は頼りになるな!」
だがルヴィアに毎回感謝をし、何だかんだで自分の業務と向き合ってきたアルグレにルヴィアは不満なんて無かった。勿論、前に言った事を忘れられると思わず文句を言いたくなってしまう事もあった。しかしそんな時は暴言を吐いてくる夫よりはマシだ、アルグレを傷付けては駄目だと自分に言い聞かせて我慢してきた。
「…。」
その気遣いの結果、不倫されるだなんてルヴィアは想像できなかった。
「ルヴィアはずっと、俺やフェルミア伯爵家の為に頑張ってくれていた事は知ってる。でも君は優秀すぎて…一緒に居て辛いと思っていたんだ。まるで俺なんか必要じゃないみたいで…。」
アルグレはルヴィアに謝罪をしている筈なのに、ルヴィアに非があるような、まるで責めているかのように言い訳を口にした。
「…ミリーはそんな俺を励ましてくれたんだ。そしてミリーはハートン子爵家で冷遇されて、居場所が無いんだよ。彼女には俺の助けが必要なんだ!」
「アルグレ様…。」
アルグレの言葉に喜びつつもルヴィアには申し訳無いと思っているのかのように、ミリーは複雑そうな顔をした。
ルヴィアはミリー・ハートンの名前は知っていたが姿を認識するのは初めてだ。そしてハートン子爵家の存在も知っているが良くも悪くも噂を聞いた事がなく、ミリーが冷遇されているというのも初めて聞いた。
「…アルグレ、二月ほど前から忙しい用事が出来たと言っておりましたね。それは、ハートン子爵令嬢と会っていたという事ですか?」
「…そ、そうだ。」
アルグレは何の用事かは言わず、暫く忙しいから全ての業務をルヴィアに頼みたいと言ってきたのだ。何度か用事についてルヴィアは聞いたのだが、アルグレは何も答えなかった。そんなアルグレに不信感はあったものの、まぁ良いかと見逃していた自分にルヴィアは今、後悔している。
「…それで、これからどうするつもりですか?」
いくら政略結婚とは言え、不貞行為をされて黙っていられる筈がない。ルヴィアとしては離婚一択だし、アルグレだってミリーと結婚したい筈だ。アルグレの親やハートン子爵家が許すかどうかは知らないが…。
「お、俺はルヴィアと離婚するつもりはないよ。ミリーは俺の愛人として傍に置くよ。」
「…は?」
アルグレの答えにルヴィアは目を見開いた。
「ルヴィアは今まで通り、俺の妻としてフェルミア伯爵夫人のまま居てくれたら良いよ。ルヴィアのこれまでの努力を、想いを無下にするつもりなんてないから。」
「アルグレはハートン令嬢を愛しているのですよね。それなのに愛人…ですか?」
それで良いのかと確認するように、ルヴィアはアルグレとミリーを見た。
「俺はミリーを愛しているけど、ルヴィアの事だって大事なんだよ。フェルミア伯爵家を継ぐのは俺とルヴィアの子だ。ミリーとは子を儲けない。だからルヴィアは今後の事を心配しなくて良いよ。」
「…はい、私はアルグレ様の傍に居られるだけで充分です。それ以上の事は望みません。フェルミア伯爵夫人の立場を奪うような事は決してしません。」
アルグレの言葉にミリーも同意する。まるでルヴィアの為に我慢するかのような言い方だ。
「……一先ず、アルグレの用事は済んだという事で良いでしょうか? 私に一時的に頼んでいた業務を、これからはやるのですよね?」
勝手に愛人を作って赦せだなんてあまりにも巫山戯ている。ルヴィアとしては離婚以外の選択なんてない。それらの言葉を抑え込んで、ルヴィアが口にしたのは今後の業務についての確認だった。
「…いや、その…。」
アルグレは返事をしない。
「私にハートン令嬢を愛人にすると伝えたという事は、ハートン令嬢とフェルミア伯爵家で一緒に過ごす事に決めたという事ですよね? “ミリー・ハートン子爵令嬢に会いに行く”という用事は無くなりますよね。」
