表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
The-Dragons  作者: イグアナ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/23

残されたもの

 目を覚ましたとき、天井があった。


 石だ。

 館の中ではない。


「……生きてる、か」


 龍は身体を起こそうとして、やめた。

 時間が経っている感覚が、はっきりあった。


「起きたか」


 声がする。


 月城力嶽だった。


「三週間だ」


 問いかける前に、答えが来る。


「お前が倒れてから、三週間経っている」


「……幸人は」


「先に起きてる。

 今は外だ」


 龍は、横を見る。


 かんたが寝かされている。


 顔色は悪い。

 だが――


「……腹」


 言葉が止まった。


 確かに、貫かれていた。

 致命傷だった。


 それなのに今、

 腹には傷跡すらない。


「力嶽」


 龍は視線を上げる。


「……理由を言え」


 力嶽は、左手首を見せた。


 そこに、わずかに赤い痕がある。


 傷ではない。

 模様のように、沈んでいる。


「ドラゴンの体内で生まれる結晶がある」


 淡々とした声。


「人間は、それを取り込める」


 龍は黙って聞く。


「左手首に押し付けると、

 沈み込んでいく」


 力嶽は、手首を軽く叩いた。


「体の中に入り、

 戻らない」


「……能力は」


「固定だ」


 即答だった。


「捨てられない。

 二つ目も無理だ」


 力嶽は、少し間を置いて続ける。


「俺が持っているのは

 《カマボコのルビー》」


 龍は一瞬、顔をしかめた。


「……名前」


「文句は受け付けない」


 力嶽は平然としている。


「剣一本分くらいの範囲にいる

 味方の腹を満たす」


「腹……」


「空腹が消える」


 力嶽は続けた。


「それともう一つ」


 声が少し低くなる。


「体の四分の一以内の傷なら、

 時間はかかるが修復される」


 龍は、かんたを見る。


「……腹は」


「限界だった」


 力嶽は言った。


「内臓まで行っていたが、

 範囲内だった」


「だが、放っておいて治るわけじゃない」


 龍が顔を上げる。


「どういうことだ」


「修復するには、

 一定時間以上、手をかざし続ける必要がある。」


 力嶽は、かんたの腹のあたりに

 自分の手をかざす仕草をした。


「一瞬じゃ足りない。

 途中で離せば、そこで止まる」


「……三週間かかった理由は」


「でかかったからだ」


 それだけだった。


 龍は、息を吐いた。


「……幸人は」


「肩と肋だ。

 軽い」


 力嶽は、手首から視線を外す。


「万能じゃない」


 声が低くなる。


「範囲外では意味がない。

 致命域を越えた傷も無理だ」


「獣のドラゴンには」


「効かない」


 即答だった。


「敵には作用しない。

 あくまで味方だけだ」


 かんたが、微かに身じろぎする。


 まだ意識は戻らない。

 だが、生きている。


 龍は、拳を握った。


「……重いな」


「一生ものだからな」


 力嶽は立ち上がる。


「生き延びたのは、運と判断と、

 あと少しの相性だ」


 外から足音が近づく。


 幸人が戻ってきた。


 戦いは、終わっていない。


 むしろ――

 ここからが、本番だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