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夜に瞑想迷走  作者: きき
1/8

どこかの日常

微睡みに桜の香りが鼻腔を擽る

「マルロクゴゴよ5分前行動が社会人の基本よ」

耳元からの声に母親に悪戯が見つかったようへんな焦りで瞬時に脳が覚醒する

「待って直ぐ行く」


「馬鹿ねあっちの事よ」

えっ

部屋の寒気が鼻腔を刺激する

「ふあー」

いつもどおりアラーム5分前の目覚めだ


スマホを弄りながら最近固くなってきた体を伸ばす男、向日真はどこにでもいる社会人だ

「ダルい」

渋々ベッドを降り明日は休みだと気合いをいれノロノロと出勤の準備を終えた

あと10分あるな

先程の愚鈍さとは比較にならない俊敏さで10年来のゲームにログインした

「金剛は大丈夫です」

予想とは異なる声が聞こえた

スマホには金髪の女性が映っていた

よ昨日ホーム画面設定を相棒に戻さず寝たんだな


でも俺の相棒はアイツ何だよな

熟練の操作でスマホ画面から金髪の女性は消え、銀髪で不機嫌そうな鋭い眼光の少女が現れる。

なんていうかなそのな俺が「相棒」て呼んでる奴はな残念ながら実在する人間とかでは無いんだこれが…

10年以上続くソーシャルゲーム「いつか平和な海で会いましょう」通称いつ海に登場する大人気かは微妙だが、そのいつ海キャラクターである歴史戦装・銘「叢雲」が俺が相棒と呼んでるいる存在だ。

平々凡々な俺に相棒なんて面白そうな存在が現実にいる訳がないだろハハハ

俺と叢雲の出会いは…

うん?キモいから黙れ

まぁ10年来仲の出会いなんてもの、どう転んでも長く成りそうだしな今は止めておこう。でも知りたいならやぶさかでは…。

何?キモい死ね?

でもようゲームのキャラでも其が10年以上、半生ともなれば色々な感情もむけちまうよ独身の寂しさをナメるなよチクショー

「…まったく早くしてよ」

聞き慣れた放置ボイスだ

少し語りすぎたようだこの件はここまで

だって仕事行かないと

「ふー」

何やかんやで10年以上、親の次くらいにみてる叢雲の姿にホッとする。

朝の習慣を終えた俺に部下からメールが入ったと同時に

ピーピーピーピーピー

「ビクッ」

起床アラームだ解除とっ

俺目覚まし要らん気がするんだよな…

平日にアラームで起きたおぼえが無い

でほぼ毎回設定時間に鳴るアラームにビクつくんだよな…狙ってるのかってくらい油断してるタイミングで鳴るそれにビクつく三十路こと向日 真はビビりである。

でも俺を信用して目覚ましを無くすのはリスクあるよな…社会人にとって遅刻は信用に直結、つまり給料に響くから賭けには出れない。

うん設定はいつもどおり明日もビク付け未来の俺

そんなミジンコ心臓をなだめながら部下が休む前提で本日の業務を頭の中で調整する。名ばかりの上司である俺

「あー面倒臭い」

気だるい感じで玄関に向かい靴を履く前にトイレに

白き御座に腰を降ろし36cm単装砲の角度調整と双子山に封印されし穢れた黒竜の解放準備にとりかかる。

快腸快腸

砲弾は尽き黒竜も白き御座の清流に消え去ったのを確認して双子山を清め今度こそ玄関に向かい愛用のリュックの荷物を確認してからヘルメットを被り外に出た。

倉庫から長年使っている自転車をとり出し跨がる。

地面よしブレーキよし俺よし?