忙しい用事が済んだのなら、もうルヴィアが全ての業務を処理する必要はない。今後は伯爵であるアルグレが仕事をするべきだ。
「…その、だな……業務については今まで通り、ルヴィアに、任せたいんだ。」
だがアルグレは気不味そうにしながらも、自分は仕事を今後もしないと返事をした。
「俺がやるよりもルヴィアがやった方が良いだろう。君の方が俺よりも仕事が出来るんだ。それが、フェルミア伯爵家の為だと思わないか?」
「…では、アルグレは何をすると言うのですか?」
ルヴィアがフェルミア伯爵家の仕事を全てするなら、アルグレはフェルミア伯爵家の為に何をするというのか…。
「っ…、そういう態度に、俺は何時も苦しめられて来たんだよ!!」
アルグレは急にルヴィアに憤ってきた。
「君は何でも出来て、俺は比較されて、ずっと惨めだったんだよ!!」
「アルグレ様っ!」
ミリーはアルグレの名前を悲しげに呼びながら抱きしめた。
「大丈夫です、アルグレ様。私は、私にとってアルグレ様はとても頼りになるお方ですから…。」
「ミリー…。」
寄り添いあうアルグレとミリー。目の前で繰り広げられる光景は、ルヴィアにとって心を冷えさせるだけの茶番でしかない。
「…今後どうするかは後で話すとして、一つ聞かせて下さい。」
ルヴィアの声に、アルグレとミリーはルヴィアに視線を向けた。
「アルグレ、貴方は仕事が出来ますか?」
ルヴィアの質問に場の空気は静まり返る。アルグレの気を逆撫でするような質問だから。何故そんな事を今聞くのか。ツッコミどころ色々とあるのだろう。
「っ…ルヴィア、またそうやって君は!!」
「私はアルグレが忙しいと言うから、代わりに業務をこなしていたに過ぎません。」
案の定再び憤ってきたアルグレだが、ルヴィアは無視して話す。
「私が病気になったり、止むを得ない事情で業務が出来なくなったとします。そうなれば貴方が仕事をしなくてはなりませんよね。貴方がしなくてはならない仕事だけでなく、夫人である私の仕事もです。」
本来ならばアルグレの仕事はアルグレ自身がやるべきだ。そこは何よりも指摘したいルヴィアだが、今は別の事について指摘する事に専念した。
「私が再び仕事が出来るようになるまでの間、私が力になれない状況で仕事が出来るのですか?」
「そ、それは……。」
アルグレは困った様子で言葉を濁らせて黙り込んでしまった。
「どうせ出来ませんよね?」
そんなアルグレにルヴィアははっきりと、そしてバッサリと切り返した。
「なっ…!?」
アルグレは驚愕した顔になり、ミリーもポカンと呆けたような顔になった。アルグレの表情が怒りに変わる前にルヴィアは口を開いた。
「貴方は“私の方が仕事が出来る”と言っておりますけど、自分は何処まで仕事が出来ると思っているのですか?」
ルヴィアはアルグレの仕事の出来なさ、要領の悪さを知っている。けれど以前の彼ならばルヴィアから助言されつつも“仕事をしていた”と言えた。アルグレよりもルヴィアの方が出来るという表現は真っ当であった。
「この2カ月間、貴方は全く仕事をしていなかった。そんな貴方がまともに業務をこなせるとは思いません。“やれば出来るが誰かに任せる事”と“出来ないから誰かにやらせる事”は違いますからね?」
だが今のアルグレの様子を見るに、ルヴィアとしては全くと言っていい程仕事が出来ると思えない。ルヴィアだけでなく、誰かと比較されるに値しない0か1かの話だ。自分より優れている人物に仕事を任せる事は適材適所で賢い選択とも言えるかもしれない。しかし伯爵が、当主が全く仕事が出来ないだなんてルヴィアとしてはあり得なかった。
「なっ…。」
アルグレの顔は怒りで高揚するが、何も言わないのは反論する言葉が見つからないのだろう。ミリーは困惑した様子でアルグレとルヴィアを見ている。
「私が何を言いたいのかと申しますと、貴方達は私を気遣って離婚しない選択をしたかのような態度で話しましたけれど、それはアルグレが仕事が出来れば成り立つお話なんですよ…。」
