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Second life (仮)  作者: 壱弥
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第1話:はぐれ男と水汲み女

主人公ステータス←new!


名前:


能力


・言語理解Lv.1

言葉が理解できる。文字を読むことはできない。←new!

私――セラ=アーチボルト――が彼に会ったのは、いつも水を汲みに行く泉だった。

私は、彼との出会いを恐らく一生忘れることはないだろう。

……悪い意味で。



「むげっ!」


あの真理の門モドキに引きずりこまれてから、初めて光を見たと思ったら空中に放り出された。

当然、落ちた。


「痛ててて……」


ひとしきり痛がってから(頭打った。地味に痛い)周りを見渡す。

一面花畑なんてわかりやすい異常は……ない。

森、いや林といったところだろうか。後ろにはこんこんと湧き出る泉もあるし、ずいぶんとのどかな雰囲気だ。


「異世界……ね」


とりあえず危険はなさそうだし、早速能力を試してみようか。

まずは服だ。今着てる服は微妙過ぎる。古代ローマの人が着てたようなひらひらした物だし。


「っと、どうすれば出るんだ」


念じる。……出ない。

絵を描く。……出ない。


「あー! もう! 出でよ服!」


……出ない。


「え、なにこれ詐欺?」


能力が使えるっていうから嬉々として異世界に来たというのに!

騙したなあのクソ爺!


「……ん?」


周りに当たり散らしていたら木陰に本が立てかけてあるのに気づいた。というかなかったはずだけど。あんな本。


『イエローモンキーでもわかる能力講座』


……タイトル、これ。

もう十中の内十であの爺関連である。

ツッコミは放棄、有り難み0だけどページをめくる。

『能力について

物を作り出す能力は、作り出したいものをイメージし、声に出すことで作り出すことが出来る

なお、全ての物には大雑把な分類があり、その分類の経験を積むことでより高度な物を作り出すことができる』


ふむ。とりあえず経験を積めばいいっぽいな。

作り方はわかった。早速実践に移るとしよう。

イメージはTシャツとジーンズ。かつて着ていた柄までしっかりと思い描く。


「Tシャツ。ジーンズ」


呟きと共に、何もないところからTシャツとジーンズが現れた。

……成功だ。

これは素直に嬉しい。何せ異世界だ、言葉が通じるだけじゃやっていけない。

言葉は重要なファクターだが、一番必要なのは何かしら直接的な力だ。権力しかり暴力しかり、人間のコミュニケーションなんて結局原始人から進化なんてしてねぇのである。


「よし、探索にでも行くかな」


着替え、本をジーンズのポケットへ突っ込むと本の近くにあった道へと足を踏み入れた。



ぜー……はー……ぜー……はー……

私は今現在水汲みの真っ最中。

村から歩いて30分、リグルの林の中にある泉から水をたっぷり汲み上げて村への帰路についている。

……じゃんけんに負けたからとはいえ、手伝いにも来ない友達に届かない呪詛を呟きながら。


「休憩……しよう……」


手頃な岩に腰かけ、ふう、と息をつく。

必要とはいえ、水汲みは重労働だ。少しくらいは休んでも罰はあたらない。……と思う。


「むげっ!」


「ひゃっ!?」


人が急に現れて、落ちた。虚空から現れたとしか思えない唐突っぷりで、頭から落ちていた。

で、驚いた私も岩から滑り落ちた。

幸か不幸か、滑り落ちたおかげで向こうからは私がいることに気づかなかったみたいだ。


(誰だろ……? 見たことのない人みたいだし、服もなんだかすごく高級そうだけど…)


小さな村ではみんな顔見知りだ。つまり、村の人間じゃない。

きょろきょろと周りを見渡している彼は、生まれて初めて見る外の人間ということだ。


(初めて見た、村人以外の人……黒髪なんて世の中にいるのね……)


興味津々だ、正直に言って。そしてそれ以上に。


「外の人なら村に案内しなきゃね」


そして案内がてら、水瓶を持ってもらおう。

そうと決まれば……


「おーいそこの「あー! もう! 出でよ服!」


……びっくりした。急に叫んで、やたらめったら周りを蹴飛ばし始めたのである。

何事? と声をかけるのを中断して見ていると、何かを拾う動作をして空中をめくり始めた。

それはまるで何もないところに本か何かがあるかのような動きで、


(“ぱんとまいむ”の人かしら?)


この上ない怪しさだった。しばらくして何か納得したような顔つきで、彼はおもむろに目をつむり、何か呟いた。

途端、彼の手には見たことのない布、恐らく服。があった。


(間違いない、彼は……



手品師だ!!)


その手品師は、服を着替えると(目? つぶりましたよ?乙女ですもの)林の中へ消えていった。

そして私はというと。


「水、水早く汲まなきゃ」


滑り落ちた時水がほとんどこぼれたので、水瓶に水を必死で汲み上げていた。

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