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力嶽
傷は塞がりきっていない。
だが、三人とも動けてはいた。
「正直、運が良かっただけだな」
龍が言う。
幸人は否定しない。
かんたは、何も言わなかった。
その日の昼、道の先に人影があった。
大柄な男だった。
岩のように立 seeている。
武器は持っていない。
「止まれ」
低く、よく通る声。
三人は足を止めた。
「お前ら、さっきの動き」
男は、龍を見る。
「悪くはないが、雑だ」
次に、幸人を見る。
「撃つ判断は速い。だが、守りが甘い」
最後に、かんたを見る。
「……論外」
「ひどくない!?」
男は答えなかった。
「月城力嶽だ」
それだけ名乗る。
「冥帝のやつとやり合ったな」
龍は、剣から手を離さない。
「見てたのか」
「途中までな」
月城は地面を踏み鳴らす。
次の瞬間。
衝撃が走った。
誰も殴られていない。
だが、全員の足が一瞬浮いた。
「……なに今の」
かんたが目を丸くする。
「力の使い方だ」
月城は淡々と言う。
「お前らは、強い。
だが、雑に振ってる」
龍は、少し黙ったあと、聞いた。
「教える気か」
「時間はある」
月城は振り返る。
「生き残りたければ、来い」
三人は、顔を見合わせた。
その日のうちに、訓練は始まった。