ルヴィアは一度言葉を区切り、アルグレを睨み付けた。
「アルグレ、貴方は伯爵家の仕事を押し付ける為に私を手離したくないだけですよね? それを、私の為だなんて言って誤魔化しているだけですよね?」
「っ! そ、それは…。」
ルヴィアの指摘が的を得ていたからか、睨みつけられて怖気づいたのかアルグレは勢いをなくして情けない顔になった。そんなアルグレに対するルヴィアの目線はより冷たいモノへと変わっていく。
「…家の為に何の役にも立てない。私個人への見返りも無い。それなのに自分は愛人と仲良く過ごして私に全て押し付けるだなんて、クズの極みですね。」
「なっ、クズ!?」
ルヴィアの冷徹な声で吐き出されたストレートな表現に、アルグレは追い詰められたような顔になった。
「っ、で、でもフェルミア伯爵夫人はアルグレ様を愛しているのでしょう!? アルグレ様と引き離されずに済むのですよ?!」
アルグレの様子を見兼ねたのか、ミリーがアルグレを庇うかのようにルヴィアに言った。愛する人の傍に今後も居られる事が見返りになる、そう言いたいのだろう。
「それ、どこ情報ですか?」
そんなミリーの言葉にルヴィアは呆れたような声を出した。
「私とアルグレは政略結婚ですよ。愛情も何もありませんよ。妻として、支えるべき事を支えてきたに過ぎません。」
「なっ…。」
「!?」
アルグレとミリーは驚愕した顔になったが、アルグレの方はショックを受けたような様子も見られた。
「そ、そんな嘘を言わないでくれよルヴィア…。俺がミリーを愛してショックを受けたのは分かるけどさ、義務だけであんなに僕を助けてくれる訳ないじゃないか…。」
アルグレは苦笑いをしながら、何故かルヴィアが自分を愛している筈だと言わんばかりに話してきた。今までアルグレに助けてきたのは、愛情があるからだと思い込みたいようだ。
「…あのですね、アルグレ。」
ルヴィアは初めからアルグレを愛してはいない。しかし何度言ってもアルグレは理解しない気がした。
「最初は愛していたとしても、自分の仕事もまともに出来ず尻拭いが必要な人を愛し続けられると思いますか? おまけに仕事が出来るからと言って押し付けてきて、挙句の果てに逆ギレされたのですよ。そんな人、嫌になりませんか?」
「〜っ!?」
だから今ある事実を突き付ける事でルヴィアが今、アルグレを愛していない事を理解させる事にした。流石にアルグレも思い知らされたように呆然としてしまった。
「ひ、酷いですフェルミア伯爵夫人! そんな言い方…。」
「ハートン令嬢にとってアルグレは貴女を助けてくれる、頼りになる存在…なのですよね?」
涙ぐみながらアルグレを庇おうとするミリーの言葉を遮り、ルヴィアは少し首を傾げた。
「私が居なければフェルミア伯爵家を守れない彼が、頼りになると思うのですか?」
「っ!?」
ルヴィアの指摘に、ミリーは言葉を詰まらせてしまった。
「私に、いえ誰かに頼らないと成り立たない程度の愛で不貞行為を行うなんて、所詮アルグレにとってハートン令嬢との関係はお遊びなのでは?」
「っ、な、なんだとぉっ!!?」
ルヴィアが失笑すると、アルグレは顔色を悪くさせながらも今まで以上に声を上げた。
「俺は本気でミリーを愛しているんだ!! 俺の気持ちが、遊びなんかである筈がないだろう!?」
「アルグレ様! 落ち着いて下さい、私はアルグレ様を信じておりますから…!」
「説得力がありませんよ。」
アルグレの必死な訴えにミリーは頷くも、ルヴィアは呆れた顔をするだけだ。
「遊びでは無いというのなら、私と離婚して正式な夫婦になれば良いではありませんか。私がいなくても仕事、出来ますよね?」
「っ〜、俺は君の事を気遣ってやったんだぞ!!」
ルヴィアの態度に苛立ちを募らせたかのように、アルグレは声を荒げた。
