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Second life (仮)  作者: 壱弥
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第31話:緊縛プレイ

※タイトルはいかがわしいですが内容は健全です。念のため。

「レディースアンドジェントルメン! 僕はバロウム王国在住、通称解説お兄さん! 相方と一緒に代表三戦の審判兼解説をしていくよ! よろしくね!」


「私はアルファビア王国在住、通称解説お姉さん! 解説お兄さんと一緒に公平に審判と実況をしていくからよろしくね!」


あの話し合いで代表戦をやることが決まってから一日もしないうちに、あれよあれよと準備が整っていった。

審判として解説お兄さん&お姉さんを呼び、金がとれそうだからと両国から見物客を集め、これはただのプロレスかなんかの興行なのかと思うレベルで。


「じゃあ打ち合わせ通り。フェーネさんが一戦目、俺が二戦目に出る。ジャックは……死んでこい」


「納得いかん……まあ綺麗な女の子だからいいとするか、ぐへへへ」


うーん、多分触ることも出来ずに負けると思うけどな。あいつの攻撃は初見殺しが異常に多いし。まあ、それは俺も同じなんだが。

オーダー表は解説席に出したし、マオは騎士団連中に預けてきたし。後はこの茶番を終わらせるだけだな。


『それではアルファビア王国対、バロウム王国による代表戦を始めます!この試合、相手を戦闘不能にするか負けを認めさせる、もしくは私たちが続行は危険と判断した場合に勝敗が決します! 当然ですが、殺すのは無しですよ! また戦争が始まっちゃいますからね! それでは第一戦、注目の選手は……アルファビア王国王女、シルビア姫とバロウム王国騎士団、フェーネ副隊長の二人だぁー!』


うん、予想通りだな。やりあった限りあの姫様じゃあ勝ち目はまずないだろう。


「それでは行ってきます。必ずや勝利を」


「頼んだぞ、フェーネ。お前に全てかかっていると言っても過言じゃない」


ほとんど見ないような真剣な顔でジャックがフェーネさんを激励する。やっぱり領土やら国のプライドがかかってるとやる気も違うんだな、変態の一面ばっかり見てたから気が回らなかったが腐っても王子ってことか。


「お前が勝てばまずカエデも勝てるだろう。つまり俺はやらなくて済むからな!」


前言撤回。感心して損した。





番狂わせは起きなかった。魔術師とやりあうのも初めてってわけでもないんだろう。多少火傷を負ったものの、フェーネさんは特に危なげもなく勝った。わざわざとどめをさす時に剣の腹で打つくらいの気遣いすら見せたのだ。


「さてと、じゃあ次は俺だな。もう一度確認するけど、その槍が通らなかったんだな?」


破魔の赤薔薇(ゲイ・ジャルグ)が弾かれるってことは、まず間違いなく魔術じゃないってことだ。一切の例外なく流動する魔力なら無効化するという特性を持つ槍を防ぐということは、ジャック自身の動きを止めたか、精神に働き掛ける幻術の類でも使ったか。相手が明らかに魔術師である以上、防御する手段なんてそのくらいだろう。


「ああ、間違いない。弾かれた隙に魔術を叩きこまれた」


「よし。まあ仇は取ってやるさ」


後は呼ばれたら出ていくだけだ。弓を引く要領で集中を切らさないよう、高めていく。


『それでは第二戦、バロウム王国謎の黒マント対、アルファビア王国白銀の勇者、ツバキ=フユノ!』


「「ぶふぉ!?」」


ちょっと待て!あいつの性格から考えてこんなところに出てくるはずが――!?


「ふ、ふふふふ。引っかかったですわね……!」


「お前の仕業か!?」


わざわざこっちに来て不敵に笑うお姫様。一回戦早々にやられて出番カットされたくせに出番を増やそうとしやがって……!


「出番のことは黙っていなさい! いや、今はそれじゃないですわね。ふふふ、その顔だけでわざわざワタクシが囮になった甲斐があるというものですわ」


くっ、やられた。こいつか、あのローブ魔術師が椿の考えに手を加えたんだろう。仮にも勇者と持ち上げられてる椿の意見を変えてくるなんて、思いもしなかったぞ……!


『バロウム王国代表、早く出てきてください』


オーダーは提出済み、逃げられない。こうなったら俺かジャックのどちらかが、リベンジを果たすしかないが……正直、何でもアリの戦闘ならともかくルールに縛られている試合だと勝てる気がしない。

なにせ素手の白兵戦において、椿は実家の免許皆伝をもらっている。歴史に名だたる格闘家と比べても勝りこそすれ、決して劣りはしないだろう。


「……はぁ。ジャック、あと頼んだ。出来る限りは頑張ってみるけど真っ向から戦ったら勝ち目ないわ、アレ」


勝ち目があるとすれば、こっちは向こうの正体がわかるけど向こうはこっちの正体がまだ分かってないということ、こっちには特殊な能力があるということだ。多少手合わせはしたが、顔は晒してないし特徴的な技も使っちゃいない。

向こうの攻撃を絞って、肉を切らせて骨を断つ覚悟でカウンターを叩きこむか、俺がされたように正体を晒した瞬間の動揺につけ込むか……動揺を狙うべきだな。カウンターしたら肉ごと骨を叩き折られそうだ。


『それでは第二戦、開始!』


轟、と偽聖剣(エクスカリパー)を腰だめに構えて椿が突っ込んでくる。およそ十メートルの間合いを一瞬で零に。十分に勢いの乗ったまま、体を回転させて横薙ぎに叩きつけてくる――!

