6/17
何かの気配
翌朝。
測定装置は、そのまま放置された。
誰も片付けなかった。
「持っていかないのか」
龍が言う。
「いらん。壊れるし」
かんたは即答した。
幸人は何も言わず、弓を背負う。
三人は歩き出した。
目的地は、まだ先だった。
昼頃、地面に妙な跡が増え始める。
深い爪痕。
踏み荒らされた土。
龍は立ち止まった。
「でかいな」
幸人が頷く。
「数も、少なくない」
その瞬間、頭の中に何かが流れ込むことはなかった。
名前も、情報も、来ない。
「カマボコより上か?」
かんたが聞く。
「分からん」
龍は剣に手をかけた。
遠くで、低い音が響く。
咆哮とも、地鳴りともつかない。
森の空気が、再び重くなる。
三人は、何も言わずに進んだ。
その先に何がいるのかは、
まだ分からない。