「あのですね、だからそれは…。」
体よく仕事を押し付ける為の理由でしょう、とルヴィアは先程の言葉を繰り返そうとするがそれよりも早くアルグレが口を開いた。
「他の女に愛を奪われて、離婚されたなんて傷がつかないように配慮したんだっ!! ミリーとの子を作る事も諦めてやったのに、それなのに…。」
「元凶の癖に、どの口がほざいているのですか? 何が配慮だ!」
ルヴィアはアルグレの言葉を遮り、強く睨みつけた。
「私を馬鹿にするのも大概にしろっ、…私よりも貴方の方が頭が悪い、馬鹿だって分かっているでしょうがっ!!」
「ひっ!」
「っ!!」
今度はルヴィアが声を荒げる。するとアルグレは情けない声を出して冷や汗を流し、ミリーも怯えたように縮こまった。
「…離婚する事を拒否しているのはアルグレの方ですよね? 私の中では離婚の一択しかありません。」
ルヴィアは怒りを鎮め無表情になり、冷静な声で話す。
「そして“私の為を思って”…と言ってますが仕事の出来ない貴方に言われたところで、自分の為に私を手放したくないと思っているようにしか感じません。もし、本当に私の為だと思っていたとしても余計なお世話です。」
ルヴィアは薄っすらと笑みを浮かべてアルグレとミリーを見つめた。
「アルグレがさっき言った通り、私に貴方は必要ありませんので。貴方の助けなんかなくても何とでもなります。」
「っ…。」
自分も言った筈なのに、アルグレは傷ついたような顔をして呆然とルヴィアを見てきた。
「…っ、そ、そんな言い方をしなくてもいいのではありませんか?」
「それに人の心配よりも、自分達の今後の事を心配した方が良いのではないでしょうか。ねぇ、ハートン子爵令嬢?」
ミリーがルヴィアの言葉を非難するが、ルヴィアは無視して質問を始めた。
「既婚者に手を出したハートン令嬢が、今後どうなるのかを想像出来ておりますか?」
「…え?」
ミリーは困惑した様子でルヴィアを見返す。
「私は何が何でも離婚します。そして離婚の原因である貴女の家、ハートン子爵家に抗議させて頂きます。貴女はハートン子爵家で冷遇されているのですよね? 今回の事でさらに貴女は冷遇されるかもしれませんね?」
「っ!? そ、それは…。」
ルヴィアの指摘にミリーは顔を青ざめさせた。ミリーの様子を見るに、ハートン子爵家で冷遇されているのは本当の事のようだ。最も、ミリーが哀れな被害者なのかは分からないが…。
「や、やめろルヴィア!! ハートン子爵家は兎も角、ミリーに手を出す事は赦さない…ミリーは俺が、フェルミア伯爵家が護る。手出しはさせない!」
「あら、とても頼もしいですね。」
ルヴィアは伯爵家と子爵家ならば当然伯爵家の方が地位がある。ミリーがフェルミア伯爵家に居続ける限り、ハートン子爵家から直接危害を加えられる事は確かに無いだろう。
「でもアルグレ、貴方はこの先フェルミア伯爵家を維持する事が出来るのですか? フェルミア伯爵家という護りを失えば、ハートン令嬢を護れなくなります…それどころか、貴方だって危うくなりますよ?」
ただしフェルミア伯爵家の地位が下がったり、没落してしまえばおしまいだ。最も、そうなる前にアルグレの両親がアルグレの伯爵としての地位を剥奪するように動くだろうが、そうなれば当然ミリーの存在が受け入れられる筈はない。アルグレもフェルミア伯爵家を追い出される事になるだろう。
そもそも2人の結婚が認められるかも怪しいのだ。周りを黙らせられる程の力量がアルグレに無い限り、結婚どころか傍に居る事だって難しい。
「……。」
「ア、アルグレ…様?」
ルヴィアに指摘されるまで考えてすらいなかったのか、アルグレは真っ青な顔をして黙ったまま立ち尽くした。ミリーはただ不安そうにアルグレに縋っている。
「ハートン令嬢を護るのですよね?」