じゃいくか

「ふーーはー」

安全を確認してから足に力を込めると視界がよこに消えていく何時もの農道を抜け10分ほどで職場につき朝礼まで今日の予定の確認と準備だ

始業時間を遅らせてるだけな朝礼が終わり、同時に締めり直前の書類作成にとり掛かる。

社会人として期限前に提出した書類は上司受けがよかったがなんでもこれを基軸として年間予定を追加で作れとありがたいアドバイスをされ

期限ギリギリになるな糞と思う本音を

建前笑顔で殺しながら増えた仕事と通常業務にとりかかる。こんな時に相棒がいたらデスクをならべてくれるだけでもモチベ爆上げなんだけどな

「いやアイツなら年間予定の付属資料を俺の仕事に平行して作っておいてくれそうだわ」

何て誰かに聞かれたらヤバい奴認定されそうな妄想を心でボヤキモチベのあがないデスクへ戻り旧式故障pcを起動させる。

「あーあ糞が」

ぼやいても仕事は減らないしPCも遅いし相棒もいない早く終わらせよう

昼休みに食い込んだが午前業務は終わり俺はスマホで相棒が待つ執務室にログイン(消音)

この行動は昼休みに妻子の写真を見るのと同義だど俺は信じている。

簡単なゲームタスクを消費させ昼飯の菓子パンをかじりお茶を飲み昼食と相棒補給で昼休みは早々に終わり午後の業務にとりかかる。

ゲッ今日は定例会議だ

俺は開始5分前会議室に到着し業務時間の圧迫にしか成っていない定例会議に参加した。

どうでもいい部署間の忙しいアピールに応えていると

上役様からジャブがくる

「向日くん○○○○の進捗はどうなっているの」

「ケイは完成し上司に確認得て了承予定通り次回の全体会議で説明致します」

「みんな忙しいんだから早くね」

糞が監査がちかいからっていらいらしやがってまた不正でも見つかっちまえ

業務圧迫で時間が浪費された俺は残業だ、残業代を請求する労力と残業代が釣り合わない我が社において残業とは実質サービスだ。

「叢雲がいたらな…」

弱音を吐きながら9割完成した資料を保存し帰宅の準備を終えるもちろん部下は全員帰っている

そうだよなめられてるよ名ばかりの上司ですよ助けて相棒

弱音をそこそこに災害後に乱れた道を自転車のライトで確認しながら妖怪でもでそうな農道を疾走し帰路についた

「誰もいないけどただいま」

真っ暗な部屋に灯りをつけ感染症対策で玄関で服を脱ぎ風呂場に直行。


風呂の後は飯だ

こんなキモい俺だが実は料理男子、いや料理青年…。青年だ(断)青年なんだ(願)

適当な旨さの飯がおわり仕事後の気だるさに身を任せて寝転がり動画やゲームで時間を消費していれば寝る時間だ。 

おやすみ

だいたいこれが俺の日常だ普通だろ?

えっ?二次元キャラを相棒呼びはヤバい?

ごめん実はもう一つ隠している事があるんだ

ここまでゲームキャラを相棒と呼ぶちょっとというがだいぶ痛いおれだが実はもうひとつ痛い癖みたいな事があるんだ。

寝るまえにもう一度「いつ海」を起動させホーム画面の相棒を確認。day任務の消化と取り忘れの確認をしてゲームを終了させた。

その癖ていうのがそこまで珍しいことじや無い(信)が頭のなかでキャラとの交流を想い描いてして楽しむ単なる想像遊びなんだか此をやると眠りやすいんだ。

其に結構いいストレス発散や精神安定になるかんじがするんだ。

此やると次の日なんかスッキリして仕事の疲れも軽くなる気がするんだよ。

ここまで聞いたあんたもやってみてよだまされたと思って一回、お金も準備もいらないからねっ?ねっ?

一緒に痛い奴仲間になろ?

最後本音がでちまった

実際脳内の一人芝居なんだけど…。

極稀に其こそ年に一度あるかでそのまま夢になったりして、意識外で話したりと結構楽しいんですよ、ほら一度やってみ?

しつこいですねすみません。

俺の個人的な趣味はさておいて、10年以上、半生脳に刷り込まれたキャラクターて事だペットを兄妹や恋人扱いにちかいのかな?

