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光の消失と数多の原生
光が消えたあと、
谷は急に静かになった。
眩しさが抜け、
岩肌の色が、ただの灰色に戻る。
龍は剣を下ろしたまま、息を整える。
幸人は地面に仰向けになっている。
肩の傷から、まだ血が滲んでいた。
「……動けるか」
「死んではない」
短い返事。
そのときだった。
遠くで、地面を踏む音が重なった。
一つじゃない。
複数。
原生種だ。
唯一種が倒れたことで、
谷の“抑え”が消えている。
「来るな」
かんたが、珍しく真面目な声で言った。
四方の岩陰から、影が現れる。
鱗はくすんでいる。
だが、体格はどれも大きい。
八体。
数は多いが、
名前が来ることはなかった。
「……原生種だけだ」
龍が呟く。
楽になるわけじゃない。
ただ、勝ち方が変わる。
幸人は身体を起こし、弓を握る。
「俺は、固定だ」
「分かった」
龍は前に出る。
かんたは、一歩遅れて続いた。
「……囮、やればいいんだろ」
誰も否定しなかった。
最初の一体が、吠えた。
それを合図に、
原生種の群れが動き出す。
数で押す。
噛みつく。
囲む。
単純で、厄介なやり方。
龍は剣を構える。
「八体倒すぞ」
返事はなかった。
だが、全員、動いていた。
消耗戦が、始まった。