ルヴィアは寄り添う2人を無表情に眺めた。
「私が居なくなった後、貴方が愛する人の為に何が出来るのか見届けさせて頂きますね。」
「なっ、ま、待ってくれルヴィア…!」
ルヴィアがその場から去ろうとすると、アルグレが引き止めようと声をかけてきた。
「た、頼む! 君を悪く言った事全部謝るよ! だから…。」
「私が居なければ成り立たない愛なんて、どうせ長く続きませんよ。」
ルヴィアはアルグレを睨み付けながらバッサリと言い切った。
「それと、もしハートン令嬢と別れる事になったとしても私は貴方と離婚します。不貞行為があったのは事実ですからね。」
「そ、そんな…。」
念を押すようにルヴィアが言うと、アルグレは絶望したかのような顔になった。ミリーはもう何も言わずに俯いている。今後の自分達の行く末が、決して幸せなモノにはならない事を想像出来たのかもしれない。
ルヴィアだってアルグレと離婚後どうなるのか分からない。不安は勿論ある。それでも、
「何度も言いますが、私に貴方は必要ありませんので。」
この言葉が全てだった。ルヴィアにアルグレという存在は必要なく、寧ろ関われば損をするだけだと分かったのだ。
少なくともアルグレとミリーよりは明るい未来が待っている可能性がある。そう信じてルヴィアはこの場から去って行った。
その後、ルヴィアとアルグレはアルグレの有責で離婚が成立した。ルヴィアは両親に一切責められる事はなく、寧ろアルグレとフェルミア伯爵家、そしてハートン子爵家に怒りを向けてルヴィアを庇い抗議した。
ハートン子爵は多額の慰謝料をセネガル伯爵家に支払い、ルヴィアに謝罪をしてくれた。ルヴィアから見て、ハートン子爵は真面目そうで誰かを冷遇するようには見えなかった。ルヴィアが他人だからそう思っただけであり、家族間では違うのかもしれないが…。
アルグレは伯爵として再教育が必要と判断され、アルグレの父である前伯爵が暫くアルグレを傍で見張る事になった。当然ミリーとの交際は認められず、ミリーは伯爵家から追い出されてハートン子爵家に連れ戻された。その後の2人の様子は分からないし、ルヴィアにはもう、どうでも良い事だ。
セネガル伯爵家に戻ってきたルヴィアには、幾つかの縁談が来ていた。ルヴィアを悪く言う噂がない訳では無いが、ルヴィアの仕事ぶりは周りにも評価されていて、ルヴィアを望む声が多かった。仕事ぶりを認められていた事は素直に嬉しいし、縁談がある事にルヴィアは安心した。
アルグレとは政略結婚だったが、今回の事でルヴィアに罪悪感を抱いた両親はルヴィアに相手を選ぶ権利を与えてくれたようだ。
「…慎重に選ばなければね。」
アルグレのような身勝手な役立たずはもう居ないと信じたいが、そんな保証は何処にも無い。そしてアルグレとは別の意味のクズだって世の中には居る。
「でもせめて、自分の事は自分で出来る。相手に押し付けない人でいて欲しいわ。」
ルヴィアは苦笑いした。
ヒロインの仕事能力を体よく利用する為に別れようとしない夫という、よくある設定のお話でした。これ、ダメ男は全く仕事ができないのか、それとも面倒臭いだけでやれば出来るのか作品によっては分かりませんよね。どのみち、仕事が出来てもヒロインに押し付け過ぎて出来なくなるだろうなとは思いますが…笑 これは職場においてもあるあるですよね。自分は苦手だから、出来ないから他の人にお願いする人って身近に居ませんか? 出来ない仕事の代わりに何か別の事をして周りに貢献するならばまだしも、とくに何もせずに仕事をしない人に苛立つ事が多々あります。そしてそもそもそれを許してしまう上司は何をしているんだと思う事ってありますよね、作者だけでしょうか…最後は愚痴のようになってしまいました 笑
お話を読んで頂き本当に有難うございました! もし宜しければ評価して頂けると嬉しいです(*^^*)




