光-2
光の中で、幸人だけが動いていた。
一歩。
また一歩。
距離は狂っているはずなのに、
足元の感覚だけは、ずれていない。
「……やっぱりな」
呟いた瞬間、光が弾けた。
間に合わない。
肩に衝撃。
鈍い音がして、幸人の身体が横に吹き飛ぶ。
「っ……!」
地面を転がり、止まる。
血が、ゆっくり広がった。
それでも、幸人は立ち上がる。
アイガード越しに、
世界が違って見えていた。
光が、均一になっている。
強弱が、読める。
「……龍」
声は低かった。
「動けるのは、俺だけだ」
龍は答えない。
動けない。
「光そのものじゃない。
濃淡だ」
幸人は、痛みを無視して視線を走らせる。
「一番明るいところが、中心じゃない。
少しズレてる」
また、光が走る。
幸人は身を投げ出すように避けた。
間に合ったが、地面に叩きつけられる。
「……っ、次は避けられない」
呼吸が荒い。
「龍、俺が合図出す。
光が一瞬、薄くなる場所がある」
幸人は、震える腕で指を向ける。
「そこに、全部ぶつけろ」
一瞬の沈黙。
「……分かった」
龍が答えた。
幸人は立ち上がる。
無理やり、前に出る。
光の中を走る。
狙われる。
分かっている。
「――今だ!」
その瞬間、
光が、ほんの一拍だけ揺らいだ。
龍は踏み込んだ。
距離も、方向も、信じない。
幸人の声だけを信じて、剣を振り下ろす。
手応え。
確かに、当たった。
光が、乱れた。
光のドラゴンが、低く唸る。
致命傷ではない。
だが、初めての有効打だった。
幸人は、その場に膝をつく。
「……効く。
ちゃんと、効くぞ」
血が、地面に落ちる。
戦いは、まだ終わっていない。
だが――
勝ち筋は、初めて見えた。




