訓練-2
朝。
身体は、まだ動かなかった。
それでも、立たされた。
「今日は、実戦だ」
月城力嶽はそう言った。
「相手は?」
龍が聞く。
月城は何も言わず、一歩前に出て言った。
『……俺だ。』
「三人まとめて来い」
逃げ道はなかった。
龍が前に出る。
剣を振る。
――当たらない。
月城は半歩ずれただけだった。
次の瞬間、腹に衝撃。
息が抜け、地面が跳ね上がる。
幸人が横から距離を取り、矢を放つ。
矢は飛んだ。
だが、途中で止まった。
月城の手が、矢を掴んでいた。
「遅い」
そのまま投げ返される。
幸人は身を捻って避けたが、肩に衝撃を受け、転がる。
「ちょ、ちょっと待っ――」
かんたが叫んだ瞬間、足元が払われた。
何が起きたか分からないまま、地面に叩きつけられる。
「立て」
月城の声。
龍は歯を食いしばって立ち上がる。
三人で囲む。
今度は同時に動いた。
剣。
矢。
体当たり。
――それでも、当たらない。
月城は三人の間を抜ける。
叩く。
払う。
投げる。
順番に、地面に転がされる。
数分も経っていない。
三人とも、動けなくなった。
「……終わり?」
かんたが仰向けのまま言う。
「まだだ」
月城は、少しだけ距離を取った。
「今のは、手加減だ」
三人は、何も言えなかった。
「お前らは強い」
月城が言う。
「だが、戦い方が雑だ。
生き残っただけで、勝ってはいない」
龍は、拳を握る。
「……追いつけるか」
月城は、しばらく三人を見下ろした。
「死ななければな」
それだけ言って、背を向ける。
訓練は、まだ終わっていなかった。