迎え撃つにはスピードが速すぎる。防御するには破壊力が高すぎる。しかしかわすには――十分すぎる。


「馬鹿が!」


腰だめに剣を構えるなんて、攻撃を読んでくださいというようなものだ。横薙ぎか、逆袈裟に切り上げるか。それ以外をやるにはわざわざ構えなおさなくてはならない。椿のスピードを甘く見ていれば対応する間もなく真っ二つだろうが、なめるなよ。

だん、と獣のように四つん這いになった俺の頭をかすめて剣が振られる。髪の毛を一、二本持って行かれたが当たってはいない。このまま足を刈って、バランスを崩させる!

足を鎌のように折り曲げ、ブレイクダンスの要領で回転。がつ、と椿の足に当たってその足を――刈ることなく止まった。

止まった!?


「てい!」


「危ねぇ!」


とっさに体をひねって横に転がった俺の真横で、まな板に包丁を思いっきり叩きつけたような音がした。恐る恐る横を見るとばっくりと地面が口を開けている。


「ちょ、審判! こいつ俺殺そうとしたぞ!? これ殺し合いは無しじゃないのか!」


『う~ん。当たってないから良しで』


「おい!?」


地面を叩き割る勢いで振り下ろしておいて殺意が認められないのかよ……

抗議の最中にしっかりと起き上がって間合いは計ってるが、やっぱり隙がない。というかこいつ相手に間合いはほとんど意味がない。生半可な距離なら瞬きの間に詰められるし、詰められない距離なら簡単にこちらの攻撃もかわされる。

いつもなら足を蹴飛ばせば崩れるくらいには人間を止めてなかったはずが、人間リストラされて勇者に就職したらしい幼馴染はちょっと強敵すぎる。軸足を蹴っても倒れないとなると人間相手の戦い方なんて通用しない。

防御力でも高いのか、体重でも増えたか――ってうわ!?


『おーっとツバキ代表、にらみ合いから一転、鋭い剣筋で謎の黒マントを追い詰める――!』


体重のこと考えたのを勘で察知でもしたのか、また距離を詰めて剣を振り回してくる。それよりもかわすたびにパァンっと音が鳴るのが気になるんだが。音速の壁突破してませんかツバキサン。


「……獣縛りの鉄鎖(レージング)


そろそろ勝負に出てもいいだろう。下手に長引かせるとこっちの体力が持たない。

がっとマントを掴んで投げ捨てる。これで認識阻害も働かないし、俺の顔もしっかり見えるだろ。


「え、楓!? 嘘……って、しまった!」


あらかじめ創っておいた獣縛りの鉄鎖(レージング)を押しつける。瞬間、命を持った鎖はじゃららららららと蛇のように椿を戒める。


『おおお、逆転! 一瞬の隙をついた謎の黒マント、いえすいません情報が入りました。郊外の孤児院兼薬屋にいる、カエデ代表がツバキ代表を捕縛! これは勝負ありかー!?』


おい馬鹿やめろ、その台詞はフラグすぎる。


「ふんっ!」


白銀の縛鎖(ドローミ)!」


ぶつぶつぶつっと腐った縄のように獣縛りの鉄鎖(レージング)を引きちぎりかけられ、とっさにもう一段上の鎖で拘束する。白銀の縛鎖(ドローミ)の耐久力は実に二倍を誇る。流石にこれは引きちぎれまい。

……ってあ、しまった! これもフラグじゃねーか!


「ぐぎぎっぎぎ」


びきびきびき、と罅が入っていく。仮にも神話に登場する宝具が、一個人に破られるのは悪夢そのものだった。


「しかたない、最終手段だ。これ破られたら降参してやる。――存在せぬ六枷(グレイプニール)


見た目は何の変哲もない真っ黒な紐だが――知名度も強度も前の二つとは比べ物にならない。

北欧神話において、世界を喰らう狼と言われた魔狼、フェンリルをラグナロクまで縛りつけることの出来た唯一の枷である。猫の足音、女の顎髭、山の根元、熊の神経、魚の吐息、鳥の唾液というこの世に存在しないもので編まれたこの紐は、それゆえに存在しないものまで縛りうる。


「ぐ、ぐぐぐ……何これ、力が入らない……?」


「単純な力も縛ってるからな。幽霊だろうが呪いだろうが縛れる魔法の紐が力なんて縛れないと思うか?」


さて、普通ならこれで戦闘続行は不可能と判断されるんだろうが。


「悪く思うなよ? ――釘バット」


「え?いやちょっと待って楓サン、その手に持ってるのはいったい……」


念には念を。素でチートな性能を誇る椿のことだ、この状況からも脱出しかねん。気絶でもさせて、問答無用で退場してもらうとしよう。


「ちょ、審判! これは殺意が認められるんじゃ……アッー!」


さっき俺になにをしたか思い出せ、馬鹿。





「……ふう、こんなもんか」


ぽい、と真っ赤に染まった釘バットを投げ捨てる。なんで染まってるかって?人間リストラされてても血は赤いんデスネ。


『えー……無理ですね、これは。第二回戦、バロウム王国代表の勝利です! これでバロウム王国の勝利が確定いたしました……が! みなさんまだ勝負見たいですよね! ね!』


沸く群衆。まあ、見世物としちゃ最上級だろうよ。流れ弾が飛んでさえこなければな。


「よし、ジャック。三戦連続勝利といこうか。お前だってリベンジしたいだろ」


「ふふん。女の子にいいとこ見せてくるさ」


『決まったようですね。それでは第三戦、バロウム王国ジャック王子対、アルファビア王国謎の黒ローブ! この二人、すでに手合わせをしているようです! さあ、互いの手の内が分かっている相手にどう戦うか……始め!』


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