でも現実にすら存在しない儚い関係でいつか終わりを迎えるものだからこそ、そこに愛しさや感謝を感じるんだ。多分だが親の次くらいに本音をしゃべって来たキャラ達だ、必要も無いのに毎年年末や季節イベントには休暇という形でプレイしないとかちょっと不思議なゲームプレイをしてたり何人かは本名や経歴を設定したりしてる。

他人からみたら理解されないのは解っているが胡蝶の夢みたいな感じでそういう万が一も無い可能性にロマンも持ってもいいじゃん。

「フタマルマルよ早く寝なさい明日も仕事でしょ」

此が、俺の日常だった。善人でも悪人でも無いが禍福が釣り合っていると感じていた繰返しの様なただの1日

まさか其が終わるなんて思ってなかった。

おやすみなさい……

砲撃音のような北風が窓いや部屋全体を揺らす

「今年も相変わらずひっどいわね」

「今年も向こうさんは陸地に忙しいから変な嫌がらせが無いだけマシだろ?」

「ホント人間同士で何やってるんだか…」

海を閉鎖された人類は残った陸地を取り合うように…

緩やかに終わりの気配が近付いてきている…

違う違う其はこっちの話だ俺は…

……こっち?確かここは北国というか日本最北端てかほぼ大陸みたいな最果ての島

北の大陸からの寒冷を大いに含んだ吹き荒む風は本当にひどい、寒いとかじゃなく痛くて恐いんだ。

何か大切な事が抜けているような気がする。

何でそんな当たり前の事をいまさら?

「ちょっといってた資料見つかったのきょうも執務室で雑魚寝なんてかんべんよ」

おっと作業の手を止めていた俺を叢雲が嗜める

そうだった1人で旧基地に行くのは危ないからって叢雲が付いてきてくれたんだった。

えっと着任一年目の2月の遠征記録の資料を送るよう本島から連絡が来てたのをおれが忘れてて明日発着しないとていう直前になって思い出して叢雲に怒られて急いでこっちに来たんだったそう資料だ年間計画をなんだ年間計画て?その辺りは淀姉妹がやってくれてるあれ?俺の部下に姉妹なんて…

「ちょっと大丈夫?」

気づけば額に暖かな感触と眼前に叢雲の赤い瞳があった

忘れるな忘れるな忘れるな忘れるな

「あぁ大丈夫だよ叢雲ちょっとかぜにおどろいていただけ…」

何か大切な事を忘れているような…

相棒のご機嫌も外と同じで荒れそうだ

心配を帯びた優しい瞳だ

忘れるな忘れるな忘れるな忘れるな忘れるな忘れるな忘れるな忘れるな忘れるな忘れるな忘れるな忘れるな忘れるな忘れるな忘れるな忘れるな忘れるな忘れるな忘れるな忘れるな忘れるなその眼差しを忘れるな

(着任した頃はみんなで雑魚寝が基本だったな)

雑魚寝なんかセクハラでそんな事俺がするわけ

何か忘れているようなきがする…

叢雲に聞いてみるか?

いやもっと起こらせそうだな

「大丈夫だよ、思い出したあっちの倉庫だ」

「叢雲こっちは大丈夫だから先にもどってて」

俺は駆け足で地下倉庫に向かう      ここは元小学校だ地下なんて

「ちょっと待ちなさい」

何か言おうとしてる相棒からおれは逃げるように倉庫ににむかった

逃げる?俺が?相棒から?なんで?地下て何処に?

「ぐっ」

「ようこそ後輩」

足元が抜けたような俺は落ちて落ちて落ちて落ちて落ちて

ここまで覚えて覚えてあれ?何を覚えて…おれは俺?俺?俺ってだれだっけ?






…何か夢を見ていた気がする

忘れたな忘れたな忘れたな忘れたな忘れるな

起きない方が幸せかもな

そのまま目を潰れば楽になれるぞ

社会人は5分前行動が基本

起きないと怒られる 誰に?誰だろう?

上司に怒られる、上司なんてそんなどうでも良い奴だったか?違う違うチガウ

月に叢雲海に桜

「 つか  じそ の たで」

忘れるな忘れる忘れるな…

…忘れたな




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