第19話:プロポーズ?
主人公ステータス
名前:カエデ=アキノ
能力
・言語理解Lv.2
言葉が理解できる。文字の読み書きができる。
・物質創造【防具】Lv.2
防具が作り出せる。特殊能力を付与できる。
・物質創造【武器】Lv.2
武器が作り出せる。特殊能力を付与できる。
・物質創造【道具】Lv.3
道具が作り出せる。特殊能力を付与できる。無言で作り出せる。
・物質創造【地形】Lv.3
地形を作り出せる。特殊能力を付与できる。無言で作り出せる←new!
叫ぶだけ叫んで、ぽかんとする子供たち。
まあいきなり家が出来ました―っていったら喜ぶより驚くわな普通。
「ほらほら、入った入った」
呆けてる子たちをぐいぐいと押していく。
「お嬢さん方、どうです? この屋敷は。貴女たちのために建てぶべらっ」
ナンパしてる変態をついでに殴っておく。ていうかホントにこいつ見境なしだな……
そもそも真っ黒に汚れきってるのになんで女だってわかるんだろう?
※
外だけじゃなく、中も貴族みたいなお屋敷だった。毛足の長い真っ赤な絨毯。長い廊下にはたくさんのドアがあり、それに見合うだけの部屋があることが分かった。
「ここは……」
「驚いたか?」
いきなり後ろから声を掛けられて、びっくりして振り向くとにっこりと……いや、にやりと笑ったカエデの顔。
「あいつらは風呂場に叩きこんできたけど。マオは入らないのか?」
「だって……いや、そうじゃなくて、なんで、こんな……」
ここまでしてくれるのか。
ありえない。アタシの世界には、なにもしてないのに助けてくれる人なんていなかった。
アタシを助けてくれただけでも、もう充分だったのに。
もう充分過ぎるほど、助けてもらったのに。
「マオがふさぎこんでただろ? ほら、どうせならみんな笑ってハッピーエンドといきたいじゃないか」
「…………っ!」
そんな理由で。
それだけの理由で誰が助けてくれるんだ。例え王様だってそんなことしない。ううん、出来ない。
アタシはただの小娘だ。自覚してる。栄養が取れなかったからがりがりに痩せてるし、体も小さい。アタシなんかを助けてもなんのメリットもカエデにはないのに―――――!!
「……なんで」
「ん?」
「なんで、アタシなんかを。止めてよ。アタシ、なにも出来ない。優しくしないでよ。甘えちゃうじゃない。なにも出来ないのに、もっともっとって欲しがっちゃうじゃない!」
駄目だ、抑えられない。だって、嫌だ。こんなに優しくされたら、もう戻れない。あの暗い路地裏で、残飯をあさり寒さに凍えながら冷たい地面で眠るなんてもう出来ない。
温かいご飯をみんなで食べて、ふかふかの柔らかいベッドでぬくぬくと眠りたい。アタシは知ってしまった。
ねえ、知ってしまったの。一人じゃない生活を。孤独じゃない日を。
嫌だ。もうあんな生活はしたくない。嫌だ。もうあんなものは食べたくない。嫌だ。もうあんな奴らに会いたくない。
嫌だ、嫌だ、嫌だ嫌嫌嫌嫌――――
「うぜぇ」
「……え?」
顔を上げて見えたのは、しかめ面をしているカエデ。
え、怒って、る? 何で? 喜んでよ。厄介者がいなくなったって、喜んでよ。じゃないと、期待しちゃうじゃない。ここにいていいんだって思ってしまう。
「助けたら助けたで辛気臭い顔しやがって……くそ、はっきり言ってやる。俺のためにここにいろ。マオが、必要だから」
その言葉は、魔法だった。
アタシの中にあった罪悪感も何もかも、吹き飛ばして消えていった。
「あーくそ。やばい、恥ずかしすぎるだろ俺……。ほら、早くあいつらと風呂入ってこい。男のほうは俺が洗うから、マオは女の子をよろしく。頼りにしてるからな」
「うん!」
顔を見られないように、カエデの隣を駆け抜ける。場所は聞いてなかったけど、わざわざ案内があるから平気だろう。それよりも、この顔を見られるわけにはいかない。
多分、人には見せられないような顔だろうから。
※
「あー恥ずかし。やばい、どこのヒーローだよ俺……」
気付いたらなんか言ってた。あれだ、ノリで。
「ガキでも洗ってやるかー」
ジャックだけに任せておくのもあれだしな。
ってちょっとマテ。変態が取る行動といえば――――!!
がららららららと男風呂の扉を叩きつけるように引き開ける。
そこで俺が見たものは、
「…………なにやってんの、おまえら」
『…………ごめんなさい?」
人間ピラミッドを作ってる変態とその影響を受けてしまった子供たちだった……!!
「全員、正座―――――!!!!」
マオとのシリアスな雰囲気は、変態のせいで吹き飛んでいきました。