訓練-3
連れて行かれた場所は、異様に明るかった。
谷の底、岩肌のあちこちが白く削られ、
太陽の位置とは関係なく、淡い光が滲んでいる。
ドラゴンの密生地だった。
「……ここ、明るすぎだろ」
かんたが呟く。
月城力嶽は、谷全体を見下ろす位置で足を止めた。
「ここで終わりだ」
前方には、動く影がいくつもある。
どれも大きい。
「条件は単純だ」
力嶽は振り返らない。
「三人で、九体」
一瞬、沈黙。
「分断されるな。
だが、固まりすぎるな」
矛盾した指示を残し、岩場へと下がる。
「助けはしない。
結果だけ見せろ」
それで終わりだった。
三人は自然と距離を取り、谷へ踏み込む。
その瞬間だった。
前方が、白く染まる。
反射じゃない。
光そのものが、叩きつけられた。
「伏せろ!」
龍が叫び、身を低くする。
遅れて、地面が焼けた。
次の瞬間、頭の奥に重たいものが落ちてくる。
言葉ではない。
だが、はっきりと理解できた。
――光のドラゴン。
龍は歯を食いしばる。
「……来たな」
光の中から、姿が現れる。
全身が淡く発光する大型のドラゴン。
鱗が光を放ち、視界を狂わせる。
ただの光じゃない。
存在そのものが、周囲を照らしている。
左右でも、咆哮が上がった。
幸人の方角から、矢の音。
かんたの方角から、悲鳴。
「合流できる位置を保て!」
龍が叫ぶ。
九体。
どれも、格が低くない。
力嶽は、高い岩の上から見ている。
手出しはない。
光のドラゴンが、一歩踏み出す。
それだけで、距離感が狂う。
龍は剣を構えた。
「……九体倒して帰るぞ」
光が、さらに強まる。
本当の訓練が、始まった。




