光-終
光が、乱れていた。
一定だった明るさに、歪みが生まれている。
均一ではない。
幸人は膝をついたまま、顔を上げた。
「……今なら、見える」
血が、アイガードの内側を濁す。
それでも、視界は失われていない。
光のドラゴンが、低く唸った。
怒りではない。
焦りに近い。
龍は剣を構え直す。
距離は信用しない。
方向も信用しない。
信じるのは、一つだけ。
「合図だ」
幸人が、短く言った。
光が、再び強まる。
同時に、ほんの一瞬だけ――
「……今」
幸人の声。
龍は踏み込んだ。
視界は白いまま。
だが、剣は迷わなかった。
光の薄い場所へ。
さっきと同じ軌道で。
斬撃が、深く入る。
次の瞬間、
光が爆ぜた。
衝撃で、龍の身体が後ろへ弾かれる。
だが、倒れない。
光のドラゴンが、大きく体勢を崩した。
地面に、影が落ちる。
影が、正しく落ちた。
「……効いてる」
幸人が言う。
龍は走った。
光が戻る前に。
立て直される前に。
剣を振る。
もう一度。
首元。
光の集中していた部分。
手応え。
確実な、手応え。
光のドラゴンが、崩れ落ちた。
光が、急激に弱まる。
谷の明るさが、元に戻っていく。
太陽の位置どおりの影が、地面に伸びた。
しばらくして、
完全に、光は消えた。
龍は剣を下ろす。
幸人は、その場に仰向けに倒れた。
「……勝ったな」
「ああ」
遠くで、原生種の気配が動く。
だが、近づいてはこない。
月城力嶽は、岩の上からそれを見ていた。
何も言わない。
ただ、一度だけ頷いた。
光のドラゴンは、動かない。
九体のうちの、一体目。
だが――
唯一種は、確かに討たれた。
まだあと8体....




