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The-Dragons  作者: イグアナ


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18/23

元凶

 谷に、休む暇はなかった。


 光が消えた直後から、

 原生種のドラゴンは動きを変えている。


 単独で来ない。

 二体、三体で距離を詰める。


「右!」


 幸人の声。


 龍が剣を振る。

 鱗が弾け、血が飛ぶ。


 倒れる前に、もう一体が来る。


「……数、減らねえな」


 かんたが息を切らしながら言った。


 その直後だった。


 狙いが、明確に変わった。


 一体が、龍でも幸人でもなく、

 かんたに向かった。


「うわっ!?」


 避ける。

 だが、次の瞬間、別方向からもう一体。


 逃げ道が、狭い。


「……やっぱ俺かよ!」


 かんたが走る。


 追う。

 迷わない。


 原生種の動きが、

 はっきりとかんただけを追っている。


「囮にされてる!」


 幸人が叫ぶ。


「違う」


 龍は剣を振り抜きながら言った。


「狙われてる」


 一体を斬る。

 もう一体が、かんたに飛びかかる。


 間に合わない。


「――っ!」


 かんたが転がり、

 牙が、すれすれで地面を抉る。


 龍が割り込む。


 首を断つ。


 ようやく、間が空いた。


 数を減らし、

 血と死体が地面に残る。


 八体のうち、半分以上が倒れていた。


「……休むぞ」


 龍が言う。


 全員、限界に近い。


 岩陰に身を寄せ、

 最低限の呼吸を整える。


 そのとき、足音がした。


 月城力嶽だ。


「……今のを見て、分かったか」


 誰も答えない。


「原生種が、統率されている」


 力嶽は淡々と言う。


「元は、一つだ」


 龍が顔を上げる。


「……元凶か」


 力嶽は頷いた。


「獣のドラゴン」


 名前だけが、落ちた。


「龍の王だ」


 その言葉に、空気が変わる。


「原生種や唯一種の発生源はコイツだ、

コイツによりドラゴンという存在を循環させている」


 かんたが、唾を飲み込む。


「……じゃあ、そいつを倒せば」


「終わる」


 力嶽は即答した。


「少なくとも、

 この地獄はな」


 龍は剣を見下ろす。


 光のドラゴンの血は、

 まだ刃に残っていた。


「……決まりだな」


 幸人が言う。


 力嶽は背を向ける。


「ここから先は、

 狩りじゃない」


 一拍。


「討伐だ」


 谷の奥で、

 遠く、低い咆哮が響いた。


 まるで、

 聞かれていたかのように。

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