第20話:孤児院設立?
わしわしわし。ごしごしごし。
「はぁ。汚いなぁ、女の子なら全然気にならないのになぁ」
さすがに真っ黒のまま湯船に入れるわけにもいかず、俺とジャックで体を洗ってやっている。が。
「あっち行きたかったなぁ。男なんて触りたくないなぁ」
ジャックがうざかった。ぐちぐちぐちとジャックが言うのを無視することにして、がしがしと洗ってやる。洗ったら湯船へぽい。
「よし、終わりと」
下手な銭湯よりよほど大きい湯船は、ストリートチルドレン(男)15人を軽々と受け入れた。
「マオー? 洗い終わったかー? 湯船狭くないかー?」
「大丈夫ー。洗い終わったし、湯船も広いよー」
うん、女子の方も大丈夫だな。まあサイズ変わらないから当たり前なんだが。
「ちょっと用事があるから、ジャック後よろしく。」
「よし、任せろ!」
元気よく……不自然なまでに元気よく返事をする変態。念を押しておくか。
「言っとくが、のぞきが発覚したら二度とこの家に入れないと思え」
「あ~……任せろ……」
しんなりとしたジャックをしり目に風呂場を出て階段に向かう。
ええと、いるものは……
※
「こんなもんかな」
地下室を作ってみた。もっとも部屋というか、広場とでも言った方が正しいくらいのサイズだが。
「回復薬の泉”無限”」
回復薬の原液が湧き出る泉。
「計量カップ」
薄める基準を計るためのカップ。
「後は……牢屋も作るか」
この屋敷に仕掛けられているもののため、必須だろう。
「牢屋”絶対破壊不可”」
地下牢も出来たし、後は細かいところを直して、と。回復薬の原液が流れ出したら大変なことになるしな。ループするようにしておこう。
ちょいちょいいじって、おっと、もうそろそろ風呂から出たころかな?
風呂場に戻ると、ちょうど出てきたところだった。
「ありがとうございましたっす!」
『ありがとうございましたー!!』
いきなりお礼を言われた。ちょっとびっくりしたが、当然悪い気はしない。
「で、あの、家ってどういうことっすか?」
おどおどと、しかし目には隠しきれない期待を秘めながら犬耳が質問してきた。まあ、目を見なくても尻尾がぱたぱたしてるから期待してるのまるわかりなんだが。
ところで、こいつの名前何だっけ……? そもそも聞いたかな? まあどうでもいいか。
「だから、君たちの家。まあ孤児院みたいなもんかな」
「じゃあ、カエデさんが院長やってくれるっすか!?」
目キラキラ。尻尾ぱたぱた。期待感あふれてる。ちょっと罪悪感を感じるが……ごめん。
「いや、めんどくさい。お前やれ」
感じるが、言う。ほら、俺まだ17だし。お父さんになるには早いと思うのですよ。22人もコブつきとかマジありえねぇ。リーダー続行してください。
「は…………?」
ぽかん、と口を開ける子供たち。あれ? もっとはっきり言わないとわからんのだろうか。
「だから君たちの家だってば。仲間増やしてもいいし、このままのメンバーでもいいし。勝手にやってくれ」
『はあああああああああああああ!?』
爆発、二回目。うるさいよ君たち。
※
ちゃんと説明するよう要求されたので、筋道立てて説明してやる。
「いいか、1、管理とかめんどくさい。2、院長とかほんとめんどくさい。3、もうあらゆる面でめんどくさい。以上!」
『………………』
この上なく脱力された。まあ言いたいことは分かってくれたと思う。
「でもお金もないっすし、仕事もできないっす……」
しょぼん、としながら犬耳が言う。馬鹿め、そのことを考えてないとでも思うのか!
「大丈夫だ。しっかりと考えてある」
地下室へみんな連れていく。いつの間にこんなの出来たのか、とものすごい勢いで盛り上がってたが知らんぷり。
ほら、説明できないしね?